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ショベルカー✕5G=遠隔操作の話
スマートフォンで高速通信”5G"という言葉が出てきてしばらく。
建設機械の業界でも、「5Gだ!高速通信だ!」と取り組んでいる様子を書いた記事があったので、自分なりに書いてみます。
私が最初にショベルカーで遠隔操作を見たのは、熊本大地震のときでした。
見たといっても、あくまでニュースで見ただけですが。
2016年に起きた地震で、阿蘇にある橋が落ち、山が崩れ、多くの人が道を寸断された災害です。
ニュースでは、遠隔操作されたショベルカーが活躍しています、といった内容でした。
あのときは、「へぇ、もう遠隔操作実用できてるのか」と興味がありました。
当時、建設機械メーカ各社も多少なりとも、この遠隔操作の必要性は感じつつも、ほとんど上市には至っていなかったと思います。
この理由は、おそらく下記の3点があげられます。
動きが複雑
通信による遅延(ラグの問題)
視界性の問題
1.動きが複雑について
車のように「走る、曲がる、止まる」だけではないショベルカー。
車両を動かすことに加え、ショベルカーならではの「腕」を曲げたり伸ばしたり、上半身だけがくるくる回ったり。すでに動きが難しそうでしょ?
さらには、バケットは、いろんなツール(アタッチメントと言います)に変わります。
子供たちがショベルカーのおもちゃで遊ぶとき、腕を巻き込ませながら土を手繰り寄せるように、すくうのはイメージできると思います。
あの手先の部分。あれが変わるんです。すると、手首を巻き込んだり伸ばしたりするだけでなく、手首が裏表くるくる回ったり、鍋掴みの手のように動いたりします。何ならもっと動きます。いろんなアタッチメントがあります。
ほら、複雑でしょ?(たぶん)
土を掘る→ダンプカーに入れるだけならまだしも、実現場であのアタッチメントを使いこなすオペレータさんはすごいなぁと思うものです。
2.通信による遅延(ラグの問題)について
操作に対して、機械の動きが遅れる、という問題です。
ラグ(遅延)が大きくなると、どうしてもオペさんと機械のタイミングが合わない。
例えば、リモコンのレバーを前進に倒した0.5秒後に機械が動き出し、レバーを話した0.5秒後に機械が止まる。
崖の近くでは、機械を落下しかねないですね。
3.視界性の問題
直接運転席から見る視界と、カメラを通してみる映像で見え方、感じ方が異なるという問題。
ショベルカーを動かす際、どうしても土を掘る場所、アタッチメントの先を見ます。
周囲の状況も把握します。
これが運転席とカメラ越しではどうしても違ってしまうのはイメージが付くと思います。違和感がありますよね。
距離感がつかめないとか、見たいところが見えないとか。
操作した時の感覚については、遠隔操作の教習や建設機械メーカの研究と努力でなんとかクリアしようとしてきました。
彼らの努力でどうにもならなかったのが、通信速度の問題でした。
ところが、これも2020年の「5G」のスタートで実用に耐えうるものとなりました。
ラグが小さくなり、オペさんも運転しやすくなったんですね。
5Gを活用した遠隔操作の実験では、
・日立が千葉から北海道にあるショベルカーを操作したり(2022年)
・東大初のスタートアップ企業が最大1000km先のモデルを動かしたり(2020年)
しています。
災害復興しようにも、オペさん不足といった昨今の課題や、そもそも現場が危なすぎて近づけない問題。
北海道のオペさんが、沖縄の豪雨・台風復興に遠隔で対応できるようになるのも遠くないとありがたいですね。
なんなら、日本から地球の裏側代表ブラジルまでリモートワークができるのかななんて思います。
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