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〜歌がなくなったら子どもはどうなるの?〜

先日、コロナ対策で
「当面の間、歌わないように」
と、学校関係、施設に対して国から指示が出ましたね。
保育園や幼稚園でもコロナ対策で歌わない保育をせざるを得ない園は多いかと思います。
私の勤める保育園もその中のひとつです。

よく、
幼少期から歌わないと音痴になる。
だから子どもの頃から歌は大事。
みたいな事を言っている方を見かけますが、
今回は、そんな事よりももっと大切なことがあると保育士も、そして子どもたち自身が気付きを得た話をしようと思います。

音楽は空間のインテリアであるように、日常から音楽がなくなると一気に寂しさを感じるようになりました。
これまでは「今から一緒に歌いましょう」と言っても興味を持たず歌わないでいた子どもたちも多かったけれど、
いざ日常から歌がなくなってしまうと、そんな子どもたちが歌を口ずさんでいるのです。

歌えなくなった代わりに毎日決まった時間に決まった曲を流す。
例) 帰りの会の前に、お帰り系の歌 など。
すると、曲を覚えてクラスの子どもたちがみんなで歌うのです。
とても楽しそうに、にこにこしながら歌うのです。
もともとお歌が好きだった子どもも、これまであまり歌ってこなかった子どもも一緒に。。。

いざ“歌えない”となると歌いたくなる。
歌うことの楽しさに気付いた子どもたちがたくさん増えました。

それなのに、そんな子どもたちに
「歌ってはいけません。静かにしましょう。」
と伝えるのはとても心が痛い思いです。
「お歌を静かに聴いてみて?」
という時間よりも、やっぱりお友だちと一緒に楽しく元気に歌う方が子どもも好きなのだろうと思いました。

もうすぐ卒園式。
卒園児、その保護者、卒園を祝ってくれる在園児、職員も集まって卒園児を送り出してあげることすら出来ません。

これまでは園歌や卒園の記念の歌も歌っていたのに、当然今はそれも歌えない。

歌の楽しさに気付いたのに歌えない。
卒園児は小学校に行っても、学校側も似たような対策中だから歌えない。

今まで得ようとしなくても当たり前に身近にあった音楽がなくなると、自分で歌って音楽を得ようとする。
人は意識していなくても音楽を求めているのだなと。

今まで歌おうとしなかった子どもが、
ダメだと言われているのに、それでも自分から歌って音楽の楽しさを求めようとする姿を見て、
実は音楽が好きだったのだな。と、嬉しく思ったと同時に、
せっかくの子どもの気付きに、思い切り歌の時間を作ってあげられないもどかしさを感じる日々です。

今は一刻も早くコロナが収まり、これまでのように日常に歌が戻ってこれる日を願って待つしかありません。

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