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サラリーマン

いつもの通り、朝5時起床。でもしばらくは、布団から出ない。

徐々に外が明るんできて、のこのこと布団から出てカーテンを開けると、上空には久しぶりの澄んだ水色に、鳥の朝の囀り。

道路のアスファルトの細やかな凹凸は、昨日までの雨でまだ湿っていて、斜めから射す薄黄色の朝陽を受けてきらきらに光っている。


「やっと乗れる。」

ロードバイクを抱えて、6時半、自宅を出る。

娘たちは、各々の部屋で眠ったまま。1mmも動く気配を感じなかったけど、生存していたのだろうか。



走っているといろんなことを考える。

もやもやとしたことも考えるし、前向きなことや嬉しいことや好きな人のことを考えてニヤニヤしたりもする。

走り出して5分後くらいには、上半身全体が汗で湿りはじめているのを感じられる。

最近は体力がついてきたのか、よほどハードに漕がないと、顔中にまで汗が滴るようなことは無くなってきたけれど。自分が少しでも汗をかいていると、身の心地がよい。軽さを得ていく。そして軽さは増していく。汗をかいたところに風が当たる。ひんやりとする。でも内側は、運動の熱で温かい。とても気持ちがいい。


喫茶店に着いて、簡単に支度を済ませて、「OPEN NOW」の看板を早々に表に出す。朝陽を受けた喫茶店の姿は白く眩しく美しい。嬉しい気持ちが増していく。




開店から30分。近所の友人が、約束通りにやってくる。カフェラテを淹れて、スコーンを焼いて、お出しする。


談笑していると、背広を着たサラリーマン風の男性が二人、喫茶店に入ってくる。これまでの常連さんには、いなかったような出立ち。

いかにも、上司とその直属の部下、といった感じ。


開業当初から喫茶店を知っている友人は、新しいタイプのお客さんに興味津々。

これこれ。

私、これがやりたかったから、「OPEN NOW」をふわっと、出しておくことにしたの。



お二人とも、ハンドドリップ珈琲を注文。

たまたま近所に仕事で来ていて、たまたま喫茶店の前を通りかかり、休憩に立ち寄ってくれたのだという。

ドリップしている間、仕切りに喫茶店について質問される。

「面白いねここ」と評して、「また来ます」と、丁寧にお名刺を手渡されて帰っていった。




「すごい、7年間で、喫茶店にサラリーマン風の人がいるの初めて見た。」

友人は楽しそう。

私も、楽しいし嬉しい。すごく面白い。


今日は午後から貸切なので、午前中、たった2時間の開店。

その中で、新しい出逢い、一件。



さて、次は、いつ。どんな展開?


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