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地味なパンツをエロいパンツに履き替えて

数年ぶりにパンツを買った。

ネットでちょっと好きなデザインのパンツを見つけたのだ。セクシーすぎず、デザインも奇抜すぎず、ボクサーよりもやや三角形で、色は白と薄いカーキの2枚。

派手なパンツを履くことを好むゲイは多い。僕の元彼にもパンツ収集癖のある男が多かった。そんな中で僕は、下着が地味なことにある種のアイデンティティを感じていた。

持っているパンツはほぼユニクロと無印で、無難なグレーや紺のボクサーパンツばかりだ。腰ゴムの締め付けが腰痛に悪いと聞いてからは、ちょっと大きめのダルダルのパンツを好んで履いてきた。

しかし、タイトめなスラックスを履く時に、股間に程よいボリュームがないと何となく格好悪い。そう思ったのをキッカケに、決して立派ではない僕のイチモツを、立体的に支えて、ボリューム感を演出してくれるパンツが欲しいなとぼんやりと考え出した。

たまたまネットで目にとまったパンツがあり、価格もお手頃だったので注文した。生まれて初めて買った、ちょっとエッチなパンツ。届くまで、なんだかずっとソワソワしていた。

荷物が届き、すぐさまパンツごとズボンを下ろし、脚を通してみる。サイズもちょうど良いし、しっかりと股間を支えてくれるので、実際以上にボリュームがあるように見える。

なぜか異様に興奮してしまい、商品レビューに誰かが投稿していた写真を真似して、何枚か写真を撮ってみた。うん。悪くない。

撮った写真をインスタストーリーの『親しい友達(相互フォローの推し)』のみの公開でアップすると、セクシー!もっと見たい!と反応が届く。お返しだよと言って推しからエロい画像が届いたので、1日でパンツ代は完全に元が取れたと思った。

もっと引き締まった体だったら、きっとこのパンツも数倍見映えがするだろう。この忙しい師走を走り終えたら、運動を頑張って、このパンツでもっとかっこいい写真を撮ってみよう。

こうして僕はアイデンティティをひとつ失い、しかし、ささやかな楽しみをひとつ見つけた。みなさま良いお年を。

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