時刻表の狭間に消えたバス
バスを待っているとしばしば不思議な体験をすることがある。
私の利用するバスは30分間隔で来る。その日はバス停に着くと既に5人ほど並んでいた。
バスは遅延しているようだった。よくあることだし5分過ぎたくらいでは何とも思わない。10分過ぎからイライラし始め、20分を越えるとイライラから不安に変わる。もうすぐ30分になる。
いや待て、少し考えよう。30分近くも遅延するなんてことあるのか?だとしたら並んでる人はなんで誰一人取り乱さずに平然とした顔で待っていられる?道もそんなに混んでいるようには見えない。
急にバスを待っている人達のことが、覇気のない怖い存在のようにみえてきた。
祈りのように眺める先からこちらの思いとは裏腹にゆったりとバスはやってきた。目の前に到着したそのバスは私がずっと待っていたバスなのか、次のバスが少し早く来てしまったのか、もはやわからない。私には確認する術がない。
みんな吸い込まれるように乗り込んでいく。この異様な出来事に気づいているのは私だけのようだった。
昼間なのに薄暗い車内で揺られながら、世の中の帳尻合わせのために消えたバスの行方に想いを馳せる。
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