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イモづる読書【その24】こてん!と眠れる電子書籍 ・・・赤川次郎『やりすごした殺人』から『ボクのミステリ作法』-3・・Ⅱ ボクのミステリ作法〈実作編〉

『ボクのミステリ作法』の続きです。二部構成になっています。
I ボクのミステリ作法〈首吊りエッセイ〉
Ⅱ ボクのミステリ作法〈実作編〉
後半、Ⅱ の〈実作編〉の紹介です。


赤川次郎『ボクのミステリ作法』のⅡ部 〈実作編〉は、紙面上の創作LIVE中継!

〈実作編〉には、4本のショートストーリーが掲載されています。
3本は書き下ろしのようで、1本は、新人賞受賞後の作品です。【シランケド!】

4本のショートストーリーの本文の要所、要所に

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(注 N)がふってあります。
クリックすると、「著者の独り言」コーナーへ飛びます。
ここが、赤川次郎風指南書です。
それもほとんどが、ワンラインでスッキリ清涼飲料です。
例えば、
「タイトルが先に出来上っていたので、話はあとから考えた」
「舞台の説明はいつもこの程度しかしない。あとは読者のイメージに任せたいのである」「主婦・・・スーパー」「こういう設定は、おそらくミステリー特有の・・・」といった舞台設定のコメントだったり、

「この時点では、まだ謎も考え出していない」
「もちろんアクロイド殺し」の連想」
「・・・・・七つ道具が出て来るのをヒントにしている」
「ロマン・ロラン「ジヤン・クリストフ」
「ネロ・ウルフあたりから・・・・・」

キャラクター 名前のつけ方に関しては、
「時間を食っている」とか「画数」が少ないからこれにしたとか、

「この辺で謎を作る」

「・・・だから、後で食い違いが出ても、矛盾にならない」
「「夢だった」で逃げられる」
「こういう囮(オトリ)を使った作戦は、大体苦し紛れに使うことが・・・」
「こういう「偶然」はあまり使うべきでは・・・・・』

創作LIVE中継です。作者がここで「何を考えていたか」がとても参考になります。【うん、ほんまやで!】

『ボクのミステリ作法』のⅡ部 〈実作編〉は電子書籍がお似合い

4本のショートストーリー本文中の(注 N)をクリックすると、「著者の独り言」コーナーへ飛びます。
「著者の独り言」を読み終えて、その文章をクリックすると本文に戻ります。
この機能は紙の本では実現しないので、電子書籍らしさがうれしい!

『ボクのミステリ作法』は、創作術の清涼飲料だ!

ストーリー創作指南書は数多く出版されています。
『シド・フィールド』の時代は、シナリオ創作と小説創作の指南書は明確に区別されていました。
『SAVE THE CATの法則』の時代も、わかれていて、三部作はシナリオで、小説用には、著者も違って、『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』です。
いつの頃からか、「ストーリーテリング」という技法は、シナリオでも小説でも同じように有効ということになりました。
『ストーリーの解剖学 』副題は「ストーリーテリングの名手になるための22ステップ」、マッキーの『ストーリー』「ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則 」など、脚本・戯曲・小説・漫画原作であれ、名作執筆のための指南書になっています。

そして、だんだんページ数が増えて、『ストーリーの解剖学 』や『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』は、うんざりする情報量になってきました。

それに比べると、『ボクのミステリ作法』という至難書は、スッキリさわやか・・・強炭酸のようです。

まとめ I〈首吊りエッセイ〉は食前に服用

「はじめに」もなければ「後書き」もありません。
〈実作編〉の解説は、上記のLIVE中継・・・「この辺で謎を作る」・・・
このようなオンラインだけです。

が、これが効く!

I ボクのミステリ作法〈首吊りエッセイ〉を読み終えて〈実作編〉に入ると、
いっそよく効きます。
I〈首吊りエッセイ〉は食前に服用してください。
さらに、I〈首吊りエッセイ〉で紹介されている参考書籍を読むと、
いっそ効き目が出てきます。

私が隠退して住むのに、この日本の山間(やまあい)の小さな田舎(いなか)町(注2)
〈著者の独り言〉
(注2)舞台の説明はいつもこの程度しかしない。あとは読者のイメージに任せたいのである。

しかし、(注1)で、

(注1)エッセイ中の「タフは名探偵の条件か」に書いた、
「ジェームズ・ボンドがセント・メアリ・ミードにやって来たら」という着想に基づいた作品である。もっともタイトルが先に出来上っていたので、話はあとから考えた。

ということで、I〈首吊りエッセイ〉に紹介されている『アガサ・クリスティーの「バートラム·ホテルにて」』を読むと、小さな田舎町がどんな村なのか・・・・・・いろいろ仕掛けがあります。【うん、ほんまやで!】


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