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【天皇杯決勝戦】シナリオなんてない、だからこそドラマチック

ボンチノタミ、ジョーカーです。

今日はこれを書かねばなるまいよ。

ヴァンフォーレ甲府、天皇杯優勝おめでとうございます!

わたしは、10年程前はゴール裏で跳ねているような熱烈なサポーターでした。城福甲府の時代です。
ホームはもちろんアウェー遠征も行ったし、練習見学にも通いました。
たくさんのサポーター仲間と、喜び楽しさ悲しみ悔しさ、いろいろなものを味わいました。
J2優勝、J1昇格なども経験し、本当にプロヴィンチアの星として、ヴァンフォーレ甲府というチームが地元にあることを誇らしく思っていました。
もちろん、今も思っています。

その間にわたしは仕事を辞め、バイトを始め、そして再就職をして。
環境が変わり、生活が変わり、そうして、サッカーの優先順位は徐々に下がっていきました。

ただ、サポーターとして第一線から退いても、ほとんどの県民にとっては、ヴァンフォーレって、もう生活の一部みたいなものになっているんですよね。だから、常にそこに在った。在り続けている。
ヴァンフォーレ甲府は、それだけ地元に根付いているのです。

あの頃の気持ちを思い出させてくれた今回の天皇杯決勝戦。
ヴァンフォーレ甲府に関わるすべての皆様、おめでとうございます
ずっと応援し続けてきたサポーターの皆さん、本当に、本当に、おめでとうございます
Jリーグのお荷物とまで呼ばれ、存続危機を経験し、J1昇格したり、また降格したり、J2優勝経験したり、それでもまた降格したり、お金がなかったり、良い選手がなかなか残らなかったり、いろいろあったり、そして今だってJ2残留ギリギリのチームが。

ACLに、出場するんですよ。


そんな今回の決勝戦の展開、あまりにもドラマチックすぎたので、こんなんドラマだったらシナリオライターに「いくらなんでもやりすぎだろ」って言いそうなレベルでした。

そのドラマを振り返ってみます。


スタメン

広島のスターティングメンバーには、甲府で育った柏好文佐々木翔
さらに期限付き移籍で昨シーズン甲府に在籍していた野津田岳人

ベンチ
柏、佐々木のルーキー時代を知り、当時キャプテンでもあった甲府在席20年のベテラン、山本英臣が甲府のベンチメンバー入り。

既に因縁めいている、ヴァンフォーレ甲府サンフレッチェ広島の関係。

試合開始
前半26分、コーナーキックから甲府が先制。
1-0で試合を折り返します。
後半40分、当然J1強豪の意地を見せてくる広島。
1-1のまま、試合は延長戦へ。

延長戦
点数は動かないまま。
延長戦後半、甲府は山本英臣を投入。
キャプテンマークをつけ、天皇杯決勝戦のフィールドに立つオミ(山本英臣選手の通称)の姿。
ここでわたしは涙腺が崩壊しました。

しかし投入直後、ゴール前の攻防でオミがハンドの判定。広島がPKのチャンスを得ます。
残り時間はもうあと数分しかなく、ここで決められたら恐らく試合の結果は決定的になるという場面。

ここで甲府のGK河田晃兵が、見事なセーブ。
彼もまた、甲府に長く在籍しているベテラン選手のひとりです。
もう、ほんと、ここでまた泣く。

結局、延長戦でも決着がつかず、ついにPK戦へ。
わぁ、すごーい、天皇杯フルコースじゃん!!
もう両チーム優勝にしてくれよくらいの気持ち。家で見ていてこれなんだから、現地組は本当に生きた心地がしなかったんじゃなかろうか。

PK前のコイントスの場面でオミさんと佐々木翔が笑顔で抱き合ってたのも、めちゃくちゃ感動した。

運命のPK戦
広島先攻、3人目までは両チームとも成功。
広島 ○○○
甲府 ○○○

動いたのは広島4人目。川村の蹴ったボールを、河田が好セーブ。
広島 ○○○✕
甲府 ○○○

甲府は4人目も成功し、あとがなくなった広島。
5人目はきっちり成功させ、勝負の行方は甲府最後のキッカーに委ねられます。
広島 ○○○✕○
甲府 ○○○○

甲府最後のキッカーは山本英臣
もうね、絶対そうだろうなって思ってた。わかってた。わかっていたのにオミが歩いてきた瞬間、泣いた。

決めた。


広島 ○○○✕○
甲府 ○○○○

決して派手なシュートではない、すごく強いわけでも、すごく速いわけでもない、オミらしい、ふわっと、ゴールに吸い込まれていくような。

ボールがネットを揺らした瞬間、声を失いました。絶対に自分は「やったー!」などと声をあげると思っていたのですが、何も言葉が出ませんでした。
ただ、ぼろっと涙が溢れてきて、無言で隣りにいた母と抱き合い、そのままそこに崩れました。

小さな地方クラブ。
たしかに小さくて、資金だって潤沢なわけでもなくて、決して強豪ではないけれど、わたしたちの誇り。

どこのチームよりもホームゲームのピッチ看板が多くて、県内の多くの企業が大小様々な形でスポンサーについていて、地域を愛し、地域に愛され、そうして、県民の生活の中に根付いたクラブチーム。

甲府のチャントの中に「何もかも全て思いのままにここは俺たちの夢叶う小瀬」という歌詞があります。
今回は、舞台は日産スタジアムだったわけですが、夢は叶うと見せつけてくれたヴァンフォーレ甲府、ありがとう。おめでとう。
ACLでも、見せつけちゃってください!

「さぁ行こうぜ、俺らの甲府」

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