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復縁したくて占い師になりました~顔出しとヒエラルキー~【占い師の舞台裏①】

「シェリーさんのプロフィールお写真、可愛く加工しておきましたよー!」

スマホにグループラインが届き、甘めの可愛らしいアイコンがテンション高く話しかけてきた。(※メンション)

「復縁したくて占い師になりました」というタイトルに従うなら、占い師になるまでの経緯を順序だてて書くべきなのかもしれない。

一方で、このシリーズ(?)は、”占い師になってから見てきたこと、感じたことを徒然なるまま書き綴る愚行録”という謎のコンセプトで書いている。

いきなり変化球を打つのもまあ一興…ということで、唐突に占い師の舞台裏シリーズを書くことにした。しばしお付き合いいただきたい。

さて、話は某電話占い会社のオーディションに合格したところまで巻き戻る。

いずれ詳しく書こうと思うが、私は占い師事務所に拾われてプロ占い師になっている。

事務所に助けられながら細々と鑑定を行っていたのだが、

或る時ふと「もっと活躍の場(と収入)を拡げたいな」と思い、

某電話占いのオーディションを受けることにした。

幸い選考はとんとん拍子に進み、うまいこと一発で合格することができたため、急遽デビューの準備を進めることになった。

「シェリーさんに用意していただきたいのは、プロフィール文と音声メッセージ、あとご自身の画像ですね♪〇日までにご用意ください。」

「あ、はい、わかりました。私、人前に顔を出すことに抵抗があるので、似顔絵か後ろ姿などで用意をしたいんですけど…」

事務所の担当者は笑顔のまま、私の提案を否定した。

「いや、やはり集客力が高いのはお顔が映っているご本人の画像なんですよ。先生方の中にもお花とかペットをプロフィール画像にされている方、いらっしゃいますけど、別に花に占ってもらおうと思わないじゃないですか!だからお顔がはっきり見えるお写真を載せさせてください!」

「えーと、理解はできるんですけど、顔を載せることによって知人に見つかるのが私、嫌なんですよ…。そういう方って他にもいらっしゃいますよね?ヴェールで口元を隠すとかでなんとかなりませんでしょうか…?
全顔じゃないと集客力が落ちるっていうことでもないですよね?」

「ヴェールを使う場合もお顔を全部出すに越したことはないですよ!
例えば〇〇先生も××先生も、ヴェールをかぶっていますけど、きちんとお顔を出していますよね?」

顔を出していたらヴェールの意味がないじゃいか…と思ったが、食い下がる暇を与えず、担当者は笑顔でとどめを刺してきた。

「それにシェリー先生の占術って、水晶玉を使うやり方じゃないですよね?」

…え?顔出しの基準ってそこなの…?

彼の理屈に従うならば、どうやらこの事務所の方針では水晶玉を使う透視ができないと、ヴェール半顔でのプロフィール掲載が認められないらしい。

はい、そうですか…と鵜呑みするのも癪なので、私は手元のグーグル先生に教えを乞うことにした。

皆大好きいらすとやで占い師を調べてみたところ、水晶占いをしている女性占い師は確かにヴェールをかぶっていた。(でも彼女の場合はお顔を全部出しているからサービス精神が旺盛ですねw)

ちなみに同じくいらすとやにて、タロットをしている占い師は、お顔がむき出しの状態だった。(ついでに肩もむき出しでござる)

さてさて、私の場合、メインの占術がタロットなので、この不文律に従えば顔は剝き出しのまま占う身分ということになる。

占いの占術ヒエラルキーのトップは水晶玉なのか…!(というか占い界にそんなカーストがあるのか…。。。)

水晶玉を使いこなせる先生たちに軽くジェラシーを覚えながら、よくわからない不文律があるのはどこの業界でも一緒なのだな…と思った。

「顔を出さなければいけないことは重々理解いたしました。…ですが、私は知り合いに見られた時のリスクヘッジをしておきたいのです。せめて、画像を私とわからないようにうまく加工していただけませんか?」

「もちろんです!それにうちの事務所ではメイクから撮影、画像加工まで一式、対応できるサービスがあるんですよ。〇円でお受けいただけますよ!」

不文律にも精通している海千山千の事務所が、メイクから撮影・加工まで対応してくれるなら話は早い。

剥き出しでの顔出しプロフィール撮影に一抹の不安を覚えながらも、オプション一式を申し込み、その日の私は帰路についたのである。(続く)

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