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桜井のりお 『僕の心のヤバイやつ』の感想その二 魅力とアニメについて

前回に引き続き僕ヤバについて記載していきます。


◆魅力等

本作の魅力的な部分、世間的に支持を得てそうな部分を箇条書きにしておく。
なお、様々な場所で誰かが語っているようなことなので具体例を挙げた詳述はしない方針。

1.主人公が思春期の鬱屈した等身大キャラクターである一方で利他的・自己犠牲心の高い人物で共感を得やすい。(厨二病の共感性羞恥も含め)

2.主人公とヒロインが惹かれ合う過程が丁寧にじんわりじっくりと描かれている。(なぜ?という唐突さ・性急さや不自然が少ない)

3.単純にコメディとしての面白さ。シチュエーション頼りの萌え・尊さ一辺倒にならない展開の妙と1話ごとにつけるオチが強力。(ギャグ漫画家としてのスキルのフル活用)

4.主人公視点でストーリーが進みヒロイン側の心理がモノローグ等で描かれることは一切(一部議論はあるが)ない。主人公以外は、行動・発言・表情など目に見えるもの以外はすべて議論の余地となっている。(解釈の余白がネットの集合知と相性が良い)

5.主人公とヒロインは勿論、サブキャラも含めた細かな描写の書き込みが深く情報量が多い。(後から何度も読み返したくなるつくり。読み捨てではなく購入意欲を駆り立てる)

6.WEBで最新話が読めることから間口が広い。SNS等との親和性も高い。(前述の解釈余白との相乗効果あり)

あと、山田かわいい、イッチかわいい、おねぇかわいい、にゃあカッコいい等は省いています。
キャラクターの魅力については5.の延長線上にある話ですからね。

◆アニメについての沿革

2023年春アニメとしてテレビ朝日系列ヌマニメーション枠で1クール12話を放送。
サブスクとしてはAmazonプライム独占配信。
ニコニコ動画との親和性が高そうだと感じていたのでそこは残念ではある。


◆アニメと原作の比較

アニメは原作再現は意識しつつ、キツめの言語表現(ビッチ、◯ね、シコる等)をソフトにする、解釈に委ねるような部分(ジャージの件等)を分かりやすく再構成する等の工夫がされていた。忠実さとアレンジのバランスを相当考えたものと思う。

なお、尺の都合でのカットや、話の順番の入れ替え、細かな状況の変更などは多少発生してしまい、そのことへの批判意見も目にすることはある。
これはメディアミックスで表現上どうしても発生する差異によるもので、やむなしと考える。
原作の表現の細やかさと、その解釈についてファンの高い熱意がある作品のため、より高いハレーションを産んでしまう構造だと思う。

◆アニメの功績

知名度の更なる上昇という一般的な物以外では、声優による生命の吹き込みが重要。
マンガではコマの端っこのなんてことない小さな吹き出しの台詞に、段違いの破壊力を付与したのは流石の一言。
山田の「どう思う?」とか「なんだよぉー」とかさ、わかる? よね?

また、作中のハイスペック完璧超人(弟想い、気が利く、コミュ力おばけ、容姿は「結構」かわいい、成績優秀、地味に巨乳)であるおねぇが何故モテないか。
それを演技面で理由付けたのが凄い。
最初はイメージより声高いなぁと思ったが、ここらへん流石よね。
熟練の技……。

また、OP曲、ED曲ともに良曲でありつつ原作理解度が高いリリック。
劇伴もエモさを重視した曲調で作品の雰囲気を支えていた。音楽面での貢献度の高さは間違いない。


◆アニメの今後について

2024年冬アニメとして2期の放送が決定している。
このスピード感は、最初から2期ありきでなければできないことらしい。

1期は原作4巻までをアニメ化。
2期はおそらく原作8巻までがアニメ化されるのであろう。何というか、完璧な計画だと思う。
一体何人を尊死させるおつもりかなぁ……。

◆おわりに

さてここらにしましょうか。
今後は、隔週の原作更新に合わせて感想など書いていければと思います。

それと他のジャンルも何か書いておきたいですね。
今はプロレス、新日本プロレスのG1を追うのに忙しい状況で、そこから何か思うことがあれば書きたいです。

なお我が家のシャンプーはメリットです。



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