go to 神戸 ②より ショート・ショート
朝から一日中歩き回ってやっとの思いで摩耶ケーブル下にたどり着いた私はケーブル乗り場のベンチで一休みしながら、ぼんやり昔のことを思い出していた。
すると何処かで「まりちゃん」という声がして、ハッと顔を上げたら何と改札口に祖母がニコニコして立っているではないか。
傍らで犬のタローも一生懸命しっぽを振っている。
思わず「ママ!」と叫んで祖母に抱きついたが、泪が後から後から溢れてきて言葉が見つからない。
やがて祖母に手を引かれるようにしてケーブルカーに乗り込んだ私は、いつの間にか小学生に戻っていることに気がついた。
二人と一匹を乗せたケーブルカーは静かに山腹を登り始め、そして終点摩耶山頂を過ぎ奥摩耶ロープウエイを過ぎ、どこまでも高く高く登って行くのだった。
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