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転機に気付け!風に乗れ! vol.15 新しいステージ

プライベートの整理の間、仕事は盛り上がり続けていた。
ビジネスパートナーたちに、今の状況を全て話した。

そして、わたしが、新しい人生に向かうために前に進もうとしていることを理解してくれた彼女たちは、さらに硬い握手を結んでくれた。

「大丈夫だから任せて、
随分私たちも成長したから、
あなたが今一番必要なことをキチンと済ませて来て。
その間わたしたちが、あなたが驚くほどの成果を上げておくから。」

わたしは思った。ここにも感謝すべき人たちがいる。

なんて幸せなことなんだろうと、心の底から思えた。
全てが上手く行くと思えた。

実は、離婚の手続きの途中で、元夫から連絡があった。
そして、それが最終決め手となり、新しいスタートのために、前のステージの終わりを決意したのだ。
その決意につながるエピソードを書き留めておこう。

元夫がいなくなり、2か月半経った時のこと。

家は結局引越しはせず、まずは電話番号と鍵を変えた。
ある日、鍵を鍵穴にさそうとガチャガチャという音が玄関から聞こえた。

驚いたけれど、息を殺して、無視した。
きっと夫だ。

動揺した状態では、話したく無かった。

ドアが開かないことを確認すると、諦めて遠のく足音が聞こえた。

そして数分後、わたしの携帯に公衆電話からの着信があった。

マンションのバルコニーの真下に電話BOXがあるから、そこからに違いない。
覗いてみると、元夫が、そこにいた。

心臓がバクバクと音を立てた。

でも、意を決して、その電話に出た。

「もしもし、今、家に帰ってきたけど、鍵が開かなかったし、家の電話は不通になってた。」

「あそこにはもう住んでいない。実家に帰ったから。」
と咄嗟に嘘が口から出た。

「今さら帰ってきても、帰れるところはないってことか。
とにかく悪かった、許して欲しい。事情を説明したい。」

「子どもは、あなたがいつ帰るかと、毎日聞いてきた。
答えることが出来なかった。
でも10日経った時、それは聞いてはいけないことだとあの子はわかって、一切そのことに触れなくなった。
その気持ちを思うと辛い。
あの子は父親に捨てられたと感じている。
だからこそ、わたしは新しく踏み出すつもりです。
母娘2人の人生を。
今、顔を見て説明されても、何が本当で嘘かも分からないし信用出来ない。
したくない!」

心からの叫びだった。

彼は黙って電話を切った。

次の日、母から電話があった。
「あの人から手紙がポストインされているよ。
今から持っていくからね。」

母が持ってきた手紙を覚えてる限りで書いてみたいと思う。

ー何から謝ればいいのか、何から説明すればいいのかも分からない。この半年、自分の身に起こっていたことを書きます。

勤めていたレストランに来ていた常連のお客様から声がかかり、共同出資でお店をやらないかと誘われた。

料理人である以上、それは夢だけれど、過去に失敗した経験もあるから迷った。けど、やはりもう一度チャレンジしたいと思った。

条件は良かった。

僕がシェフでもう1人店長候補がいて、そのお客様と3人でやろうということだった。

物件も見に行き、お金についてもその人が1番出資するということと、今のお店を辞めて準備をする期間の給料も前払いで出すということで、すぐにお店を辞めた。

そして、実際に振り込んでくれた。
自分も共同出資者として300万円ほどの借り入れの
保証人になった。
そして、その人とは音信不通になった。
本当に困った。
貴方にも全く内緒で進めていた話だし、言うことは出来なかった。
子どものことを考えても、自分が家族の元から離れて単独で借金を返すしかないと思った。
その後の生活は本当に悲惨だった。
日雇いの仕事をし、そのほとんどを返済に充て、タコ部屋のようなところで生きていた。
情けなかった。
思い返せば、3人で暮らしてたことが、今までの人生で最も幸せだった。
もし許されるなら、帰りたいと思った。元に戻りたいと思った。
でも昨日の電話で、貴方が新しいスタートを切った決意の声を聞いた。
だから、ぼくも新しいスタートを切ることにする。
今までありがとう。ー



涙が溢れた。
でも、本当なのか、嘘なのかも判断がつかなかった。
細かい嘘の多い人であったことと、何も相談がなかったことから、違和感も感じたし、でも、もちろん情もあるし、頭も心もグチャグチャになった。
その手紙を読んだのは、祖母の家で、母と叔母と祖母の前だった。
お婆ちゃんが一言言ってくれた。

「あんたにとってはほんまに複雑な気持ちになるような手紙やね。
あの子も悪い子やないんやけど、ちょっとアホやったなぁ。
情もあるやろう。
でも、1番大切なことは、貴方とかわいい娘が、
これから先、何かを心配したりする人生では無くって、
面白おかしく幸せやなぁ~って思える人生を送ることが1番いいやろ。」

この出来事が、離婚の最終決断となった。
わたしの新しい人生のために身を引いてくれたと思おう。
恨む必要は何もない。
この子を幸せにするためにも、自分が幸せになろう。
幸せは、幸せな人からしかおすそ分けしてもらったことはない。
だから、自分が溢れるほど幸せなら1番近くにいるこの子はものすごく幸せになるから。
そんな決断をした日でもあった。
そして、手続きを淡々と進めたのだ。

その後、会計年度末に、仕事では、素晴らしい業績を残すことが出来た。
最終月は、娘の誕生日のお祝い、仕事のお祝い、そして何より自分自身が新しいスタートを切れたことへのお祝いとして、ビジネスパートナーたちを誘い、北海道への小旅行に行った。
本当に晴れ晴れとした、気持ちのよいとても楽しい旅行だった。

ファイナルはスタート。

終わりがあるから、新しい始まりがある。




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