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創作童話『はがき』 (前編)

いろえんぴつで かく
花びらを じーっとみる
ふいに
花とわたしが ひとつになる


そうなること
小学校のともだちにも
お母さんにも 話したことない

まるで 星になって
宇宙に浮かんでいるみたい
マーコさんなら 話してもいいな


マーコさんのお店は
おきにいりのものだけおく
お客さんがほしがっても
「売りものじゃないんです。ごめんなさい」
と言う

いつも お母さんにコーヒーをいれてくれる
わたしには
りんごジュースと いろえんぴつ
ふたりが おしゃべりするあいだ
わたしは、絵をかく

お母さんは
わたしとふたりだけのときは
つかれている
なのに ここでは よく笑う
だから わたしは ここがすき



川のそばに 大きな木がいっぱいあって ときどきひとりでいく

じめんのところは1本なのに とちゅうから5つにわかれる ふしぎな木がある
5つになる 手のひらみたいなところに 葉っぱや枝が ふりつもっている

六花亭のカンカンに たからものを入れて そこにかくした
青いビー玉とレモン色のおはじきを とりだす
草の上にねっころがって ビー玉ごしに空をみる

それにあきたら めをとじて
ひんやりとした緑色のにおいを すいこむ
風がふいて 鳥と木が 話しだす
おひさまが きらきらしてる

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