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深夜にプリンターのインクが切れた場合の対処法。

昨夜、レーザープリンターをAmazonでポチった。
学生時代は大量に論文を印刷していたが、卒業してからは紙に印刷する機会は大幅に減った。が、それでも時々印刷をしたくなることがある。
家の裏にコンビニがあるとしても、文章や設計図を自宅で印刷したいのだ。

既に自宅には、何年も前に購入し、現在もスタメンのインクジェットプリンターがある。古すぎるので写真はコンビニプリンターに頼ることも多いが、大抵のことはこのインクジェットプリンターで事足りる。スキャンもできるからコピーも楽々。
しかし、数ヶ月に一度必要になる日にはインクのどれかが切れている。
そう、インクジェットあるあるなのだ。
腹たたしいことに、モノクロ印刷だとしてもシアンやマゼンタがひとつでも切れていると完全に印刷ストライキを起こす。『マゼンタさんちのことなんか知らないわよ!うちはうち、よそはよそでしょう!』という気持ちになるし、ほとんど黒しか用事がない。
加えて、前回交換したばかりのインクが1度も使わないうちに干からびてしまう。一斉に干からびてくれればいいがロシアンルーレット方式で干からびるので謎にストックが余る色も出てくるし、弾丸(インク切れ)は多めに充塡されていてるようでしょっちゅう当たる。ひどい嫌がらせを受けている気持ちになる。

私は善きユーザーなので、インクは純正のものしか使わない。Amazonのお急ぎ便で注文しても、毎回3500円弱の出費を急遽強いられる。1枚350円以上のコストがかかることもある。じゃあコンビニプリントでいいじゃない?と考える人もいるだろう。でも深夜にたった1枚の印刷のためにコンビニに行く手間を省きたいから私はプリンターを購入しているのだ。購入しているからには譲れない。

こうした悪名高き「インク商法」はもう何年も前からその問題点を指摘されているし、勇気あるひとりの米国人男性の行動によって業界のインクの価格が下がったという出来事も起きている。
インク残量が1%を切りましたとプリンターには表示が出ているのに、容器にはインクがなみなみとある映像が流れたわけだが、それは昨夜私の家で起こった出来事と全く異なる現象であると誰が言い切れよう?
そうして日頃の不自由さがあいまって、不信感の塊になった私は、ついに(オフィスでなければ)使う人が限定されていると言われているトナーに手をだす決心をしたというわけだ。インクは使わない間も蒸発し消え失せて行くけれど、粉を吹き付けるレーザープリンターならば、何ヶ月放置していてもインク粉が消え失せる事はない。そして私はカラー印刷はしないのだ。
トナーは1つ9000円ほどしても3000枚ほどの印刷ができる。私の自宅では3000枚印刷するのにいくらかかるのだ?1枚350円だとして105万円である。
スキャナーの機能を失うが、スマホにスキャンアプリがあればそれで足りてしまう、もう買わない選択肢はない。ポチ。

そうして10年近く使ったプリンターを買い替えることにした。この10年、本当に役立ってくれた。そして、なぜもっと早くにこの結論に至れなかったのか。きっと必要な頻度が少なく、かつその場その場で対処をして熱さが喉元を通り過ぎてしまえば、私はストレスの原因から離れたくなり、そのせいであっさり思考停止に陥ってしまっていたのだろう。ストレスを感じた際に、ほんの少し粘り強く考えていれば、私はもっと早い段階でレーザープリンターに買い替えていただろう。
大学院への出願書類提出時期にも、修論の締切に追われた時も、深夜にプリンターのインクが切れては発狂してコンビニに駆け込むストレスは簡単に回避できたはずだ。
小さな思考停止が長い目でみたら人生に大きくマイナスの影響を与えていることなど、世の中にごまんとある。
このケーキを食べてからダイエットしようとついつい考えてしまうこと。この1本でタバコを止めようという決意、エコバッグを持っていなくて、いつもスーパーで後悔すること。来年には舌下免疫療法を受けようと毎年2月に考えてしまっていること。
個人的なことにとどまらず社会についても同じことが言える。いや、こちらのほうが影響も大きく深刻だ。
例えば、何年も何年も、大きな信念などないのに同じ政党に投票し続けること、痴漢を回避するために混雑する時間帯を避けて電車に乗ることが当たり前になり、痴漢がなぜ根絶されないのかという根本的な議論には至らないこと。コンビニのビニール傘が高確率で盗まれやすいこと。
大勢の悪意のないちょっとした思考停止が、大きな不正義を作りあげることなどよくあることなのに。
小さくて大きな罠にはまらないように、これまでよりほんのちょっと粘り強くあろうと思う。私はどちらかというとしつこいほうなので、ほんのちょっとね。


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