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おばあちゃんと認知症②

おばあちゃんは、晩年認知症を患った。
若かった頃、『なりたくない』って言ってた認知症だ。
 
『人様に迷惑をかけたくない』
それがおばあちゃんの口癖だった。

一緒に神社に向かう道で、
『頭だけはしっかりしておきたいって神様にお願いするんだよ』
そう、話してくれた。

私は、確信していた。
おばあちゃんなら、認知症になったってかわいい。愛される。
 

認知症って、
世間では嫌われがちだけど
私は嫌いじゃない。
好きだなって言ったら、語弊が出ちゃうと思うけど。
 
新しい記憶が保てないからこそ、
その人の生きてきた人生が見える。
 
人を見下してきた人は、見下した発言を。
人を尊重してきた人は、何に対しても感謝を。
 
取り繕う、社会性が失われがちだから。
って、言ったら怒られちゃうかな。
素直に、本能や感情が出てくるから
嘘がない。
その人の人生が出る。
そんな気がする。

そっか、不安なんだね。
そっか、怒ってるんだね。
そっか、寂しいんだね。
 
表してくれる感情に、
そっと寄り添って、そっかー。って、その人を教えてもらう。
 
何か、私に出来ること、あるかな?
どうしたら笑ってすごせるかな?

そんなシンプルな関係が心地いいなって思う。 

おばあちゃんは、
『喜ばせたい』の人だった。
ある年のお正月には、
夜中にいきなり躍りながら、お部屋から出てきた。
『初笑いしてもらおうと思って』
笑いながら言う祖母が、愛おしかった。
 

忘れたっていいよ。
私もすぐ忘れちゃうし。
 
気を使わなくていいよ。
分かりやすくて、心地いいし。
 
出来ないことあっていいよ。
私のが、不器用だし。
 
いろんな人がいて、
いろんな人生がある。 
 
私は、記憶がなくなっても、
祖母のように愛される人になりたい。

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