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ベトナムあるある?突然のお引越し通告顛末記

ベトナムあるある物件事情

私はホーチミンで暮らすことが大好きですが、外国人ならではの大変なお話もよく聞きます。そんな中の一つが、物件の賃貸契約。

概ね穏やかに過ごせることの方が多いのですが、特にお店などをされている方が唐突に家賃二倍通告を受けたり(儲かってるお店がふっかけられ易いとか)、私が聞いた酷い例の中には、ある朝出社したら鍵が変えられてて、そのまま店の中に入れず。店内の物ごと没収に近い憂き目にあったとか。

店内に特殊な改装を施していたり、価値の高いものが残されていたら、それっこそ一生の大損です。契約書があればなんとかできそうなものですが、それでも大家側に強みがあるのに変わりはなく、泣き寝入りになることもしばしばあるそうで。

もちろんそれは当たり前、ではなく、特殊な例ではあるのですが、遭遇した人は一事が万事になりかねません。そして契約内容などある程度まではこちらも気をつけることができるのですが、通りの通らない人というのはどこの世界にもいるもので。

また、致し方ない事情に納得せざるを得ないことも。
例えば今回の私の場合。

突然の立ち退き通告

ことは先週のある朝のこと。懇意にしてくれているアパートの事務の女性が珍しく部屋に訪ねてきて書面を渡し、読めと言う。なんなの?と聞くと、普段ならそこからお喋りに移行するのに、頑なに書面を読めと言う。

何だろう?と思ってザッと英語の文面に目を通すと…?
え、出て行けって書いてある?どう言うこと???

彼女を見ても、困った顔をするばかり。
後で聴くと彼女もその通告を持って来る数十分前に聞いたばかりなのだと。ありゃま、そりゃテナントの動揺を受け止めるどころじゃないな。ご自身がいろいろ大変だろう。

事情を聞くと、どうやら最近入った新しいマネジメント会社が新規に事業申請しようとしたところ、これまで容認されていた建物の規格が突然の申請却下。「老朽化による安全面の懸念から」、居住用にはそのビルを使えなくなったと言う。

そしてそのビルは改装が必要だから一時的に別のところに、と言う話かと思ったら、オフィスビルに立て直すからもう住める場所はなくなると言う?!

さらに、その引越しが一週間後!
何と言うスピード感!!

こんな事態もベトナムならでは、そしてこの速度感もベトナムならでは。ビジネスではこの速さが勝ち目になることもあるのでしょうが、一週間でお引越し!ヒーッ!

最近の中ではなかなかな大波でしたが、致し方ない。大家の嫌がらせとかではなく、お上に指導でビル自体が逆らいようがないというなら、店子になんの抵抗ができよう。飲むしかない、という案件。

積極的にネゴシエーション

幸いだったのはグループマンションが別にあり、希望者にはそこに部屋を確保してくれると言う。なので短期で部屋探しと言う苦行は免れた。

友人に、急な立ち退きだけど部屋を用意してもらえたと言ったら「そりゃ良心的だね!」と言うくらいには手厚い待遇。まぁそっちの空きがあったのだったら、この機会に希望者で埋めた方がマンション側も得ではあったのだろうけど、そこは両者の落とし所と言うべきか。

理不尽に近い立ち退きを告げられ、なに対等な立場で話をしているの?と思われるかもしれませんが、ゴネたところで、じゃあやっぱりここに住んでていいよという話になるわけもなく、ここは、より自分に不利がないように、できれば有利になるように落とし所を探るのが合理的。

部屋契約をするときも同じですが、日本人は割と貸す側の条件ありきで、それに同意するか否かで考えがちかと思いますが、ベトナムでは交渉ありき。こう言うサービスつけてくれない?こう言う備品を揃えてくれない?と言ってみると、意外と「おっけー♪」となることもある。

向こうも呑めないものは呑めないと言うので、リクエストを言うてみるだけ言うが得。もちろんそれが突拍子もなさすぎたり、あまりに相場を無視したものだと「こいつ何もわかってないな」と逆に足元を見られるので、そこは日頃からの情報収拾と交渉力がものを言います。

ええ、私も下手くそなんですけどね、そこ。
ただ幸いにも、事務の子たちとは普段からとても良い関係を築いてきたと思うので、腹を割って話すことができました。

と言うか、彼女たちも突然のことに困惑していてお気の毒。テナントに対して矢面に立つのは彼女たち。良い関係を築いてきた人たちに「一週間後に出てってください」と言わなければならないなんて、相当きつい。

ここは…マネジメントに共通の敵的位置に座ってもらい、彼女たちと肩を組み、共闘姿勢で実務を進めるのが吉と踏んで、彼女たちの口を聞きつつ、こっちの不利も訴えつつ、話は一路、お引越しへと進んだのでした。

金銭的な保証はどうなる?

