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2年ぶり開催!関東甲信越代表としていざ秋の全国大会へ〜関東甲信越大会レポート〜

9月4日、東京・世田谷区で「ゼット杯争奪 関東甲信越身体障害者野球大会」が開催された。(以下、関東甲信越大会)

加盟チーム協議のうえ、2チームで開催

関東甲信越大会は、信濃レッドスターズ(長野県)、群馬アトム、栃木エンジェルス、埼玉ウィーズ、東京ジャイアンツ、東京ブルーサンダース、千葉ドリームスターの7チームがトーナメント方式で戦う大会。

優勝チームは、関東甲信越地区の代表として秋に兵庫県豊岡市但馬(たじま)で行われる「全日本身体障害者野球選手権大会(全日本選手権)」と翌年5月の「全国身体障害者野球大会(選抜大会)」(※)の出場権を獲得する。

(※)選抜大会は、関東甲信越大会含む全国7ブロックの上位2チームが参加する。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大による影響で中止となったため、2年ぶりの開催となった。

各チームで活動状況が異なるため、7月に加盟チームの理事会で大会参加について協議。

「5月の選抜同様、開催実績をつくろう」
「障害者野球の灯を消さないように」

という想いから全チームの意見一致で、参加できるチームで開催することとなった。

そこで参加可能となったチームが千葉ドリームスターと東京ジャイアンツ。この2チームの勝者が今年の関東甲信越代表となることで開催が正式決定した。

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練習試合無失点を続ける篠原が初の大役

ルールは90分制、3回で10点差が着いた時点でコールドゲームとする。また、攻撃はEDH(特別指名打者)制度を使った10人制で行う。

ただ、当日は雨。9時30分に試合開始予定だったが、10時前に雨が止むとの予報から約20分待機してから開始となった。

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ドリームスターのスターティングメンバーは以下の通り。

1 土屋大輔(中)
2 土屋来夢(遊)
3 城武尊(三)
4 中䑓陵大(二)
5 山岸英樹(右)
6 小林浩紀(EDH)
7 山田元(捕)
8 宮内隆行(左)
9 石井修(一)
10 篠原敦(投)

先発投手はサウスポーの篠原。2011年にチームとして本格的に活動でき始めた頃から在籍し、ムードメーカーとして存在感を放ってきた。

また、今シーズンも貴重なサウスポーとしてマウンドに上がり続け、浦安リーグでは健常者相手にリリーフ中心に無失点投球を続けるなど好調を維持。

「真っ新なマウンドに上がりたい」

その目標を掲げ続けていた篠原をよく知る小笠原一彦監督の計らいで先発起用が決まった。

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監督から「崩れたら即交代な!」と発破をかけられた篠原は先発を言い渡された直後、「緊張します」と言いながらも、試合前のブルペンで低めに球を集めた。

共にプレーしているチームメートも篠原の想いはよく理解している。

先輩の宮内はキャッチボールの際に真っ先に声をかけ、中䑓主将も「篠原先輩のために」と攻守決めの際に自ら後攻を選択した。

チームの期待を一身に背負いながら文字通り”真っ新なマウンド”へ向かっていった。

ジャッジは元NPB審判、山崎夏生氏が担当

そして大会を盛り上げる審判は山崎夏生氏。1984年7月から2010年の10月にかけてパ・リーグ公式戦に1451試合に出場した名審判。

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この試合は自身と同じ北海道大学の後輩で、主に神奈川県のアマチュア野球で審判を務めている中山弘之氏とともに駆けつけた。「今日も盛り上げますよ」と宣言し、トレードマークのレモン色に輝くポロシャツに身を纏った。

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試合開始時は新型コロナ感染対策の一環で、両チームはファールライン上に並び距離をとって挨拶。

主審を務める山崎氏による「プレイ!」の迫力あるコールは球場全体を緊張感に変え、9:50にいよいよ試合が始まった。

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初回に10点を挙げ、打線が猛攻撃

初回を篠原が3人で終えると、ナインから「いいね篠ちゃん!」と労われながらリズム良く裏の攻撃を迎える。

ドリームスターは初回から打線が爆発した。リードオフマンの土屋大輔が死球で出塁すると、続く土屋来夢は四球を選び無死一・三塁に。

ここで迎えるは城武尊。広島アローズから昨年移籍した城はこの試合がドリームスターのユニフォームで参加する初めての公式大会。

投打で主軸を担う若武者はそのバットを振り抜くと右中間を真っ二つに。ランナー2人を迎え入れるともに、自らも快足を飛ばしランニング本塁打に。3点を先制する。

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続く4番・中䑓、5番・山岸も出塁し6番の小林。どんな球でもコンタクトできるミート力で右方向に流し打ちするライト前ヒットでさらに1点を追加。

その後も相手の失策を誘い、積極的に次の塁を狙い加点。この回に10得点を叩き出した。

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2回にも小林・山田・宮内と3連打で1点を追加し、下位打線から得点を重ねた。

プレーボール直後は久々の公式戦ということもありベンチには緊張感が漂うも、攻撃のリズムを掴むにつれて活気が溢れていった。

篠原が期待通りの無安打投球

先発の篠原も期待に違わない投球を披露する。

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ストレートとチェンジアップを低めに集め、ジャイアンツ打線を翻弄。初回を3人で抑え攻撃のリズムを作り、大量点の援護をもらっても冷静さを失わなかった。

2回は1四球を与えるも後続を断ち、見逃し三振を決めた際には山崎球審の”パンチアウト”が鳴り響く。球場を通りかかった方たちが傘を差しながら試合を見入るシーンもあった。

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3回も3人で抑え、11−0。大会ルールに則りコールドゲームで試合終了。千葉ドリームスターは創設以来初の全国大会進出を決めた。

大会MVPは無安打で試合を締めた篠原が初の受賞。練習試合での好調そのままに結果でチームの期待に応えた。

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千葉ドリームスターは関東甲信越の代表として、11月6,7日に行われる予定の全日本選手権に出場する。

2年ぶり開催の本大会は、怪我人・感染者を出すことなく無事に終了。大会後にはサポートとして駆けつけてくれた「東京ブルーサンダース」の長田直己監督や財原悟史主将らを交えて交流戦を行い、球場に集まった全員が野球を楽しんだ。

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5月には神戸で選抜大会を開催し、身体障害者野球としても「with コロナ」に向けて開催実績を残すことができた。

また、チームとしても関東甲信越の代表として万全な状態で臨むべく、今週末から再度活動を本格化させていく。


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