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小説 カフェインpart24

 
カフェインの入院生活の日々は体験したことのないわたしには面白かった。誰に読ませるつもりとかじゃなく書いていたんだろうけど。わたしという読者が一人でもいてよかったのかね、カフェイン。
ツインレイとかあの方とかこの人は誰なの。結ばれないみたいなことも書いてあるからやんごとなきお方ってこの人のことかな。
「もう暦の上では春っすね。二月の頭に飛ぶことが多いんすわ、何でですかね、立春?冬眠から目を覚ますようなもんで春が来たんだって嬉しくなっちゃうんですかね。自分動物の本能にしたがって生きてまーす。」
カフェインの病院は入院時、家族以外の面会は不可だそうだ。
「フェイスタオルも垢すりタオルも持ち込み不可なんすよ。自殺防止つまりは首つり防止のためにロングタオルは不可で体洗いづらー、背中垢だらけになりますよね。不潔な入院生活だよ。
入院中ノートと鉛筆を売店で買って、鉛筆はナースステーションに預けて。何時から何時までって借りるんですけども。自分の鉛筆なんだけど、先尖ってて危ないからですかね。それで鉛筆借りられる間ノートに色々書くんです。あまりにも暇なんで創作活動に走るんですよね。
で、退院してから家帰ってノート開くじゃないっすか。いみふめおさん32歳、独身って感じなんっすよ。自分でも何書いてんの、これって。前々回は県の病院がベッドの空きなくって救急車で違う病院運ばれて八千代で入院したんすけどその時もへんてこな文書いてましたよ。」
あの時わたしはそれ読んでみたい、でもカフェインの字、識別できるか微妙だけど。とか言ったと思う。それが頭に残っててノートを盗んだんだもん、ざくざくお宝が眠ってるんじゃないかと。
「小説みたいなものなの?」
「いや脳内妄想の中ではかんぺきにノンフィクションなんすけどね、多分いっちゃってるとき、パラレルワールドに存在する自分がこっちの世界にこんにちはしてるんじゃないですかね。」
カフェインの妄想は特別で、それを読み解くことは万華鏡を破壊して中からきらきら様々なビーズを表に放り出す作業かなと。
あの子は面白かったから書いたもんも面白いはず。単純にそう考えた、わたしみたいな凡人が思いもよらぬような発想力で書かれた文章はきっと金になるんじゃないかって。

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