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人に薦められた小説を素直に読んでる人【鬼人幻燈抄 : 江戸編 幸福の庭】


友達から何かをオススメされることがある。上のツイートの場合は「鬼人幻燈抄」という小説だ。
このnoteでは、この小説の感想を一冊ずつ書いていくぜ(ゆっくり魔理沙)。



【鬼人幻燈抄 江戸編 幸福の庭】とは?

今回、私が読むのは小説「鬼人幻燈抄」のニ作目、「江戸編 幸福の庭」です。

百七十年後に現れる鬼神と対峙するため、甚太は甚夜と改名し、第二の故郷・葛野を後にした。
幕末、不穏な空気が漂い始める江戸に居を構えた甚夜は、鬼退治の仕事を生活の糧に日々を過ごす。
人々に紛れて暮らす鬼、神隠しにあった兄を探す武士……人々との出会いと別れを経験しながら、甚夜は自らの刀を振るう意味を探し続ける――

https://www.futabasha.co.jp/book/97845755250140000000?type=1



↓一作目の感想はこちらから



※注意!!!!!!!!!!!!
このnoteは鬼人幻燈抄 江戸編 幸福の庭のネタバレをめ~~~っちゃめちゃ含んでいます。読んだことがない人や読んだけど内容忘れた方が楽しめるよう配慮をしています。
逆に読んでなくて今から読みたい人への配慮はしていないので、そういう方は記事を閉じて今から読みましょう。kindleアンリミデッドで無料で読めるぞ!



☆読む前に内容を予想してみる☆

「幸福の庭」というからには甚太が幸せになるのか…?けど家族も恋人も失った甚太が幸せになれるのか…?と思っていたら、別に甚太は幸福にならないらしい。じゃあ誰の幸福だよ。
既読の友人によると、この「幸福の庭」はメチャメチャに癒やされる内容で、その癒やされ度で鬼人幻燈抄人気No. 1エピソードらしい。甚太は癒されないのに……?鬼人幻燈抄ファン、全員人でなしの可能性が出てきたな…。
甚太は癒されず読者は癒されるとすると、今から可愛い子犬が主人公の全然別の話が始まるとしか考えられませんが、「幸福の庭」読んでいくぜ!




鬼の娘 1

この章のだいたいの内容

甚夜が葛野を出て10年後、浪人となった甚夜は江戸にある商家の主人「重蔵」からある依頼を受けていた。その依頼とは重蔵の養子である「奈津」を鬼から守ることだった。しかし、商家で働く「善二」に依頼の詳細を聞いている最中に、奈津本人からは護衛を断られてしまう。
そして夜、奈津と善二が鬼に襲われる直前にふらりと現れた甚夜が鬼を斬り伏せた。




この章の感想

そういえば甚太は「甚夜」に名前変えたんだった。これからずっと甚夜らしいです。

甚夜、180cmぐらいあって髪を乱雑に後ろで縛ってるの、クソデカ冨岡義勇じゃん。あっ声優櫻井孝宏じゃん。やっぱり甚夜の声優決まったな……。

甚夜は商家のお嬢さんを守る傭兵をやるらしい。ッッッカッケ〜〜〜〜〜!!!私も暗い過去があってお嬢さんを守る傭兵になりてえよな。

護衛対象のお嬢さん、生意気で少し口が悪い!?!?完璧かい……❤️暗い過去のある傭兵に守られる準備は万端ということですね。

いや、良!!!!!!!!
雰囲気が良い。冷静な甚夜とお調子者の善二、そして生意気なお嬢さんの奈津……完璧な布陣だ。ここから甚夜が実力をみせて二人をアッと言わせるのが楽しみでたまらん……。

怯えてばかりの自分が嫌いで、だから必死に強気な態度を取り繕う。素直になれなくて、だから人に好かれている自信も無くて。外面からは思いもしないくらいに彼女は鬱屈とした感情を抱き、しかし意地を張って平気な振りをする。奈津はそういう少女だった。

いや、
完  璧  か  い  !!!!!!


