「柑橘の大トロ」せとかを使って東京ブッラータのミルク感を強調したひと皿
桜のつぼみがどんどん大きくなっています。満開の桜に心を躍らせる日々がもう目の前。今年の春は、マスク着用の規制もなくなり、楽しいお花見ができそうですね。
こんにちは、奥渋・NHKの西門前にあるフレッシュチーズ専門店「SHIBUYA CHEESE STAND」(以下、渋谷店。実物大の牛のオブジェが目印)です!
今月も、渋谷店の人気メニューであるシーズナルのフルーツブッラータのレシピを紹介していきます!
ネパール山椒やカルダモン、バニラなど
多彩なスパイスで香りを設計
毎月変わるシーズナルの3月のフルーツブッラータは、和歌山県海南市で三代続く柑橘農家で、減農薬栽培でワックスや防腐剤を使用しないで栽培する「くじら柑橘農園」さんの「せとか」を使ったさわやかな仕立てのひと皿です。
せとかは、長崎県で開発された柑橘です。みかんよりもやや大きめの柑橘で、皮は手で剥けるほどやわらかく、香り高く高糖度な食味もあるため海外でも高く評価されている柑橘の一つです。
ジューシーなせとかは「柑橘の大トロ」とよばれるほど、そのまま食べてもおいしい柑橘です。今回は、オーブントースターで皮付きのまま黒くなるまで加熱して使います。中の薄皮なども加熱されて食べやすくなるのと、さらに冷やすことで酸味も丸くなり、ギュッと凝縮して一体感のある味わいになります。それを今回は、そのままカットしてソース代わりに贅沢に使っています。
ほかにも身だけをキャラメリゼしたり、せとかを加工することでミルク感があるブッラータと相性がいい最高のひと皿になります。
ネパール山椒や、ジャスミン、紫蘇、ブラウンカルダモン、バニラ、マスタード、ディルなどのスパイスを使っているので、香りの想像がつきづらいですが、食べるとなぜかホッとするような組み合わせですので、ぜひレシピを参考に作って、その謎に迫ってみてください。
それぞれのパーツだと不思議な味が、合わせることで生まれるひと皿をお楽しみください!
「くじら柑橘農園」のせとかと
ジャスミンのブッラータ
関口幸秀(CHEESE STAND SHIBUYA店長)
作り方
1.コンフィチュールを作る。柑橘の皮を剥き、身と皮に分ける。鍋に皮と水をいれて火にかけゆでこぼすことを、3回ほど繰り返す。皮は細かく刻み、火にかけている実と合わせて重量の40%のグラニュー糖、ブラウンカルダモン2粒、バニラ1/4本を加え、焦がさないようかき混ぜトロッとしたら完成。煮沸した瓶や密閉容器に入れて冷蔵庫で保管しておく。
2.焼きせとかのジャスミンマリネを作る。オーブントースターにせとかを入れ、皮の表面が黒くなるまで15分ほど加熱する。終わったら冷蔵庫で冷やして皮を剥き、5mm角のサイコロ状にカットしジャスミンの茶葉をふりかけでマリネしておく。
3.ティムトペッパーのクランブルを作る。バター以外の材料を全てボールに入れて混ぜておく。小さくカットしたバターを入れて手で揉み潰しながらそぼろ状になるまでよく擦り混ぜる。170℃に予熱したオーブンに30分ほど入れ、全体に軽く色がつきクッキーのようになるように時間調整しながら焼く。
4.ホエイジャムマスタードを作る。ホエイジャム5gとフレンチマスタード3gを混ぜあわせる。
5.せとかのカルチェ(白い皮をとりオレンジの実だけにしたもの)を6〜8粒耐熱バットなどに並べ、上からグラニュー糖をまぶしバーナーでキャラメリゼする。
6.盛り付ける。皿の真ん中にコンフィチュール、ホエイジャムマスタードをのせ、その上になるべく常温に戻した東京ブッラータを優しくのせ軽く塩をする。キャラメリゼしたせとかのカルチェを並べ、焼きせとかとジャスミンマリネをかける。ティムトペッパーのクランブルと紫蘇塩(ゆかりでも可)を散らし、ディルを4ヶ所ほどちぎって飾れば完成。
レシピのポイント
フルーツブッラータの仕立てを考える際には、香りと塩味のバランスが重要です。レシピを考案している関口シェフも、ブッラータはミルク感は、しっかり利かせた塩味によって感じるもので、塩味が薄いとボヤっとして、他の材料の味までもぼやけさせてしまうこともあるそう。
さらに香りで複雑さをもたせることで、ブッラータのミルク感の余韻を最後まで感じさせるような設計を目指しているといいます。
1月末には、茨城県のチーズ工房をCHEESE STANDのメンバーでまわってきました。その際、さまざまなチーズを食べる機会を得て、塩味とミルク感の関係をチームで考え直すようになりました。以来、チーズの塩味を変えています。関口シェフも「よりよくなって、本当に今すごいおいしいと思います」と太鼓判を押すほどです。
料理の良さは、複雑さとバランスから生まれると関口シェフ。渋谷店のシーズナルフルーツブッラータを作ってみると、決して作り方は難しくないものの手間のかかる作業を積み重ねていくことで、複雑さを外連味なく感じさせるバランスが絶妙に設計されていることに気がつくはずです。
そして「フルーツブッラータつくってみて」は、ご家庭で作るのはもちろん、ぜひレシピの「答え合わせ」として、SHIBUYA CHEESE STANDに食べにいらしていただけたらうれしいです。
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「東京ブッラータ」をご家庭で食べる際に、「食べごろ」があるのをご存じですか?! 食べごろを検証したnoteはこちら。「賞味期限2日前・常温2時間」を覚えておいてください!
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「くじら農園の『せとか』とジャスミンのブッラータ」のほかにも、旬の食材を使った3月のシーズナルメニューが現在SHIBUYA CHEESE STANDで販売中です。お昼も夜もメニューにありますので、ぜひ食べにきてくださいね!
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文・構成、撮影=江六前一郎
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