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ぼくの名前はズッキーニ

これも、前情報全くない状態で観た作品。
ストップモーション映画が好きで、有名なナイトメアビフォアクリスマスとかフランケンウィニーとかとか。ティムバートンが大好きです

主なあらすじは
夫がメンドリ(スラングで若い女という意味)と出て行った後にアルコール依存症になった母親と二人で暮らす9歳のイカール。
母親の機嫌を損ねないよう屋根裏の自分の部屋で息を潜めて暮らしている。
家中に転がる母親が飲んでいたビール缶を集めてタワーを作っていて、最後の缶を乗せようとしたところで崩壊。
その音を聞いて母親が怒鳴り込んでくる。あまりの恐怖に部屋のドアを閉めたところ、不慮の事故で母親が亡くなってしまい、身寄りのないイカールは事故を担当した警官と一緒に、孤児院に行くことになる。
荷物は、鞄と、父親の絵と裏に雌鶏(母が父がメンドリが好きだと皮肉を言ったことがあり、その為)が書かれた凧。
様々な問題で親と暮らせない子供たちが集まっている孤児院。
薬物中毒で刑務所送りの親、窃盗で刑務所送りの親、性的虐待をしていた親、強制退去で帰国して親、大食いで変な健康志向を持つ親。イカールという本名とは別に、母親に呼ばれていたズッキーニという愛称があり、周りにも自分の事をズッキーニと呼んでもらうようにしていた。その名前を、施設のボスであるシモンがからかう。
ズッキーニは気力もなく、ただやりすごしている。初めての朝を迎えると、シモンがズッキーニの凧で遊んでいて、ズッキーニが激怒して、シモンと喧嘩になる。その後、シモンがズッキーニのことをズッキーニと呼び、和解して、自分の身の上を話し、仲良くなっていく・・・と言うのが主なあらすじで。

シモンが、ここにいるやつは誰にも愛されない子たちだと寂しそうに言うのが、本当に悲しい。
誰よりも一番に愛されるはずの親に愛されず、常に孤独感を感じながら生活をしている子供たち。一見、楽しそうに見えても永遠にぬぐえない寂しさがずっとあるんだろうと思うと、それだけで号泣です。

ズッキーニは、孤児院での出来事を絵と文章で手紙を書いて送ります。日々、起こる楽しいことや、何気ない事。警官は時々、施設に顔を出します。でも、ズッキーニは警官がいつか来なくなるのでは・・・と不安におびえて。

この映画は、視線がとても上手で、目の動きだけで不安だったり悲しみがとても良く表現出来ていて、遠足で雪山に出かけたとき、みんなでワイワイ楽しく騒いでいたところに、母親と子供の親子連れで子供が母親に甘えて抱きしめられる様子を見て、一瞬、子供たちの会話が途切れ、親子の仲良さげな様子を、ただ見ているシーンがあります。
その場にいる子が、自分たちも・・・と姿を重ねて見ているのが、本当に切ない。

それでも、施設の職員はみんな優しくて親切で、それがとても良かった。
ポテトを食べる音がとても良い。

日本にも、こんな子供たちがたくさんいて、どれだけ親切にされても心の奥に誰にも癒せない傷や悲しみがあるんだろうと思うと、とても切ない。

警官がズッキーニとカミーユを引き取りたいと言ったとき、涙腺崩壊でした。こんな人はめったに居ないんだろうし、本当に幸運な出来事だと思います。
その話をシモンが聞いてしまって、ズッキーニと喧嘩になります。
ズッキーニが出ていかないとシモンに告げると、シモンがズッキーニに掴みかかったところで、この年の子供を引き取りたいっていう人はほとんどいない。こんな良い話はないからお前は行け。俺たちの為にも。
と、背中を押します。

シモン、本当に良いやつ・・・。
悪ぶってるけれど、仲間の事を思って身元を聞いたり、いつも今日の気分カレンダーは最悪だったのに、最後の時だけ晴れマーク。

警察官の家に行って、与えられた自分の部屋で
カミーユが涙を流します。
自分でも何で泣いているのかわからないカミーユ。
ズッキーニが嬉しいときにも涙は出るよと教えてくれます。
今まで、悲しい涙しか知らなかったカミーユの新しい一面。
失うものばかりで、久しぶりに手にしたもの。
そんな綺麗な涙でした。

ただ、吹替よりは字幕で観た方が良いかと思います。
吹替は、もう少し、若い声優さんだったら良かったのに・・・と思います。
40歳の方がやっているらしくて、少年というよりは青年って感じ。

字幕の方が声も合っていて世界観に入りやすい気がします。

誰だって最初から、愛せないわけではなくて少しの事で積もり積もって
虐待っていう方法になってしまったりするんだと思います。
それでも、子供は幸せであってほしいと願います。






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