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アメリカ自然食レストラン「PPP」チャレンジ8週間記録 -4-閃きにかける!

日本ヒューレット・パッカード

私がポートランドに来る直前までシェフをしていたのは、母の経営する自然食会社が運営を任されていた日本ヒューレット・パッカードのカフェテリア・社員食堂(東京・杉並)。当時にして大きくはないがHPの日本発祥の地として日本HP唯一の自社ビル、唯一の社員食堂、本社であった。(現在は移動)「理想的な社員食堂で社員を健康にして下さい」と当時の責任者から依頼され従事した。冷凍食品ばかりの大手給食会社を退けての小さい自然食の有限会社が外資と手を組む珍しい試みだった。なんせ小さい会社だから誰かに守って貰わないと理想を現実に出来ない事情から我々の組織を本部長直下に位置付けて頂き、やりたい事は全て依頼者である本部長に許可して頂き、代わりに「社員を健康にする」という使命を頂いた。思う存分好きな事をやらせてくれた。色々あるがその中の一つにカフェテリアの厨房を小規模レベルだが工場化させ、冷凍食品、長期保存可能な冷蔵食品等の計画的な大量調理をスクラッチから作れる厨房に進化して貰ったのは大きい。唯一あるカフェテリアだから同区にある他の社屋へも食事を提供する(限界はあるけど)多い時は400食近くを一日で提供するから全てその朝に一から作るのは難しい。だから加工品を厨房内で作り急速冷却器で冷却して保存し、提供する直前に再加熱し完成させる。これで提供する料理の約90%が手作り可能となった。大手食品工場との違いは「愛情」「食べ物は作る人から食べる人へのメッセージ」を核に食材の厳選、必要な手間を省かない、大切な人を想って食べる人の笑顔を想像して作る事。

デルタ航空

話はポートランドに戻り、私達は6年前からデルタ空港ポートランド→成田(現在は羽田)の直行便のビジネスクラスの機内食を提供し始めた。そして4年前からエコノミクラスの機内食も加わった。それと同時に大量調理が可能になるようChef Naokoのキッチンを高度化し自称(笑)プチ工場になった。機内食から学んだ事は多い。我々が作った料理は食べる約18時間前に機内食会社にピックアップされ、最終調理と仕上げは上空のCAに委ねられる。だから和食を良く知らない人でも機内での調理が成功するようあらゆる状況を想定して細心のケアを心がけた。食事の安全に際してはにChef Naokoの厨房には「急速冷却器ブラストチラー・ショックフリーザー」がある。これは温かい出来立て料理を急速冷却(冷蔵・冷凍)をして菌の発生を抑え,再加熱した際は出来立ての味に限りなく戻る素晴らしい機械なのだ。


Stay Home Order 

お店を閉めてから約一週間後の3月23日月曜日、Stay Home order が州知事から出された。幸い飲食店はピックアップや配達が許された。

そうだ、カフェテリアと機内食で経験した衛生的にも安全な冷凍食品を作ろう。

つづく

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