見出し画像

創作小噺「夏場の猫」

こんな暑い日は、クーラーのきいた部屋でのんびり寛ぎたいところでありますが、実際涼しい部屋にいてもなお暑いということはございまして。
いやね、うちには猫が居るじゃありませんか。ええ、その肉の垂れた図体ばかりがデカイうちのトラ猫でございますよ。ええ。

で、この猫。何をとち狂ったのか、人の首にびたーーーっと身体をくっつけてくるのが好きなもんで。これがまた暑い。ほんと暑い。
猫ってのは人間様より体温がちと高いんでね、平熱が38度かそこらときてます。だからもうね、それだけでも十分暑いんですよ。
だってんのに、さらに加えて毛がね。モサモサっと生えてる。これがまた、暑い。

猫がくっつくことによって、こっちは軽く汗ばんでくるんですがねぇ。ここに毛がべたーっと。時にはちくちくーっとね、くるわけなんです。
え?もふもふしてて気持ち良さそう?
バカ言っちゃぁいけませんよ。ありゃ好きなら許せるってもんじゃないんです。ほんと、暑い時にはつらーいもんなんです。

それだけならまだしも、こー、耳にもね、べたーっと身体がくっ付いてくるもんで。猫の息遣いやらなんやら、まーうるさい。ゴロゴロゴロ〜。フガフガ。耳元でやられてみなさい。このくそ暑いってんのに、やかましさまでプラスされて暑さはさらに増すばかりなんですから。

いやね、分かりますよ。猫にきっと好いてもらってるからこそのこの状況なんだってことくらいはね。
でもねぇ、正直気持ちいいものじゃぁありません。重いですしね。ええ、重いですとも。
ですからもう退けたいんですけども。あ、言い忘れてましたが、これをやられるのは大抵ソファに座っている時でして。私の胸の上あたりにお尻があるとしますと、こう肩のほうに頭をのせ、べた〜っと寝そべる。さらには腕を伸ばしてソファの背もたれに爪をたて、がっちりつかんでくる訳なんです。

これが重さとあいまって、びくともしません。頑張ったってどうにもなりません。外れません。離してくれません。腕をぐい〜っと持ち上げようとしたならば、ソファがバリバリバリーってね、ひでぇことになっちまう。
んなわけで、まぁこれが多い時は日に3度か4度。苦行です。

んでもね、可愛いんです。目にいれても痛かねぇってほんとなんですね。こうね、愛情がふつふつ〜っとね。思い通りにゃぁなりませんが、ならないからこそ愛おしい。
どうです、夏場の猫。愛でてみちゃあ、いかがでしょうか。



画像1

随分前にFacebookに投稿してたものをちょっと修正して掲載してみました。


最後まで読んでいただきありがとうございます。 暑くなってきたので冷たい飲み物が美味しいです。