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未来へつなぐ陶芸 伝統工芸のチカラ展@パナソニック汐留美術館

こんにちは、ちあきんぎょです。

東京・汐留にあるパナソニック汐留美術館で開催されていた「未来へつなぐ陶芸 伝統工芸のチカラ」展へ行ってきました。


はじめに。


本展を主催する日本工芸会は、1955年(昭和30年)に発足。
1950年(昭和25年)文化財保護法の施行とその後の改正が発足のきっかけです。

その目的は、“重要無形文化財保持者(人間国宝)を中心に、工芸技術の保存と活用を促進させること“

重要無形文化財とは、平たく言うと「技」なんだそうです。

これまでの目に見える「物」への注目が、上記の文化財保護法の施行によって、目に見えない「技」への意識の高まりへと変えていきました。

人間国宝というのは、重要無形文化財を保持している人のこと。
つまり、高度な「技」を体得している人たちのことです。

本展では、人間国宝や伝統を創作の中心とした陶芸から、現代の陶芸家たちの新たな表現の在り方を陶芸家137名140の作品とともに見ていく展覧会です。

素晴らしい作品ばかりで、終始うきうきの止まない展覧会でした。
わたしの胸にとまった作品を図録の写真をお借りして、ご紹介したいと思います。(文中は一部敬称略にて失礼します)


濱田庄司

柿釉赤絵角皿 1970年 東京国立近代美術館

1955年2月15日、陶芸分野で初めて人間国宝に認定されたうちの一人です。柳宗悦とともに民藝運動の立ち上げの一人でもあります。

一見では、失礼ながら「ちょっとださい?」と思ってしまいました。
しかし、国立近代美術館で開催されていた民藝展を訪れたことで、「何となく良い」と感じる素養が身についた気がしています。

静かなるお洒落さ、それをモダンというのか何というのかはわからないのですが、自分の感性にすっと入ってくる感じがしました。


三代 德田八十吉

輝釉鉢 創生 1991年 東京国立近代美術館

わたしが陶芸に関心をもつきっかけの一つになった陶芸家で、人間国宝です。
これまでの陶芸へのイメージを一転するような、現代的な表現、色づかいだなと。

古裂会という骨董オークションで初代 德田八十吉の徳利を購入したことがあります。
九谷焼らしい色づかい鮮やかな作品でお気に入りです。

現在は四代 德田八十吉さんが活躍中です。なんと、女性の方です。
釉薬の色づかいは先代を引き継ぎつつ、女性らしい華やかで可愛らしい作品が魅力です。
YouTubeで活動の発信もされていて、明るく素敵な方です。


田島正仁

彩釉器 2016年 東京国立近代美術館

三代 德田八十吉が師匠だそうです。
器のフチの曲線が愛らしく見えて、紫色のグラデーションに引き込まれるものがありました。


井戸川豊

銀泥彩磁鉢 2015年

カイワレが可愛すぎる。
鉢の内側が光っているように見えて、まるでカイワレがスポットライトを浴びているみたいです。

描かれたカイワレは一見するとイラストのようですが、よく見ると写実的です。
鼻を近づけたら、ほろ苦い香りがふわっとしそう。


小形こず恵

染付瓶「朝顔」 2021年

器そのものが朝顔の形となっています。開いた花弁につづく曲線が優雅で、染付も繊細。
夜になったら花弁がしぼんで、朝にはまた花開く姿が思い浮かびます。

まるでアール・ヌーボーを思わせる作品だなと。
エミール・ガレのガラス器を思い浮かべる人も少なくないはず。


岡田優

白釉稜線鉢 2013年

写真だけでは伝わりにくいかもしれません。
鉢の縁が手前にずいっと伸びてくるんです。

立体的というか、厚みがあるというか、迫力があるというか・・・
わたしの語彙力では表現が難しいのですが、「・・・あっ、すごい」となる感覚なんです。

“作者の暮らす宇治市炭山の山々から吹き下ろす風が舞い上がる様子を表現”したのだそうで、その言葉に腹落ちする部分がありました。


小枝真人

染付金魚鉢 2018年

金魚が好きなので、思わず見惚れてしまいました。

染付の美しさや優雅に泳ぐ金魚にも目が行きますが、思わず出た一言は「この金魚、蝶尾かな?」でした。

蝶尾は、特徴的な尾びれをもっていて、泳いでいる姿を上から覗き見ると蝶が舞っているように見えます。
出目なのも可愛いポイントですが、購入するとなるとちょっとお値が張ります。

金魚作品といえば、深堀隆介さんが有名ですよね。
最後にリンクを貼りますので、ぜひご覧になってみてください。


十五代 坂倉新兵衛

萩灰被四方平皿 2013年

山口県の焼き物である萩焼は、本来ほとんど絵付けを施さないのだそうです。
そういった歴史を尊重して、土の質感を大事にした表現が評価されました。

土感のある面に描かれた朝顔は、何だか壁画のようです。


高橋奈己

実 2017年 茨城県陶芸美術館

「わ、可愛い」と思わず声が漏れてしまいました。

やわらかな陶芸という感じ。
和紙で作ったぼんぼりのような。
手でくしゃっと潰せてしまいそうな。

作品名は「実」ですが、わたしは「蕾」のような気がしました。
これから花開くような生命力を感じました。


最後に。


ちょっと自分語りをさせてください。

わたしが美術館へ行くようになったのは、ここ数年のことです。
西洋絵画への関心から美術館通いをはじめたので、日本画やデザイン、現代アート、そして今回の陶芸への興味は数年前はありませんでした。

わたしの主人は、中小企業を中心に財務や経営相談をしています。

お客さまの中には古美術商の方もいて、メインは鎌倉や室町時代の仏像などですが、古伊万里の大皿や民藝などについても教えていただくことがあります。

手前味噌ですが、このへんもちょっと記事を書いているので、よろしければ。
可愛らしい古伊万里たち!@戸栗美術館
MOMAT「民藝の100年展」でスーパーマンと出会った。

それがきっかけで、自分たち夫婦も焼き物への関心が生まれ、石川県へ旅行した際には骨董屋さんへ立ち寄って九谷焼のお皿を購入するようになりました。

わが家の九谷焼コレクション

江戸時代まで遡ると、お皿の価格もぐぐっと上がってしまうのですが、大正~昭和時代のお皿は手が出しやすいです。

現代の九谷焼作家の山本長左さんのお皿は、フチの彫りが繊細で、絵柄も可愛らしくておすすめです。

見る関心から、所有する関心へ変わっていくと、より美術が楽しくなっていくのではと思います。


さて、自分語りこのへんにします。

「未来へつなぐ陶芸展 伝統工芸のチカラ展」とても楽しく、素晴らしい展覧会でした。

東京の会期はすでに終了していますが、これから各地を巡回するみたいです。
ぜひ、お近くにおいでの際は立ち寄ってみてください。


参考、写真引用、リンク集


『未来へつなぐ陶芸展 伝統工芸のチカラ展』
企画構成:唐澤昌宏(国立工芸館館長)
発行:NHKエンタープライズ中部 発行日:2022年1月15日
愛知県名古屋市東区東桜1-13-3 052-952-7373



最後までご覧くださり、ありがとうございます。
noteとは趣が異なりますが、わたしもYouTubeでわが家の金魚の可愛さをお伝えしています。
ぜひお時間ありましたら、足を運んでくださると嬉しいです。笑


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