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地震の前兆現象と音

石川県で震度5強の地震がありました。復興しきっていない中でのことで、被災されておられる方におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

今回は「地震と音」というテーマで書いてみようと思います。東日本大震災以降、地震にまつわる研究が非常に盛んになりました。数ある「地震と音」の研究の中で今回は2つの観点について少し考えてみたいと思います。

 ・危険を知らせる”サイン音”の研究
 ・地震の前兆現象を捉える研究

前者においては弊社も過去に関わったことがあり、いかに素早く全年齢層に対しいかに的確に危機を伝達させるか、というテーマのもと2011年末頃から1年間に渡り弊社(株式会社HEIWA ENTERTAINMENT)を含む複数社が研究に参加しました。緊急地震速報のサイン音が改定された時点で弊社は卒業しましたが、この研究は今も続けられています。

地震の前兆現象

さて、地震の前兆現象として音にも注目されています。地震発生数秒前においては動物が逃げ出したりという現象から、振動なり音なりが発生していることはわかってきていますが、数日から数ヶ月のスパンでそれを予知できないものかという研究があります。あちこちの個人ブログや掲示板、SNSでは「空中でパチパチと音がした」とか「ゴーという低音が響いた」などまことしやかな体験が書かれていますが、明確な前兆現象は今の所解明されていません。

私が支持している研究の方向性としては京都大学教授の石田毅先生の著書「岩石破壊音の科学」にも記載されている「岩石が破壊される際の音」に着目するものです。著書からこの研究の核となる一文を抜粋します。

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割り箸を曲げていくとペキペキと音がしはじめ,そのうちバキッという大きな音とともに2つに折れてしまう。岩石でも割り箸の例と同じように,破壊に先立ち小さな音が発生し,大音響とととに大きな破壊が起こる。割り箸の音を聞いていれば2つに折れる時期が予想できるように,地下空洞や斜面,その他さまざまな岩盤構造物で破壊音を測定し,破壊の予知や予測を試みる,あるいは破壊のメカニズムを調べることが私の研究である。

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技術的な問題としては、地中数十キロの破壊初期の微小な音をどのようにして採取するか、という点だと考えています。また、上記割り箸の例にあるように、ペキペキという音から箸が割れるまでの時間をいかに計測するか、という点においてはそこにどれだけのエネルギーがかかっているかを計算しなくてはなりません。破壊され始めた岩盤の種類・性質がわかれば、音量と比例するはずだから、ある程度わかってくるような気もしますが、対象となる岩盤の上に堆積しているものによっても音の伝搬は異なってくるでしょうし、そんな一朝一夕にはいかないのでしょう。

しかし、昔から「地鳴り」についての証言が多数あり、様々な意見はあるでしょうが私は数ある地震研究のなかで最もシンプルかつ確実性があると考えています。弊所にはそういった地震研究に関する機器や知識を持ち合わせていないため独自に研究などということはできませんが、この理論には非常に注目しています。

13年前の3月11日、私は小田急線に乗って町田から帰路についていました。電車に何時間も閉じ込められ、複数の方とスマホのワンセグでテレビを視聴しあい、津波到達の速報では息を飲み絶句し、福島第一原子力発電所が爆発した瞬間は電車内のあちこちで「うわー!」「まじかよ!」などとどよめきました。揺れ続ける電車内では体調不良者が続出し、最寄りの千歳船橋駅まで徐行し降ろされてからはさらに何時間も足止めを食らいました。早々に家族とは連絡が取れ安否を確認できたため、代々木にある知人の事務所に宿泊させてもらい、翌日始発の総武緩行線で帰宅できました。

あの時の出来事を一生忘れることはないでしょう。

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