突き出された鬼の腕が消えた。 「……あ?」  ぽかんとした善二の呟きは、奈津の心境でもある。想像した惨劇はいつまで経っても訪れず、地面を見れば何故か鬼の腕が転がっていた。  いったい、どうして。  困惑をよそに、ふらりと人影が現れた。

甚夜の登場シーンも完璧かい!!!!
こういう、一体なにが起きたかわからない一般人の前で、いたって平静のヒーローが見てぇのよ……見れました。


甚夜「さて、私の腕はいくらで買ってもらえる?」

徹頭徹尾完璧か?
言いてえ〜〜〜一仕事終えてから実力を誇らず淡々と話を進めてえ〜〜〜〜

現在甚夜にとって根っからの大切な人がいない分、読んでてこっちも安心できるな……特にNTRは金輪際無いとみたね。この前かっこいいところだけ見せてくれ、甚夜。




鬼の娘 2

この章のだいたいの内容

鬼は一刀両断されたものの死んではいなかった。しかしながら、奈津を守った甚夜に重蔵は労いの言葉をかけるも、当の甚夜は「借りは、返します」と返すのみだった。



この章の感想

「まあ、な」  帰ったふりをしてこそこそ隠れ、ずっと鬼が出るのを待ち構えていたらしい。想像するに結構情けない姿ではある。

ダサいのめっちゃいいな…。強くてカッコいいはずが完璧にはカッコつかないダサいイケメンが私は好きです。クラウドっていうんですけど……。

奈津とのやりとりで甚夜が自然と笑うの良〜〜〜。良すぎてさっきから状況説明しかできないな……本能で良さを感じてしまってるが故……。




鬼の娘 3

この章のだいたいの内容

奈津には非常に不安なことがある。それは、養子である自分はいなくなった重蔵の本当の息子の代わりであり、いずれ捨てられてしまうのではないか、という不安だった。
鬼はそんな奈津の不安と「実の娘のように父親に心配されたい」という想いから生まれていた。それを奈津は理解し鬼と対峙するのを拒むも、善二の「あの鬼が奈津の想いでもそれが全てではない」と説いた。奈津の不安を捨てる覚悟と甚夜の刀によって鬼は倒されるのであった。




この章の感想

怖いのは、いつだって作り話じゃなくて、掛け値のない本当のこと。

他のみんなが大人な分、奈津は生意気な子供って印象が強いけど、奈津が1番怖いのは「父親と養女の自分の関係」という現実のことなんだな……。鬼より怖いとなるとどれだけ父親のことが大切かわかっちゃうね。
ただ、「父親にとって自分は本当の家族の代わりでしか無いんだ」という考えは完全に妄想でしかないので、世話心からいって早々に捨ててほしい…(他人の心の中はどこまでいっても結局自分の妄想でしかなく不確定なので)。ま、子どもには割り切れんかw

奈津と善二が甚夜に興味津々なのが嬉しい。私が甚夜のこと好きなので…。いいやつなんすよォ〜コイツ〜優しくしたげて〜〜。

マジでこの3人の関係好きだな……。甚夜にとって第二の家族にならねえかな…。20年くらい経っても、甚夜が奈津たちに会いにいった時に「おかえりなさい」って迎えてほしい…。けど20年もたったら甚夜年取らねえからめっちゃ浮くんだろうな……。甚夜も老いがないことを気にしてそうだったから、奈津の家の前で扉を開けるのをしばらく逡巡してほしいな……。実際奈津も若いままの甚夜に驚くけど、簡単に受け入れてくれるんだよな……。これが絆よな……。


違う。そうではない。あれは、あの鬼が本物の自分なのだと、奈津は嗚咽を漏らす。どれだけ取り繕おうと、中身は目を背けたくなるくらいに醜悪な化け物だ。

奈津が自分の想いが生み出した鬼と対峙している…。けど奈津は「父親への大事な想いが鬼になった」と思ってる。しかし鬼になったのは想いじゃなく「父親に捨てられるかもしれない」という妄想だと思うワケ。アタシはね。わかる?坊や……。

甚夜は奈津が抱えている弱みを看破する。わかりやすくいうと、人のデリケートな悩みにマジレスしました、この男…。
これには賛否あるだろうけど、私は“賛”…。なぜなら真実は厳しいけど、最も誠実で優しいから……。例えば、ここで奈津の気持ちに共感し悩みに触れないようにするのも優しさと言えるかもだけど、それは非常に短期的な幸せしか考えられてない。甚夜は「奈津の捨てられることへの恐怖」という根本を助けてあげることで長期的な幸せを実現しようとしてるワケ。分かったか?この甚夜アンチが……。


