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試写会:『アジアの天使』石井裕也監督、池松壮亮、オダギリジョー


映画試写をみてきました:

『アジアの天使』
脚本・監督:石井裕也

出演:池松壮亮、チェ・ソン、オダギリジョー
キム・ミンジェ、キム・イェウン、佐藤凌

2021年7月2日(金)から、テアトル新宿ほか、全国公開。
http://asia-tenshi.jp
https://twitter.com/asia_tenshi


日本人兄弟(オダギリジョー +池松壮亮)+小さな息子と、韓国人の3人兄妹が、ソウルから江原道(カンウォンド)へ向かう鈍行電車で偶然出会い、旅路をともにするうちに、たがいの距離を少しずつ縮めていきます。

ロードムービーです。日韓のスタッフにより、全編、韓国国内で撮影されたそうです。

逆光で人物を影に落とすソウルの夜景、人工照明に照らされた電車の無機質な車内を経て、カンウォンドの花崗岩の広がる灰色の風景、夜中の郊外の住宅街、早朝の海、砂浜の光の世界へと受け継がれていきます。

最初は、スクリーンをみているこちらが心配になるほどバラバラだったふたつの家族の関係ですが、ともに時間をかさね、過去から現在にいたる経験をかさなるうちに、自然とまとめあげられていきます。家族の物語をまとめあげていくのが、画面をにじませる鉱物的な風景のうつろいです。メロウな味わいのある画面は、暗目の色調で推移して、物語にすんなりととけこみ、フィルム全体に技術力の高さを感じさせられました。

池松壮亮さんは、「うたのおじさんEたん」(Eテレ)の用務員さん役が印象的で、プールサイドで踊りくるうミュージカル俳優ばりの身体能力の高さを発揮していました。本作では、妻をなくしたお父さんが小さな子供をつれて、言葉の通じない異国をさまよいますが、ぐっと飲みこむような表情や所作が魅力的です。


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