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【詩】スマホの墜落 Crash de smartphone

楓摩ユミ


充電器のコードに足を引っ掛けた
スマホが落ちた
畳の上に落としたのは何回目?
十回は疾うに超えているはずだ

落としたくないのに
落としてしまう

ああ、また衝撃を加えてしまった
寿命がまた少し縮まったに違いない

毎回落として思う

うつらうつらして畳に落とす
ひっかけて畳に落とす
とにもかくにもやたらと畳に落とす

致命的な墜落が一回あった

玄関で靴を履こうと屈んだら
背負ったバッグから
スマホが滑り落ちた

そこは畳ではなく固い土間

壊れてないか確かめた
壊れてはなかったが
ああ、寿命が······と思った

充電器のコードに足を引っ掛けた
スマホが落ちた
畳の上に落としたのは何回目?
十回は疾うに超えているはずだ

踏み付けられた気分だった
スマホの横にあった三冊の文庫本が斜めになっていた
これらも巻き添えを食って落ちていたら
私の心は地べたに倒れたまま起き上がれなかっただろう

踏み付けられたとは
そう、こういう心の様を言うのだ

私を踏み付けた
あの✕✕✕✕団体が嫌いだ

「嫌いだ」という本心を
今夜やっと探し当てた



(2024/02/10 01:20 第一稿)