奈津「うん。そいつは多分私の想い。本当のことが怖くて、いろんなものに蓋をしてきた今までの私。」

鬼になったの妄想じゃなくて想いでした照れ。どうやらいい想い悪い想い全部含めて強すぎたから鬼なったっぽいな……。

あと鬼には奈津の思いだけでなく、重蔵の妻も含んでたらしい。そんでもって甚夜はめちゃめちゃ気を遣っていて知り合いっぽい。だれ…?葛野編にいたか?消去法で元治の妻しかいないがさすがに……。

重蔵甚夜の実の父親じゃん!!!!じゃあ鬼は母親か…じゃあ返してほしい娘は鈴音か……。
「家族になんねえかな」とか感想書いたけど、めちゃくちゃ余計なお世話だったな…。第二の家族どころか第一の家族じゃん……。



貪り喰う者 1

この章のだいたいの内容

3年後、甚夜は寂れた蕎麦屋に通い詰めていた。店主とその娘の「おふう」から辻斬りの噂を聞いた甚夜は、その辻斬りが鬼である可能性を考え噂を追うことにした。
悲鳴が聞こえた方へ走ると、男の死体が散乱していた。そこで会ったのは甚夜と同じく辻斬りを追っており、姿を消す能力をもつ鬼「茂助」だった。



この章の感想

甚夜が通う蕎麦屋の看板娘「おふう」、年は14〜15歳ぐらいで可愛らしいとのこと。葛野編なら死にそうなオーラがあるが果たして……。


おふう「そうやって背伸びしたがるうちは、まだまだ子供ですよ」

死にそ〜〜。いや逆か…?明らかに白夜を思い出させようとしてくるキャラ付けだから、これは甚夜があの時とは違い、鬼からおふうを助け出して「白夜も救えたならば……」と内心ノスタルジーになっちゃうやつだと見ました。この「貪り喰う者」の話はね。

今回の鬼は辻斬りの鬼。男は殺し、女はどっかに攫ったか食べたかしているっぽい。絶対おふう被害に遭うでしょ。



貪り喰う者 2

この章のだいたいの内容

茂助は妻の仇である辻斬りを追っており、辻斬りを殺すことが自分の成すべきことだと考えていた。
二人は毎晩辻斬りを探し、その成果を報告しあうついでに酒を酌み交わすのだった。




この章の感想

心の準備をしています。茂助が辻斬りの鬼だという心の準備を……。

けど死体には刀傷がないらしいから、刀で戦う茂助はやっぱ違うか。


「私は、意味もなく妹を憎悪している」

いい〜〜〜〜良いね〜〜〜〜。
甚夜は妹への憎しみは無意味だと思ってるんだ……なんでだろ。憎しみの原因である、殺された白夜は妹への復讐を成しても帰ってこないし、実の妹がいなくなるだけだからだろうか。
そもそも妹を殺すことが決まってるわけでもないから憎しみが原動力で動いてるわけでもなさそう。


「ままならないものだな」というセリフが何度も出てきた章だったな…。甚夜的には過去を思い出してんだろうけど。私も人生や他人などを思い通りにできるとは思ってないので共感できます。思い通りの結果にならなくても、結果の先にはまた過程と結果が繰り返すので……。
けど甚夜も思い通りになるとは思ってないだろうな…。「ままならないものだな」からは諦観を感じる…?





貪り喰う者 3

この章のだいたいの内容

甚夜は夜に出歩いていたおふうに出会う。おふうは「甚夜君は思い詰めているように見える」と見抜く。それに対し「私にはこの生き方しかない」と話すも、おふうは甚夜に花を楽しめる心や好きな食べ物があり、大切な思い出もあることから「一つの生き方しかないなんて嘘ですよ」と甚夜の心をほぐすのだった。

おふうを蕎麦屋に送った後、甚夜と茂助は橋の上で辻斬りと思われる鬼と戦う。鬼に襲われていた奈津を守ることはできたものの、鬼は逃がしてしまった。しかし、奈津を迎えに来た善二から「廃寺に鬼が住んでいる」という噂を聞くことができた。辻斬りの鬼を追いかけていた茂助は、一足先にその廃寺にたどり着くのだった。




この章の感想

いや甚夜「ままならない」のを諦めてるっていうよりは、「ままならなかった」ことを全く許してないな。許さないことで白夜への哀しみと鈴音への憎しみを維持している気がする。
穏やかな生活が怖いのか…?

