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小説 カフェイン part5

わたしは純粋に知りたかったのだ。
あのカフェインが死んでいった理由を。
カフェインのご霊前に祈りをささげるふりして実家に侵入。憔悴しきっているお母さまをだまし込んであいつの部屋に入って、頑張ってどっさりノートを盗んできたのは分析するため。死にゆく気分はどんなかなって。
それをもとに文章を書いて、小説とかにして成立させる。それをどっかの文学賞に投稿して金を貰いたいだけ。で、先生になりたいだけ。
このままでは終わらせられない、人生一発当てたいじゃんよ。みんなそうじゃないの?小説なんてわたしに書けるのかわからん。
でもさテーマが大事よ、テーマが。
施設には精神病じゃないと通えない。わたしは盗癖があって睡眠障害でパニック持ちなんだけどさ、カフェインはそううつだって言ってたな。
しょっちゅう施設に来なくなったりしてたから久々に顔を見せたあいつを
「おめー何してたんだよ、男でもできたか?」とからかってたら
「いやぁ飛んでました。」とか言う。
あいつの言う飛ぶっていうのは精神病院に入院するってこと。で、テンションが上がって色々しでかしちゃって親が病院に連行して入院しちゃうんだって笑ってた。
しでかしの内容が知りたかったけどノート雑すぎだし字は汚いし。でも色々メモってあるからな、ちょこちょこ読んでくしかないや。ポエムみたいなもの?とか意味の分からない断片的な文章とかちょっとした日記が書かれていて時系列がよくわからない。
その中に小説が一遍混ざってた。
「一度だけ小説書いたことあんすけど、超絶ムズイっすね。読んでも面白くないの、自分でも。いつか作家さんになりたかったんだけどな。職業・作家かっこいー!でも自分の能力では無理ですわ。」
 
 

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