本を読む理由とひとりとかっこよさ #本棚をさらし合おう
転機になった 『神様のカルテ』
迷ったときにこそ、立ち止まっていちばんはじめの感情を思い出す。進むだけじゃなく止まることはあらゆることを見つめなおすきっかけになる。
人には「向き不向き」があり、全部できるようになる必要はないこと、色々な形の人生があることを心に刻んだ。
ほがらかで看護師さんから「癒しの安曇さん」と呼ばれている方のむかし話は涙が止まらないし、主人公「一止」との会話もほっこりする。穏やかにみえる「癒しの安曇さん」もこの病院でもまた見捨てられるのではないかという不安を抱えていて、「一止」に心配をかけまいとしている姿には心を動かされる。
救いになった 『神様のカルテ0』
最終章の「冬山記」から、苦しいときに救われた文を抜粋したい。
遭難中、諦めて死のうとした「健三」に、息子の弔い登山をしている「浩ニ郎」がかけたことば。
「生きるってのは、苦しいことばかりだからさ」
「たまには、足滑らして尾根道から落ちることだってあるさ。だけど落ちたあとに息があったんなら、しっかり体を起こして、崖っぷちに踏みとどまるに努力をすべきなんだ。
(中略)
生きる理由なんてものは、しっかり生きてから考えればいいんだよ。」
苦しいからこそ、息をぎりぎりまで保つ努力をしたい。
「一止」の妻で登山写真家の「榛名」が「浩ニ郎」の妻、「那智子」につぶやいたことばにも救われた。
「一人ぼっちなのは自分だけじゃない。人はみんなひとりなんだって」
「ひとりだってことは、嬉しいことも哀しいことも全部自分が引き受けるってことです。だったら毎日を大切に積み上げて、後悔しないようにしたい」
「本当に苦しいのは、自分だけが一人ぼっちだって思うことです。そうして、何もかも投げ捨ててしまうことです。そんなの、間違ってますし、悲しいですし、なにより、かっこ悪いです」
ひとりでもじぶんの足でしっかり立てるかっこいいひとになりたい。
本を読む理由
突然ですが、みなさんにとって本を読む理由はなんですか?
みえる世界が広がる
感動したい
遠くの土地にいった気になれる
心の支え
現実逃避
友達
師匠
わくわくしたい
新しいことを発見したい
アイデアがほしい
悩みや問題を解決したい
ざっと書き出しただけでこんなにある。
『神様のカルテ0』で娘の結婚式に出席したいために、治療開始の延期を望む「國枝さん」は
本には「正しい答え」が書いているわけではなく、たくさんの人の気持ちもわかるようになる。
と話した。
わかると良いことがあるですか?
と訪ねる「一止」に、
優しい人間になれる。
と返答し、
優しさというのは、想像力のこと。
との言葉をかけていくのだった。
たしかに、小説を読むことで想いをめぐらせることのできる範囲を広げられる。
これからもさまざまな本に触れて、いかなるときも透明で柔軟な心と真っ白な部分を残しておけるといいな。
余談
一(はじめ)に止(とまる)で正(ただしい)。
「一止」のなまえの由来だ。
大きな壁で前が見えなくなったときにも、初心に戻り、立ち止まる期間をつくって、歩いていく方向を再度決め直してから進む。
道しるべになったたいせつな本。
「同じテーマでかいてみよう」の企画に参加しました。すてきな機会をありがとうございます。
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