奈津だーーー!!!よっしゃ!!!!
いやよくないかも。甚夜にとって大事な女性出てこないでくれ、死ぬから。
3年経ったので奈津は16歳。同じ江戸にいるならそりゃ会うわな。見た目が追い越されてしまう日が近いのが切ない。






貪り喰う者 4

この章のだいたいの内容

茂助は辻斬りの鬼に不意打ちを仕掛けるも失敗し、深手を負ってしまう。遅れてやってきた甚夜は「どうか、妻の仇を」と死にかける茂助から短刀と茂助の能力<隠行>を受け継ぐのだった。




この章の感想

我を通さず妻と穏やかに過ごした茂助。我を通して白夜と結婚しなかった甚夜との対比?まあどっちも恋人を失ってるのですが…。

甚夜が透明化の能力を手に入れた!!!これで立ち回りがめちゃ有利になりますね。けどその能力に驕っちゃいけないよ。ほら、聴覚とか嗅覚が鋭い敵、そのうち出てくるから……。
いつでも透明になれるということは、人前で鬼になることへの躊躇が薄れていきそう。そうなれば、甚夜は人から鬼へまた一歩近づくわけですが…。






貪り喰う者 5

この章のだいたいの内容

透明になれるようになった甚夜は辻斬りの鬼を圧倒し喰らうことで、一時的にスピードが増し空中も蹴って走り出せる能力<疾駆>を辻斬りの鬼から得た。
しかしこの鬼の正体は辻斬りではなく、男に性的暴行を受けた後殺された憎悪によって鬼と化した「はつ」という名の女だった。「はつ」は茂助の妻であった人物であり、茂助が追っていたのは妻の仇ではなく妻自身だったのであった。
その後甚夜は「はつ」を殺した男二人を短刀で殺し、辻斬り事件は終結した。






この章の感想

顔の右側は黒い鉄仮面で覆われたように形を変え、白目まで赤く染まった異形の右目が余計に際立って見える。それは、鬼と化した茂助の特徴だった。

見た目も鬼に近づいていた……。やっぱ強くなればなるほど鬼に近づくのか……。鈴音と対峙する頃には鈴音よりも化け物になってるんじゃないか?
あと全身が浅黒くもなっているらしい。鈴音は髪がパツキンになるぐらいだったけど、鈴音も今はもっと変わったのかな?


部屋の中で、透明な甚夜を倒すために辻斬りの鬼がめちゃめちゃ頑張ってる。これやってること気配斬りでは?

まあ甚夜は目隠ししてないのでクッソクソズルですが……。


空中ダッシュもできる強能力「疾駆」も手に入れた!!!立ち回りクソつよじゃん。トレーサー?
古来よりスピードと火力を併せ持つキャラは大体キャラランクSですからね……。

鬼の能力をもらう時は、その鬼の記憶とかが流れてくるらしい。キッツ〜〜〜。能力の代わりにグロ動画無理やり見せられるようなものですよ。甚夜は耐えられるか……!?
いやグロいのはまだしも、倫理観を損ねてるのがキツいか!?なんだかんだ甚夜感情豊かな正義感なので……。





幸福の庭 1

この章のだいたいの内容

蕎麦屋の常連である武家の嫡男「三浦直次」は悩んでいた。それは自分にいたはずの兄を父母含め誰も覚えていないことだった。本当に誰も覚えていないというので、ついには自分の頭がおかしくなったと思うほどに直次は苦しんでいた。そんな直次に蕎麦屋は甚夜を紹介した。




この章の感想

やったーーー!!!幸福の庭だ!!!え?じゃあ別にさっきまでの話は幸福とは関係なかったんですか?まあ人死んでたしな……。


昔ながらの武家屋敷。花が咲き誇るというのに朽ち果てた印象を受ける。鮮やかな灰色に染められた庭。その中心で、童女は毬をついている。

これ幸福の庭の情景らしいんですが、あんま幸福じゃないな?さては。
「幸福の」って頭につく森羅万象、胡散臭いがち……。まあ何が幸せかは人それぞれだし幸福の庭がよくわかんない感じなのも当たり前か…。


