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KYOTO GRAPHIE レポート 【Parallel World】

『私たち人類は一糸纏わない裸の姿でこの地球上に産み落とされた。あまりの無防備な姿に、神は哀れんで、体を包む布を生み出す技を備えてくださった。』

この冒頭から始まる、写真家の写真とこの度の展示に込めた想いは、一つ一つの写真とその見せ方にしっかりと表れていた。

Dior、ISSEI MIYAKE、YOJI YAMAMOTO、、、数々のファッションデザイナーやクリエイターたちが創り出す新しい服たち、そしてまたその真逆と言って良いような『民族衣装を日常的に着て生活する人々を記録するプロジェクト』の撮影を同時にしてきた写真家 高木由利子氏が、テーマとしたのは、パラレルワールドへのGATEWAYだ。

会場は、二条城二之丸御殿台所。
建築家の田根剛氏が高木由利子氏の体験したPARALLEL WORLDの境界線に、この二つの世界を自由に行き来するGATEWAYを造った。

会場の中には、その建物から匂う歴史の香り、民族たちの生を感じるリアル、デザイナー達の創り上げた芸術とも言えるファッションという表現が、見事に散りばめられていた。

私はファッションが昔から大好きで新しいものに割とチャレンジする方だ。
それと同時に、着物という日本が誇る伝統文化的芸術作品を大切にしたいという想いを持っている。
京都の呉服店の長女として生まれ、家の中には日常的に着物や反物を目にしていたけれど、正直興味は無かった。
けれど、大人になり、いろいろなブランドの服もドレスも着たおし、やっと最近、着物の美しさの虜になった。
パーティーでも、どんなドレスよりも勝る艶やかさがある。
着付を習い始めたのも、日本人が日常的に着ていたこの美しい衣を、やはり自分でもっと日常的に着る機会を作りたいと思ったから。

今日は、娘と主人と一緒に、出かける予定を以前からしていた。

娘が、「せっかくだから着物をママと二人で着て出かけたい!」と言ったので、二人で朝から、どれを着るのかワクワクして選び、それに合わせる帯、帯締めや帯揚げをコーディネートするのも楽しんだ。

ファッションは、今も昔も変わらず、着る人が、自分のため、誰かのために着飾るという楽しみとして存在する。
そして、着ることで美しくなる自分を誇りに思い、また他人も、美しく着飾った人を見ると気持ちがいいものだ。もしくは感激する時だってある。

古きも新しきもコンセプトは同じ。
だから、今日の会場の写真の中に写る人々が着ている奇抜で美しく新しいファッションも、民族衣装をその環境に合わせながらも、自身が美しく見えるように、または勇猛に見えるように着ている民族達の姿も、両方私の胸を打った。

会場を出たところで、スタッフの方が私たち親子に声をかけてくださった。
「KYOTO GRAPIEのパンフレットにお写真とインタビューを載せさせていただきたいのですが、お願いできますか?」

もちろん快諾した。
いくつかの質問をされて答えた。
そして最後の質問「京都人として、京都グラフィーに期待することはなんですか?」に対する私の答えは、
「温故知新。古いものを大切にすること、そして新しいものを知ること、これらの融合をこれからも期待しています。
そうすることで、伝統文化はきっと廃れず継承されていくから。」




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