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浅間神社とおみゆきさん

ボンチノタミ、ジョーカーです。

先日、幼いころから慣れ親しんだ甲斐一宮浅間神社に行ってきました。
現在神社駐車場となっているところに昔は木の花保育園があったのですが、現在は保育園は別の場所に移り、ここには神社だけが残っています。

御祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)という神様です。
読みは『せんげんじんじゃ』ではなく『あさまじんじゃ』と読みます。
本殿の近くに植えられている夫婦梅が有名です。

子どものころはなんとも思っていなかったのですが、いろいろなところを旅したり御朱印集めなんかもしてきて、改めてこの神社に来ると、不思議だなと思うことがあります。

それは、拝殿の向きです。

通常、神社の拝殿というのは鳥居をくぐって境内を歩いていくと正面に拝殿があると思うのですが、この神社は少し変わっています。

こちらが鳥居から見た神社の様子。
真正面にあるのは神楽殿です。
では、拝殿はどこに? となるのですが、門をくぐって少し進むと、左手側に社務所と授与所があり、その先に拝殿があります。

拝殿を正面から撮影したものですが、この写真でいうと左側に鳥居、右側に神楽殿があるという位置関係となります。
富士山の方向を向いているというのであればわかりやすい理由にもなるのですが、富士山の方角とも全く違います。
一説によると、山宮神社の方角を向いているとのこと。
子どものころから何十年と親しんできた神社だけど、知らなかったなあ。

3月には山宮神幸祭(山宮さん)が、4月には大神幸祭(おみゆきさん)がおこなわれます。昔はよく参加しました。

このおみゆきさん、ちょっと面白いお祭りです。
旧一宮町(笛吹市)の一宮浅間神社、旧御坂町(笛吹市)の二宮美和神社、甲府市の三宮玉諸神社でおこなわれた水防祈念のお祭りが始まりとされています。

このお祭りは水防のために土手を踏み固める手段として、武田信玄が多くの人にその作業をさせようとしたのが始まりだそう。
ただ、人手を集めるのも踏み固めをさせるのも大変な大仕事になりますから、お祭りとして神輿を担いで練り歩く、という形で人を集め、踏み固めをさせたのだとか。さすが治水の天才。頭いいな。

神輿を背負った男たちが「ソコダイソコダイ」という掛け声とともに練り歩く姿が有名で、この「ソコダイ」は「其処だい」であり「目的地はそこだよ」という意味があります。
現笛吹市にある一宮浅間神社から現甲斐市にある信玄堤まで20キロ以上の道を重い神輿を担いであるくわけですから、まったくすぐそこではないわけです。だからこそ「ソコダイ」と鼓舞しながら歩いたんでしょうね。
ちなみに、現在は途中はトラックで運びます。
浅間神社だけでなく信玄堤でもお祭りがおこなわれるので、よろしければそちらも行ってみてください。
この「ソコダイ」の掛け声、実際に聞くと「ホッコダイ、ホッコダイ」に聞こえるんですよ。これは甲州弁の訛りでして「そこ」が「ほこ」に近い発音になるんですね。
機会があったら聞いてみてください。

そしてもうひとつ、このお祭りの面白ポイント。
神輿の担ぎ手たちは全員、女装をしなければいけません
赤やピンクの派手な着物で、時には顔におしろいを塗ったり口紅を引いたりした男性たちが「ソコダイソコダイ」と野太い声で叫びながら神輿を担いでステップを踏むのです。
めっちゃ異様な光景です。
これは、先に書いた木花開耶姫命が女性の神様であることに由来します。
この女の神様を恥ずかしがらせないために、女装して神輿を担ぐというのが決まりとなっています。
面白いよね。

また、神輿を担いで歩くステップも独特です。ぴょんぴょんと跳ねるような感じで歩くので、相当疲れると思います。けれど、地面の踏み固めには効果がありそうです。

これから笛吹市は桃の花が美しい季節となります。
観光にいらした際には、ぜひ、浅間神社にもよってけし!

(よってけし、は甲州弁でよっていってね、というようなニュアンスです)

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