奈津が甚夜行きつけの蕎麦屋にきている!!!うれしっ……甚夜のことが大事にしてくれてありがとネ。私の方からお礼を言わせていただきます。

奈津とおふうがそこそこ仲良くなっている。イイね……。甚夜は自分のこと人外で血生臭い人間だと思ってそうだけど、そのあなたの周りで人間関係が生まれてるんですよ……。

めちゃくちゃ甚夜が誉められている。嬉しいね。基本甚夜の視点で物語が進むからこそ、他の登場人物からの甚夜の評判が聞けるのは楽しい。



幸福の庭 2

この章のだいたいの内容

茶屋で偶然出会った甚夜と奈津は磯部餅を食べながら談笑した。去り際、「なぜ鬼退治をしているの?」と奈津に問われた甚夜は「時々、自分でも分からなくなる時があるんだ」と弱音を吐いた。
それに対し「あんたも普通の人で安心した」と奈津は甚夜により心を開くのだった。

甚夜は蕎麦屋で直次に事の詳細をうかがう。直次の兄は辻斬り事件よりも前、今年の春先に「娘に逢いに行く」という言葉と小さい水仙を残して消えたそうだった。甚夜の頭にはある推論がよぎり、直次の家に案内してもらうことにした。





この章の感想

なんか別の幸福の庭が出てきた。なんだこの庭。
さっきとは違い花がめっちゃ綺麗っぽい。ただ「幸福は無情なまでに早く往く」とあるので、そのうち朽ち果てるのかも。武家とのことなので三浦の家だろうか?ただ一章で鞠をついていたのは女の子だしな……。おい三浦!チンチンみせてみろ。


奈津が甚夜の隣に座ってオソロ磯辺餅頼んでくれた!!!えき娘やんけ……。感情を素直に表に出さないが言動所作ひとつひとつから甚夜への気遣いを感じさせる……良。っっぱツンデレよな〜〜〜。


「そう言うあんたは所帯を持たないの?」
「定職を持たん浪人に嫁ぐような物好きは少ないだろう」
「そう……うん、それもそうね」
怒りもいくらか薄らいだのか、奈津の口元は多少緩んでいる。

ふ〜〜〜〜〜〜〜ん。

ここが漏れの幸福の庭ってことで、いいでつか?w


いや良〜〜〜〜!奈津が甚夜のプライベートな部分を知っていってくれているのが良いですね。そこからの結論が「悩んだり弱音吐いたりする、普通の人で安心した」っていうのも素敵……。
おふうよりも奈津応援するぜ。おふうはなんか、雰囲気がメインヒロインすぎるっていうか……。

いやけど甚夜が悩みや弱音を吐けるようになった一因はおふうのお花カウンセリングのおかげか……?おい奈津!違う女のお陰で甚夜が軟化してますよ。




幸福の庭 3

この章のだいたいの内容

花の満ちた庭で毬をつく少女の父母と家は大火事に巻き込まれ、幸福の庭は終わりを告げた。

直次の家に案内された甚夜は、直次の兄が逢いに行った娘こそが鬼だと推理した。その後二人は兄の部屋へ入ると、密な花の香りがし、それが水仙の香りだと気づいた時には、為すすべもなく気を失っていた。



この章の感想

あれ?三浦直次って養子でしたっけ?覚えてないな……。父母が火事で亡くなってるぽいから今の三浦とは別なのかな。
けどやはり、この回想が直次のものだとすると直次が女の子になってしまう。けどチョンマゲゆってるよな?長男に定長がいるとすると、女の養子にそこまでさせる合理性はないからな……。
いやこれ今回の鬼の、人間の頃の回想か…?

