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日記 桜の根

二月二日
概ね晴れ

 夜ふかしがたたって10時に起床。せっかくの天気だからすぐにでも野良仕事にとりかかるべきだったが、こういうとき、かえってゆっくりしてしまうのはなぜだろうか。優雅に茶漬けをすすり、ちんたらコーヒーを淹れ、タバコを二本吸ってからようやく動きだした。

 ニックたちの世話をさくっと済ませ、おとつい買ったコシアブラの根を植えに畠にむかう。

 わたしは山菜が好きなので、これまでタラノキやウドを増やしてきた。お次はコシアブラを増やす作戦である。
 この時期、園芸店にはさまざまな山菜の根が出回る。記憶にあるものをいえば、上記の三つの他、ワラビ、コゴミ、ワサビ、ギョウジャニンニク、ヤマノイモといったラインナップだった。
 ちなみに、タラノキは「山菜の王様」、コシアブラは「山菜の女王」と呼ばれるらしい。山菜の王国をつくる所存だ。

 樹木つながりでいうと、わが棚田には、栗の切株から生えてきた枝垂れ桜がある。

 栗に桜が生えるというだけでも驚愕にあたいするが、これが年々着々とおおきくなっているのだ。ただ、朽ちているとはいえ切株に根を張れるものだろうかと、わたしはすこし案じてもいた。
 それが、きょう下草を刈っていると、なんと切株の下のほうから根が突き出しそのまま土に刺さっているを発見した。

 この力強さよ。息をのんだ。まったく天晴れである。
 この桜をはじめて確認したのは、わたしが大宇陀にきた2015年のことである。当時はまだほんとうに小さい姿で、いじらしい健気さにほほえんだものだ。

 それが四、五年でこのような強靭な様を見せることには、素朴に驚嘆せざるをえない。今年はいよいよ花を見られるだろうか。

 のこりの日没までの時間は、田んぼの整備にあてた。
 そこは畠に転用された田であるが、稲の作付けを増やすために今再び水田に戻そうとしている。畦を修復したり畝を均したりするのである。(あいにく電池切れで写真は撮れていない。)

 作業の合間に、ふきのとうを探してみたら数個見つかった。梅の蕾もふくらんできている。春は目前だ。

#日記 #随想 #つち式 #農耕 #エッセイ

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