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「街に出来たてのチーズを」には、つながりをイメージさせる力がある

CHEESE STAND のnoteが始まって4カ月が経ちました! 初回から編集担当として参加している江六前です。いつもnoteの記事を書いている広報 Mさんに代わって書かせていただきます!

テーマは、ブランドコンセプトである「街に出来たてのチーズを」について。「あまり考えずに出てきたキャッチコピーなんですよ」と代表の藤川真至さんはいいますけど、じつはCHEESE STANDとお客さまの関係をイメージさせるとてもいいコンセプトだなって思っています。

8年間でチーズに対するハードルが下がった

CHEESE STANDは、2012年6月4日のオープン当初から「街に出来たてのチーズを」というブランドコンセプトを掲げています。

8年間で、「街に出来たてのチーズを」たくさんの方々にお届けすることができたのではないでしょうか。もちろん僕自身もその一人ですよ。

それに、日本人のチーズに対する意識も変わってきました。オープンした2012年、2.2㎏だったチーズの国内一人あたりの消費量が2018年には2.7㎏に上昇しています。その間、大手企業を除く国内のチーズ工房は186か所から319か所に増え、なかでもフレッシュチーズの製造所がもっとも多くなっています。

チーズ推移

実際には、チーズの国内生産量は8年の間でほぼ横ばいで、割合としては輸入チーズが増えているという側面もありますが、それでも以前だったら「種類が多くてわかりずらい」とか「ワインや料理と合わせなければいけないと思うと躊躇してしまう」といった「チーズに対するハードル」があったとおもうのですが、それがずいぶんと下がってきて、多くの人がチーズを楽しんでいらっしゃるのかな、と思っています。

街に出来たてのチーズを」のコンセプトは、世界初だったのか?

人口100万人以上の都市(東京23区の人口は957万人、ほか12都市)の中心部に製造所をもって、ミルクからフレッシュチーズをつくる。さらにその場所で出来たてのチーズを食べられるというのは、日本で初めて、おそらく世界を見てもかなり早い例ではないでしょうか。

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じっさい、CHEESE STANDを始める前に藤川さんが、イタリア発の販売店「Eataly」のニューヨーク店で、チーズのもとになるカード(凝乳)から、フレッシュチーズを店内でつくっていたものを食べたことがあったといいますが、製造のすべてを併設工房でしているというのは聞いたことがなかったといいます。

そして2015年頃にようやく、ナポリの駅裏の商業施設で、ミルクから店内でフレッシュチーズを製造している店を初めて、私たちと同じスタイルの店を発見したそうです。その後、2017年頃にシドニー(ただし街の郊外)やパリにもできたという情報を聞くようになりました(もし他にご存じの方がいらしたらお教えください!)。

日本でも2016年に、飲食店グループHUGEさんが手掛ける銀座のお店「クッチーナ デル ナブッコ」で、ミルクからフレッシュチーズを製造されたのを皮切りに、たくさんの出来たてチーズを販売するお店も増えてきました。

藤川さん曰く「街に出来たてのチーズを」というコンセプトが浸透してきたなと実感できたのは、こうした同じようなお店が増えてきた頃からだといいます。

「街に出来たてのチーズを」の先にあるもの

モッツァレラと並ぶ、イタリアでメジャーなフレッシュチーズ「ブッラータ」をCHEESE STANDは、日本で初めて商品化しました。2012年のオープン時からのレギュラーアイテム「東京ブッラータ」です。当時は、ほとんど知られておらず、あっても輸入品のみ。現在のブッラータブームの火付け役でもあります。

ちなみに2020年5月からイオンさんのプライベートブランド「トップバリュ」でも販売されています。輸入品ではなく、原料から製造を北海道で行う国産ブッラータです。

ライバル商品といえばそうなのですが、フレッシュチーズと言えば、モッツァレラかクリームチーズくらいしかなかった時代から考えれば、日本を代表する量販店さんも参入してブッラータを日本の食卓に登場させようとしているわけですから、フレッシュチーズのカルチャーもかなり浸透してきているように感じます(ちなみに、トップバリュでは「ブラータ」と表記していますね)。