定長は娘の鬼に会いに行ったらしい。定長の実の娘なのか?回想見る限り違いそうだが……。そもそも娘がいるなら妻が登場してないのも気になる。

水仙の香りがした後に数え歌が聞こえた。やっぱ回想は鬼のものっぽい。



幸福の庭 4

この章のだいたいの内容

大火事に巻き込まれた少女は鬼として生き返った。そして江戸から逃げた少女は100年間、幸福の庭での日々を思い出し続けたのだった。
そして100年ぶりに江戸へ帰ってきた少女は新たな屋敷に建て替えられたかつての幸福の庭を目の当たりにし「帰りたい」と強く願うと、その瞬間過去の幸福の庭へと景色が変わったのだった。

そのかつての幸福の庭に迷い込んだ直次の兄「定長」は決して閉じ込められていたわけではなく、鬼の娘がひとりぼっちなことを心配し、「俺の娘にならないか?」と話すのだった。

意識を取り戻した甚夜と直次は鬼の娘がいる幸福の庭へと辿り着いていた。しかしそこに兄の姿はなく、すでに幸福の庭からはいなくなっていた。



この章の感想

幸福の庭で鞠をついていたのは、家と父母を火事で亡くし鬼と化した娘だったらしい。亡くなってしまったはずの父母と大好きな庭の思い出にとらわれ、子供の時のまま鞠をつき、幸福から逃げられずにいる…………斬れね〜〜〜〜〜〜!!!え甚夜この鬼斬るんですか!?!?斬りそう。いやどうだ…?心に余裕ができた甚夜なら斬らないか…?この鬼を斬らないことが、いずれ鈴音を斬らないことへの第一歩となるか…?

甚夜が透明化を人間の姿のまま使えるようになったらしい。上達早っ。これでより都合良く動けるってワケ。


鬼は百年を経ると固有の力に目覚める。

そういえば、甚夜はいま「同化」の力で能力を得ているけど、100年経ったらそれとは別の甚夜オリジナルの能力を得るのか……楽しみ。


普通に鬼斬らなかった。へへ、ごめんな甚夜😁




幸福の庭 5

この章のだいたいの内容

甚夜と直次は兄の定長と会うことはできなかったが、直次は「兄はやはり私の尊敬する兄だった」と満ち足りた顔をした。
直次と別れた後、甚夜は蕎麦屋の店主を問い詰めた。本来家族しか知らないはずの直次の本名を知っていたからである。甚夜の推理通り、店主の正体は定長であり、幸福の庭の時間の流れの速さによって直次よりも20歳以上年上になってしまっていた。しかしながら、おふうこそが幸福の庭の鬼の娘だとは気づけなかったのだった。



この章の感想

おふう「貴方のお兄さんは素晴らしい方です。誰も覚えていないとしても……自分の全てをかけて一人の女の子を救ったのですから」

お前がまとめるの!?!?この女……イイとこもってくじゃん。おい甚夜!お前もなんか言ってやれ!おい目を逸らすな甚夜!!

まとまったと思ったら甚夜の推理パート始まった。いけいけいけいけ!!!!喋れ喋れ喋れ喋れ!!!!

え蕎麦屋の店主が失踪してたお兄さん?全然想像してなかったのと蕎麦屋の店主に興味を割いてこなかったから……その……なんというか、ふ〜ん。


店主「さすが、分かってらっしゃる。伊達に長生きはしてませんね、鬼の旦那
「俺は二十年以上鬼と過ごしたんですよ? なんとなく雰囲気で分かりまさぁな」

そ、蕎麦屋の店主〜〜〜!!!か、か、カッケェ〜〜〜!!!✋🤚✋🤚
正直なめてた陽気なオッサンが年の功の審美眼見せるのカッケ〜〜〜〜!!!!!

えっおふうが鞠ついてた鬼!?!?!?全然気づかなかった……。私のミステリー偏差値は5です。
そりゃあおふうと甚夜にくっついてほしいわな、鬼同士だし……。
あとおふうが甚夜に対してお姉さんっぽく振る舞ってたのも普通に年上だからか……。

こうなってくると「鬼とは?」という気持ちになってくるな……。甚夜は「化け物に成り下がった身でつが…」とも言いたげだが、おふうに鬼の要素なさすぎる。こんなに人に馴染んでるならもう人間同様、「鬼だからこういう奴だ」とか決めつけるのはナンセンスだな……。


これまで、たった一つの理由の為に生きてきた。 
ならば甚夜の一言など決まっている。 
「……とりあえず、かけ蕎麦を」

ここ、良すぎっ……。
幸福の庭編は、葛野編で狭まりきった甚夜の視野と価値観を緩めてあげる物語だと思わせる……ハオ。
「鬼は使命を全うするのみ」みたいな文が葛野編であったので、甚夜は憎しみのままに復讐を果たすか、もしくは妹を許すかみたいに思ってたけど、実は甚夜の使命はもっとスケールが大きくて、選択肢も幅広いのかもしれない……。

けどどうせこの後の作品で甚夜に曇らせが発生するんですよね。なんで?ままならぬものだから?



