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「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」展を観に和歌山へ行く

快晴の週末、上の息子(ウエムス、大学3年生)と和歌山まで展覧会を観に行ってきました。

和歌山県立近代美術館

一週間ほど前に、「わ~、ぼく木曜から4連休やあ~~ 先輩の発表会の手伝いとかはあるけど。どっか行ったりするとかある?」と言うので、予定を確認したら、私も普段授業がある日が大学祭休みで、土曜から4連休になるではありませんか! 

もちろん4日全部遊べるわけではなく、授業準備などやることはありますが、授業日が休日になるのは大きい。多少の遠征をする余裕ができます。どっか行かなもったいない。

でも、つい先日、息子らと大阪・京都美術展巡り(一挙3つ)をしてしまっているし… いくら次の日も休めるからといって、片道5時間とかはきついし、何かあったかなあ~

あれこれ調べていたら、授業でも紹介していながら行けていなかった、和歌山県立近代美術館の企画展示にギリギリ間に合うことに気づきました。ワーイ(∩´∀`)∩

以前に一回行ったときの印象も良かったし(文末にリンク)、遠いけど、なんとか有料特急に乗らなくても行ける距離だし、よし、和歌山、行くか!

幸い、良いお天気で、寒すぎず、頻発している遅延もなく、順調にたどり着きました。

まずは館内のカフェでお昼ごはん。こちら、ブックカフェになっていて、画集や芸術系の本がたくさん並んでいます。棚をよく見たら、棚によっては古書を販売しているようでした。なるほど、面白い。今度、家族で行く予定のガウディのサグラダファミリアの本もあったので、ちょっと眺めました。

BRING BOOK STORE 家具も面白い

お目当ての「トランスボーダー」展は、14時から担当学芸員さんのレクチャーがあるので、先に別の展示を観ました。

和歌山に縁の深い画家、原勝四郎の回顧展です。大胆で勢いのある筆致です。

原勝四郎展

ほとんどの作品は撮影OKでした。ウエムスは結構気に入ったそうで、何枚も撮っていたようです。

原勝四郎と同時代に活躍した画家たちの作品が展示されている部屋もありました。そこは無料なのですが、教科書に載るような画家たちがズラリ。撮影不可が多かったですが、いくつかはOKでした。

佐伯祐三「リュ・ドゥ・シャトーの歩道」

さて、お目当ての「トランスボーダー」展へ。

こちらも、ほとんど撮影OK。ありがたいです~~~

まずは、移民というのではなく、和歌山からアメリカへ絵の勉強に行った画家の作品から。

加地為也「朝の飲水」 とても細かくてリアルなんです!
高橋勝蔵「静物」 水差しの質感、鳥のぐったり感がすごかった!

次の和歌山からの移民に関するコーナーからは、資料や現物もたっぷり。当時の様子がよくわかりました。博物館の企画展のようで、とても面白く、勉強になります。


当時の旅行鞄

アメリカ西海岸で芸術活動に励んだ上山鳥城男(ときお)さんの絵はたくさん展示されていました。戦争中、日本人は収容所に集められてしまいますが、ときおさんの絵はお隣の方(だったか?)が保管してくれていたため、無事、残っているのだそうです。

上山夫人の肖像画 とっても可愛い方! こんな肖像画が残っていて羨ましいなあ~~

学芸員さんが、「ものが残っているかどうかは大きい」という趣旨のことをおっしゃっていたのを、うんうん、と思いながら聴きました。

風景画も印象に残る画風

ほかにもたくさん魅力的な絵画や資料がありました。多くなりすぎるので、割愛します。

最後のコーナーは、戦時中の日系人収容所の記録です。ここを特に目当てに、はるばる来ました~

ヘンリー杉本による収容所の記録絵画

アメリカにおける日系人の収容所は、ナチやソ連の収容所のような強制労働や処刑などはなく、少しはまともなものだったようですが、それでも砂漠の中に強制移住させられて、劣悪な環境下、住まわされたのは違いありません。

そういうところでも、やはり、人は何かを創り出そうとするもので、今回も、木や貝殻で作ったさまざまな飾り物や何かが展示されていました。

この展示が、私としては、一番興味深かったです。

この木の鳥のブローチの精巧なこと! 

この貝殻ブローチ、展覧会の紹介ページにもあって、なんとなくアメリカの収容所は海とは無縁の砂っぽいところにあったように勝手に思っていたので、収容されていた人が大事に持っていたものなのかなくらいに思っていたのですが、太古の昔、海だった頃の貝殻が地面から出てくるそうで、それで作ったものなのだそうです!

学芸員さんによるレクチャーに合わせて行ったおかげで細かな話がいろいろ聞けました。大正解でした。

ご自身がこの展示の企画のために調査や研究をされたので、ある事実がどうやって判明したかとか、どのような調査をしたかとかいったことを具体的にお話してくださったのも大変勉強になりました。1時間の予定でしたが、ノンストップで1時間半ほど、充実の時間でした。

普段授業をするとき、自分としては発表とかグループワークとかを盛り込んだ形式の方がうまくできると思っているので、90分ノンストップしゃべり続ける講義をすると退屈かなと思っていたのですが、関心を持てる内容であれば退屈しないものだなあと聴く側に回ってみて思いました。


こちらの美術館、前回も思ったのですが、ウェルカムな雰囲気で、居心地が良いです。

今回はスタンプラリーをやっていて、3つの展示会場でスタンプを押してもらい、ノベルティグッズをいただきました!

職員さんの手作りだというスタンプとトランスボーダー展のビジュアルイメージのバッヂ

図録と絵はがきを買って、

バスで和歌山駅まで戻り、駅すぐそばのお土産店で、わーーっといくつかお土産を買って、電車に飛び乗りました。

おやつなしで電車に乗ってしまったので、さっそく、じゃばら飴を開けてしまいました(笑)

名古屋に行くより遠くて高くつきましたが、でもやはり同じ近畿、知った路線、知った車両、似た駅前の感じで、気楽に行って帰ってこれました。万事順調に事は運び、収穫大の一日でした!

前回の和歌山県立近代美術館行きの記録:


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