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初心者のための天文講座~天体について その5 衛星~

ここは初心者の方に向けてお話をしています。
中には細かいところの説明を省いたりしているところが多々あります。
そこのところご了承ください。

前回は小惑星についてお話ししました。天体についてのお話ももうあとわずかです。
それではおさらいしてみましょう。

天体とは、「宇宙空間に存在する天然の物体」のこと。
そして天体は恒星・惑星・準惑星・小惑星・衛星・彗星・外縁天体などに分類されている。
恒星とは、自らが光やエネルギーを放つ巨大なガスの塊で、夜空で輝く星々や太陽が恒星の一つ。
惑星とは、恒星を公転する岩石・ガス・氷などの天体のこと。
準惑星とは、太陽の周囲を公転し、惑星と衛星以外で球形を保っていられる大きさの天体のこと。
小惑星とは、他の天体に比べるとごくごく小さくて不定形な天体だが数は膨大に存在。ほとんどは火星と木星の間に存在してるが、たまに惑星の軌道周辺にいたり、大きく楕円軌道を取ったりしていたりする。

それでは今回のお題、衛星についてお話していきましょう。

・衛星とは

惑星などの周りを周回する星、それが衛星です。
地球のようにひとつの惑星などに衛星が一つ、というわけではなく、たくさんの衛星を持つ惑星もあれば、一つも持たない惑星もあります

例えば地球は一つの衛星を持ちます。土星にはなんと82個あるといわれています。
一方水星と金星は一つも持っていません。

そして衛星は惑星だけに付き従ってるわけではありません。準惑星や小惑星の周りを回っているものもあります。
そして惑星などの周りを回っているからと言ってすべてが衛星と呼ばれるわけでもないのです。
惑星である土星には周りに輪がついています。この輪はごく小さな岩石や氷などが円盤状に散らばったものです。この輪を構成する小天体に関しては衛星の範疇に含まれません
この輪については、後日ひとつひとつの天体をフィーチャーする予定なのでその時にお話しします。

・衛星の意味

衛星という言葉、まもるほしとはいったい何なのか。何から守っているのか。
その語源はラテン語にありました。「satelles」「サテッレス」と読むのでしょうか。この言葉の意味は「従者」を意味します。つまり付き従う人ですね。
衛星は惑星などの近距離を周回する軌道から、惑星の従者となぞらえてsatelles、英語になると「satellite(サテライト)」と呼ばれ、日本語に訳されたときに主人の身をまもる星ということで衛星となりました。

・衛星の歴史

衛星のうち一番最初に衛星として発見されたのはもちろん月である。いいえ、これは間違いです。なぜなら月は元々惑星の一つと思われていたのです。
有史以降、最も正しいというか当たり前のように思われていたのは天動説でした。これは簡単に言えば地球が宇宙の中心にあり、その他の天体が周りを回っている、という説です。紀元前4世紀ころから始まり、2世紀には天動説が体系化されていたと言います。
そんな中でイタリアの物理学者であり天文学者でもあるガリレオ・ガリレイ木星の周囲に4つの天体があるのを発見し、数日間観測することによって木星の周りを回っていることが確認されました。
この4個の天体はイオ・エウロパ・ガニメデ・カリストと名付けられ、衛星として発見された最初の天体となりました。これら4個をガリレオ衛星と呼んでいます。
その後、観測技術の向上により、現在では太陽系内で214個確認されています。

・衛星の特徴

衛星はどんな物質でできているのでしょうか。
主に二種類に分かれると言われます。ひとつは岩石が主体となっている衛星。もう一つは岩石と氷でできている衛星です。
ガスが主成分の衛星はどうやら無いようですね。

衛星は惑星の周りを回っているのは何度も言っていますが、回り方に2パターンあります。
ひとつは規則衛星と呼ばれる、惑星の公転軌道とほぼ同じ平面上に軌道を持つ衛星
もうひとつは不規則衛星と呼ばれる惑星の公転軌道面から大きく傾いている軌道となっている衛星
この不規則衛星は小惑星が惑星の重力に捕らえられ、衛星となったとされています。