ちなみに今回はマネジメント側から金銭的なオファーもあり、且つ、引越し費用も全て出すと言う話だったので、本当に良心的だと思う。

引越しの為の時間のやりくり、今必要とは思っていなかった引越しの為の労力、通勤に関わるあれこれなどを勘案すると完璧な保証とは言えませんが…

なんの保証もなく、ただ出て行け、と言うケースもあるかもしれません。それを思うと、かなり良心的。

そう言う時のために、大抵の賃貸契約では、大家か店子、どちらかが契約満了前に契約打ち切りを申し出た際にはいくらの保証をしますと言う事項あるはずですが、今回は大変イレギュラーであり、そこまでの想定がなかったのですが、それでもオファーを出してくれたのはラッキーでした。

この事例から、もし類似案件で明らかに相手都合であるにも関わらず、なんの保証も言い出してこないとしたら、交渉の余地はあるんじゃないかと思うわけです。

その土地の慣習としてそんなオファーが全くない、というのであれば交渉に持ち込むこちはとても困難ですが、こんな風に良心的な会社もあるという事例はここに記しておきます。

ベトナムのお引越し風景

さて、ベトナムのお引越しに関しては、以前のレポをご覧ください。


はい、めっちゃラフ!!(笑)
日本の引越し業者さんが見たら、なんちゅーことをするんやと白目むきそうなパッキング(笑)

私も最初は焦りました。が…

過去に3回ホーチミンでお引越しをして、物が壊れたりなくなったことは一度もありませんでした。もちろんそれは人により業者により違うのでしょうが、私はどの回のお引越しでも「当たり」でした。

何より、彼らの運び出しと運び込みの要領の良さ、スピード感ったら半端ない!大体2〜3人のチームで来てくれるのですが、あんたら分身の術でも使ってるの?と思わずにはいられない速さ。こちらの指示が追いつかない。

ただし、何度もいうけどかなりラフです(笑)
この記事のカバー写真を見てください。車に積まれる前の我が家の荷物も含まれた物たちの状況。なかなかでしょう?(笑)

こんな調子なので壊れたら困る食器や機械など、大事なものは自分で運ぶとか管理をする必要はあります。そもそも日常で使ってるものが違うこともあるわけで、今回は私も…

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撮影時に使う背景紙。シワがつかぬよう、丸めて筒状にし、ダンボール紙で四角に囲って保護していたのですが、形状を保つ硬度が足りなかった上に、それをさらに箱に入れるなどの保護をしていなかったのでぺシャリ…。

使わない人にしてみれば、これがどういう風に使われてどうある状態が保たれないといけないのかなんて知ったこっちゃないですわな。。。完全に私の防護不足。残念。

日本だと、業者さんの配慮が足りないということになるのかもしれませんが、こちらではこれ、自分の配慮不足と捉えるべきでしょう。騒いだところで保証されるわけじゃなし。

それよりも、チップを渡さずにいられないほどの素早い動きは、ちょっと見もの。ほんとに手際がいいんですよ!日本でも何度かお引越しは経験してるけど、そして彼らもプロフェッショナルではあったけど、それでもハッとする効率の良さ。

ちなみにチップは作業の最後に渡すようにしています。以前最初に渡したら、その情報があっと言うかに回ったのか、直後にスタッフさんの人数が倍になって慌てて彼らの分までお心付けを用意しなくてはならなくなった人の話を聞いたので。そう言うところの動きもなかなか素早いようで…。

問われる生活マネジメント力

今回の、いきなりの通告を受けた時も、そしてお引越しの具体的な作業においても、そもそも日常の生活にも、マネジメント力が問われる海外生活。

お仕事している人なら当たり前に身につけているであろう一定の能力。しかし日本にいる頃から人と組んで何かをするという経験が結婚以降かなり不足していた自分には、まぁ抜けがありまくり。

今回みたいなことがあると、その不足を痛感するわけですが、良い経験でもありました。話に聞いてた「いきなりの退去通告」がまさか自分の身に降りかかるとは思ってもいませんでしたが…

それも、「今に安住するな、備えよ」ということだったのかな。
精進、します。。。

2020年6月6日
ちぇり


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