☆全体を通しての感想☆

「幸福の庭」というからには甚太が幸せになるのか…?けど家族も恋人も失った甚太が幸せになれるのか…?と思っていたら、別に甚太は幸福にならないらしい。じゃあ誰の幸福だよ。

幸福って言葉はふさわしくないけど幸せだった~~~~!!!!
家族も恋人も最悪な感じで失った甚夜がどう癒されるんだ……?って思ってたけど、まさか素直になれない(後になる)お嬢様とおしとやかでドジな看板娘、そして陽気なおっさんのハッピーセット……。そしてオマケは実の父親と来たもんだ。往く先にコイツらがいる道が幸せじゃないわけないだろ。

けど基本的に「甚夜が救われる物語」ではなく「甚夜が鬼から人を救い、その中で気づきを得る」っていうのが良かったな……。甚夜の活躍自体はすごいドラマチックでかっこいい。けど甚夜の中での影響は結構さりげないというか、かなり日常的な成長だと思うんだよな……。
素直じゃないけど心はまっすぐな奈津との関りや、花に興味を持てるようになったことによって、喪失によってクソ狭くなった甚夜の価値観が穏やかに広がっていった感じが……ハオ。

いやけど甚夜の価値観って葛野編の事件がなくとも元々狭いか?江戸出身とはいえほぼ葛野の村の中で暮らしていて、友人も少なそうだし、何より巫女を守る村特有の役職になるために刀を振り続け、そして巫女守としての役割を貫いた……。そんなやつの心に元々余裕があったとは思えないかもな…。
なにより甚夜の身を心配してくれる人がたくさん増えたのが嬉しいわね。マジで……。甚夜の素性を知ってくれている蕎麦屋の親子もいるし、奈津たちももし知ったとて受け入れてくれるでしょうし。失ったものばかり数えるな……!

けど甚夜に気の置ける人ができたのも、甚夜の鬼の力というよりは、だいたい甚夜自身の優しさとか誠実さっていうのも良いよな…。鬼を斬れたのは鬼の力のおかげかもしれないけど、甚夜のこと心配してくれる人たちができたのは紛れもなく甚夜がいい奴だからだし……。


あと今作で気づきましたが、この鬼人幻燈抄とかいう作品、さりげない伏線が上手いな…。「甚夜と重蔵の関係」とか「おふうと蕎麦屋の主人の正体」とか人間関係が後から明らかになることが多かったんですけど、読み返して気づくのが”会話”よな……。
初めて読んだときは普通の会話なんだけど、後から読み返すと「ああこういう感情でこのセリフ言ってたんだ…!」という新鮮な楽しみがある。鬼人幻燈抄を勧めてくれた友人は、この作品を何度も読み返してるんですが、その理由がわかった気がするぜ……。

折り目の付いた所作に満足したのか、重蔵はほんの少しだけ口元を緩める。彼にしては珍しく、なんとなしに寛いだ様子だった。

こことか初見じゃ甚夜の礼儀正しさに機嫌よくしたとしか思えないもんな……。おもしれっ……。



けどこんなに幸せになっちゃうと不安になるな、次作以降が。こんなに幸せになっていい作品じゃないと思うんだよな。今回得た仲間たち全員喪失するんじゃない?やめてくれ…それだけは…。次作からもう学園モノの外伝が始まったりしませんか?シビアな作品でありがちなゆるふわスピンオフがさ…。







すみません……。



次作

次作は「鬼人幻燈抄 三 江戸編 残雪酔夢」とのこと。残雪酔夢て。こんなサブタイの作品が幸せなわけないだろ。あと表紙で甚夜が巫女抱えてるんですけど。なんなら顔も暗くない?なあ。なあ……。







ここまで読んでくれてありがとね。お前に向けて言ってるよ。


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