・衛星の大きさ

衛星の大きさはピンからキリまであります。
まずピンの方は直径が5000km以上になります。このサイズがふたつ。4000~5000kmサイズがひとつ。3000~4000kmサイズがみっつ。
この6個のうち、4個が木星の衛星。先ほど出てきたガリレオ衛星の4個です。ひとつが土星の衛星タイタン。最後の一つが地球の衛星の月です。
なんと巨大惑星である木星や土星の衛星とそれに比べて小さな惑星の地球の衛星が大きさでは並んでいるのです!不思議ですねぇ。このあたりのお話もまたいつかしてみたいと思います。
そしてキリの方。最小は今のところ0.15kmのS/2009S1と呼ばれる土星の衛星です。2009年に土星探査機カッシーニが発見し、名前はまだついていないようです。

・天然でない衛星

天然の存在である衛星ですが、天然でないもの、つまり人が作った衛星があります。人工衛星ですね。
地球の周りを数多くの人工衛星が周回しています。暮らしに近いものはスマホの位置情報やカーナビの機能に大きく影響するグローバルポジショニングシステム(全地球測位システム)いわゆるGPSや、船舶・航空機などの航行システムを機能させるための測位衛星。そのほかにBS放送を送信する放送衛星。衛星電話等の回線を送受信する通信衛星。気象予測に欠かすことのできない気象観測衛星。他にも地球観測衛星軍事衛星もそのひとつですね。宇宙ステーションなんかも人工衛星の一つとなります。
世界初の人工衛星は1957年に打ち上げられた「スプートニク1号」。スプートニク「Спутник」とはロシア語で衛星を意味するそうです。衛星1号。わかりやすいですね。
その後、現在までに各国で打ち上げられた人工衛星は7600機を超えていて、回収・落下したものを除いても、軌道上には4400機以上存在すると言われています。

・準衛星

これは非常にわかりにくいのですが、あるひとつの惑星から観察すると、その惑星の周りを回っているように見える天体のことで、惑星を公転しているなら衛星じゃないの?思われるでしょうが、その天体の公転の中心は太陽であるため衛星ではない天体のことです。分類的にには小惑星となります。
また、惑星と準衛星は同一の公転期間となります。

準惑星説明

非常に雑な図で申し訳ありませんが、青が惑星、緑が準衛星、赤が太陽とします。図のAの地点では準衛星は惑星の太陽寄りに存在します。しかしBの地点では太陽と反対側に位置します。これを惑星上から見ると惑星より太陽寄りにいた天体がいつの間にか外側に変わっており、また内側に変わるため、あたかも惑星の周りを回っているように見えるのです。公転期間が同じため、毎年同じ軌道で移動しているように見えます。
しかし、公転の中心は惑星も準衛星も太陽なのです。惑星が中心の衛星とはそこが決定的に異なります。
地球にはこのような準衛星が16個あります(候補も含む)。他惑星では金星と海王星にそれぞれひとつずつ発見されています。

・孫衛星

惑星の周りを回るのが衛星なら、衛星の周りを回る天体は何というのか。
それが孫衛星と呼ばれる天体です。
現在、この孫衛星の存在は確認されていません。いまはまだ仮説上の天体です。
存在できない理由として、惑星と衛星の引っ張り合う力の影響により、衛星の周りを回り続ける軌道となるのは不安定すぎるせいではないかと言われています。

・まとめ

それでは衛星のまとめに入りましょう。
衛星とは惑星の周りを周回する岩石や氷でできた天体。ひとつの惑星にひとつではなく、持たない惑星もあれば何十個も存在していることもある。

それでは今回はここまで。次回は彗星についてお話していきます。
それではまた来週お会いしましょう。

ここまでご覧いただきありがとうございます。
ぜひ次回もよろしくお願いします。

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