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藍染コードバン三折長財布

皆様こんばんは。
年明け早々時間に追われ追い越され、山積みになったやる事が雪崩を起こし、もう3月も目前だというのに今年初投稿とは驚きですね〜。
そんな驚きの日々の中、作品が完成しましたので写真で綴ります。

藍染工程

徳島産すくも藍を使用します。
あの手この手で。
発酵させて。
27時間程かけて藍染液を作ります。
この表面のボコボコしたのは藍の花といいます。
未処理のコードバンに藍染を繰り返す事4回、しっかりと濃い色に染まりました。
ハードな作業なので筋肉痛になりました。

準備工程

各パーツ事に荒裁ちしベタ漉きします。
コードバンはコードバン層に付随する床面繊維が特殊なのでベタ漉きの難易度が非常に高いです。
カード入れパーツの小端磨きと飾り捻入れ。
お札入れパーツとマチパーツのヘリ返し。
コードバン層は硬い&吟面(皮膚)が無いので下手にヘリ返しをすると割れてしまいます。
表面処理で二度目の筋肉痛。

内装仕立て

カード入れ、お札入れから仕立てます。
裏地、小銭入れ、マチ、お札とカード入れをそれぞれ組み立てて。
内装の完成です。

外装仕立て

裏打ちから形成して。
カットラインをトレースし。
切り出して。
ヘリ落とし、小端の染色、小端磨き、飾り捻を経て。
途中経過。
厚めの床革を切り出し。
面取りをして。
ヘラで形成し。
染色やベタ漉きした各種エキゾチックレザーの吟面をヘリ漉きし。
先程の床革を張り合わせて形成。
下拵えした外装に張り合わせ。
途中経過その2。
因みにクロス部分だけで型紙4種類必要です。
クロスを全て縫い合わせて外装完成です。

最終工程

カンガルーレースを。
かまぼこ状になるように漉いて。
床面処理してレースの完成。
内外装を張り合わせ小端を処理し。
メキシカンバスケットウィーブで編み上げていきます。

外周全て編み終えて(3度目の筋肉痛)最後の一辺を手縫いし小端磨きして、、、
完成です(白目)

藍染コードバン三折長財布

コンチョはお客様に選んで頂いたモノです。
左からクロコダイル、リザード、手染め象革で、コンチョの中にはジャクルシーと蛇革です。
左から蛙、藍染オーストリッチレッグ、手染めクロコダイルです。
左からリザード、亀革、象革です。
マチは底部に隙間なくみっちりと。
カード入れは計12枚。
底は縫い付けてしっかりと。

画像は以上となります。
苦行に次ぐ苦行、難所に次ぐ難所、私のフィルターを通してお客様の拘りをありったけ詰め込んだ財布が完成しました。

先ずはコードバン、とにかく難しい素材です。
普通の革と違って吟面が無い(伸びやすい&染色後の処理が大変)
床面側がもはや異素材のような繊維構造(漉きにくい)
地の目が取りにくい(型入れしにくい)
という短所を全てクリアしなければなりません。
一見綺麗に出来てるようでも、吟面が無い事と地の目が取りにくい事をちゃんと理解して仕立てないと長年の使用でボロが出ます。
その辺りを無視して作ってあるモノをチラホラ見かけますけども。

藍染、これは素材のみ本格的なモノを使っております。
藍を液体染料化させる事を建てると言いますが、今まで革に試した方法では今回のが最適解かと思いました。
コードバンの表面処理の手間と合わさって強烈な難易度となりました。

シニュー糸、これもなかなか大変な糸でして。
撚り糸と違いこちらで1から撚る必要がある上に、撚りが解けやすく絡まりやすい為、綺麗に縫う為には一針づつに使う神経が大きいです。
しかし強度は抜群です。

エキゾチックレザーのインレイ、これは元々アウトレイでオーダーされたのですが端の処理、革が捲れるリスク、見た目の高級感、コードバンとのバランスを考慮してインレイを提案させて頂きました。
九つのクロス全ての縫い代を肉盛りし、全ての形を揃えて、デザイン重視の形に手縫いの穴をバランス良く開けるのが難行でした。

メキシカンバスケットウィーブ、ダブルやトリプルの倍は手間が掛かります。
途中で革を継ぎたくないので長〜いレースで編むのが大変でした。
それでもさすがに一か所だけ継いでおります、見た目には全く分かりませんが。

全体的にはなるだけ分厚く、というオーダーでしたがマチ等はある程度薄くないと使うのに支障が大きいのでお札入れ、カード入れ、外装を普段より分厚く仕立てております。

トッピングを全部乗せつつも上手くまとまるように料理する、というような大変さのあるウォレットでした、料理は一切出来ませんが。

今回も良いオーダーを有難う御座いました!!
休む間もなく次の仕事に着手します。
それでは皆様また会う日まで。

宜しければサポート下さいませ。 日々より良いモノづくりの為に切磋琢磨し邁進して参ります!