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花火がうつくしくて泣いた夜



雨にぬれるコンクリートに腰掛け

傘をさしながらその時を待っていた


予定時刻ちょうど 

ゆらゆらと天に昇りはじめる火の玉

ぱっと煌めき視界におさまりきらないほどに広がる光に時が止まる

夜の空気を揺らす振動と内臓に響くような低い爆発音が後を追う

人々の歓声

ちらちらと水面に落ちる火花

うつくしさに涙が流れた


40代になると花火がうつくしくて泣くこともあるんだな とぼんやり思う


花火大会がある夏

それがままならなかったこの2年ほど

花火職人のみなさまの心情などに

わずかな想像力を総動員して思いを馳せる


と、ふいに記憶が蘇る

前にも花火で泣いたことがあるな 

千葉のスタジアムで行われたB'zのライブ

その終わりを彩る花火


人生で一番感動した花火

数キロ先でぽんっと

かわいらしく打ち上がる花火しか知らなかった私にとって

人生で初めて見上げた花火

間近で見る花火は球体だった

稲葉さんと松本さんの余韻とまあるい花火



あれから20年が経ち

先月あの日の友とまたB'zのライブに行けたこと


そして来月 

娘とB'zのライブに行けること


花火とB'z

大切な友と娘



うつくしいものを大切な人と見ると涙が出るのだろうか


未来への溢れる不安は置いておいて

少なくとも今年のわたしは幸せなのだと思う夏の夜2022











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