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小説 カフェインpart26

 カフェインは無職である自分のことを恥じていた。ノートにもこんなメモが残されている。
 
れんこんの酢醤油炒めを作るのに、どくろやリボルバーが浮かんでは消える。
バイトの面接=私にとっての体験取材と考えて楽しんだり学んだりすればよいと思った。
ハロワでは二年に一回ほど入院しちゃうようでは勤まる企業はないかもしれないと言われた。
未来のことは全く読めない。
将来の自立したちゃんとした大人の自分は想像できない。
そもそもちゃんとしているってどういうことだろう。
今はちゃんとしていない?いつちゃんとする?
ちゃんとするのが正しいこと?
社会勉強=社会を知ること=働くこと
現時点では、本を読んだり、インターネットをする他に自分の目や手で得た情報、自分の体で得た情報を求めているのだ。
 
就活メモ
自衛隊松戸駐屯地内 隊員クラブ
面接日時 5月22日 16時~
 
 
「自衛隊の皆さんって尊敬モンですよ、体張って国のためにがんばってるんだもんなー、自分も何かの役に立ちたくて隊員クラブっていう自衛隊員のみなさんが飲みに来る居酒屋みたいなのが駐屯地の中にあるって知ってバイトの面接に行ったんですよ、でも年齢的に厳しかったのか、顔が可愛くないからか雇ってもらえませんでしたよ、世の中きびしーなぁ。」
「そりゃ若くてかわいい子の方がいいべ。カフェインにはもっと向いてる仕事があんじゃね?」
「なんすかそれー、何が向いてるんすか、わかんねっすよ。」
そんな話をしたのを思い出す。あの子はまじめに就職に取り組んでたんだな。れんこんの酢醤油炒めをピアスじゃらじゃらさせながら作ったりしてたのか。かわいいとこあったんじゃねぇか。

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