さらに、都内を中心にした飲食店でもCHEESE STANDのチーズを使ってくださる店が年々増えていってます。どの店も、東京から新しい食文化を発信しようとしているお店ばかりで、みなさん「街に出来たてのチーズを」というブランドコンセプトに賛同してくださっています。

下の写真は、最近商品を扱いはじめてくださった、同じ奥渋のBeasty Coffeeさんのカチョカヴァッロを使ったホットサンドと、六本木のBricolage bread & co. さんの東京ブッラータのフルーツプレート

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そんなこともあって「もう十分に『街に出来たてのチーズを』というコンセプトが伝わっているんじゃないですか?」と、藤川さんに聞いたことがあるんです。

駅や商業施設内にSHIBUYA CHEESE STANDのように気軽に食べられる店舗をたくさんできたり、チーズのある食卓をふやすことだったり、手土産の選択肢にチーズがあがったりするような「気軽にフレッシュチーズを食べる」というカルチャーを作りたいと藤川さんはよく話していました。

それならもう、いいところまで行っているんじゃないかな」と、僕は思ったのですが、藤川さんは、「まだまったく知られていないし、もっとチームとして成長していかないと達成できないと思うんです」と、道の途中だといいます。

これと同じようなことをCHEESE STANDのスタッフに聞いても「まだ、店内でミルクからチーズを作っていることとか、東京産のミルクを使っていることとか、CHEESE STANDが伝えたいことがまだまだ知られていないんです」といいます。

そうか、ただチーズを食べてくれればいいってわけじゃないんだ。「街に出来たてのチーズを」というコンセプトには、CHEESE STANDの想いも一緒に食べてほしいということが込められていることを知ることになります。

シーンを連想させるブランドコンセプト

先ほどの質問の答えを藤川さんは、次のように話し続けてくれました。

CHEESE STANDのチーズをたくさん食べていただきたいのは、その通りなのですが、そうすると大部分を機械化しなければいけないんです。もちろん今、製造のすべてを手作りしているわけでなくて、部分的には機械を導入しています。だけど、手でさわりながらでないと判断できないような、練り作業や日々の気候状況などに対応したpHの調整は、やっぱり手作業でやり続けたい。それができないと、僕たちが納得できる「おいしいチーズ」ができないんです。そのためには、製造チームを強くして、さらには、僕たちが「なぜ手作業を続けるのか」を伝えることも大事になってきます。だからまだまだ『街に出来たてのチーズを』のコンセプトの実現には時間がかかりそうです。

出来たて」は、あたり前のことなんですが、作った人と食べる人との距離が近くないと実現しません。つまりそれは、同時に「想いを伝いあえる距離」であることも意味しているのではないでしょうか。

チーズも想いも、「あなたの近くで出来たて」でお渡ししたい。

街に出来たてのチーズを」というブランドコンセプトには、フレッシュチーズのカルチャーを広めたいという目的ももちろん込められているのですが、それ以上にCHEESE STANDとお客様が一緒にいるシーン(場面)を想起させる力があるように感じます。

そしてそれは、お客様にとっても同じで、さまざまなCHEESE STANDとのシーンを想起させるはずです。

街に出来たてのチーズを」というブランドコンセプトは、ブランドの目指すビジョンであると同時に、CHEESE STANDと私たちとの間にあるつながりを想起させるすばらしいコンセプトだと思うのです。

text by Ichiro Erokumae

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毎週月曜の朝更新しているCHEESE STANDのnote。次回9/14(月)は、連載「with coronavirus 飲食店の未来を語りましょう」の第6回、
THE GREAT BURGER」の車田篤さんとの対談を公開する予定です!どうぞお楽しみに!

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