見出し画像

ただ、空を見るためだけの旅へ

「趣味」と言う欄に書いたことは一度もないけれど、それに匹敵するくらい空を見ることが好きです。

夕焼けの空の色がだんだん変わっていく様子や、毎日形が変わる月、季節によって時間によって見える星座が変わる星空、一瞬で夜の闇から太陽の世界に変わる朝日、刻々と形を変える雲。などなど。

同じ場所にいても、同じ空は2度とないんだよね、とか、この雲はどこまで続いているのかな、なんて考えながら。時々、遠く離れた方が同じ空の写真をSNSにアップしていると嬉しくなったり。

時には空を見上げる余裕なんてないまま、あっという間に数日経ってしまう時もありますが、そんな時こそ空を見上げるとほっとしたり、心がスーッとしたり。余裕のある時には「自然が作り出す一番の芸術だな」なんて思って、空を眺めています。

幼い頃の記憶や、旅先の景色も空の色とセットで鮮明に覚えていることが多く、同じように、いつか行ってみたい場所もほとんどが空の景色とセットです。

その中で一箇所だけ、物心ついた頃から行きたい、見たいと思っていながら、一度も現実的に計画に上がらない場所があります。おそらく、何かのついでを待っていたら行くことはなく、よほど気合を入れて計画を立てないと行けないだろう、ただ空を見ることだけが目的の、私にとってはちょっとハードルの高い場所。

「アラスカでオーロラが見たい」

調べていないわけではないのです。
8月から4月が良い季節だとか、その中でも11月から3月くらいが見える率が高いとか、アラスカよりカナダの方が確率が高いとか。フィンランドなどの北欧でも見れるから、ヨーロッパ周遊から入るという案もあるのだけれど、どういう訳か「アラスカのオーロラ」に無性に惹かれるのです。アラスカへは直行便も出ていたのでそれほどハードルが高いはずはないのに、ものすごい葛藤が。。。

気温を見ていつも怯むのです。

オーロラは見たいのですが、私はとにかく寒いのが苦手。過去、スキーは2,3回お付き合いで行ったものの、リフトに乗っている間の寒さに挫折し、いつも2日目以降は温泉かプールでお留守番。海外旅行で行く先は日本と同じ季節か、常夏の国、できることなら冬の日本を脱出して暖かいところに行きたい。

何が悲しくてわざわざ寒いところに行く必要があるのか、ともう一人の私が牽制し、オーロラは見たいけれど、寒いところには行きたくない、と言う葛藤。

そして、私は性格上、一石二鳥三鳥の「効率」好きなので、どうせ行くならあれもこれも楽しみたい派。しかし、フィンランドやカナダならまだしも、アラスカではもう本当にオーロラオンリー。

冷静な私が「カナダかフィンランドにしようよ」と囁くも、やっぱりアラスカに惹かれる。

さらに、オーロラは毎日見れるとは限らないので、最低でも4日は必要。
そんな極寒の地に1泊ならまだしも、3泊4泊、耐えられるのだろうか。

20数年、海外旅行の計画が出るたびにパンフレットを眺めては一番最初に脱落してきたアラスカオーロラツアー。5年前までは「見れない日は時間の無駄」くらい思っていたものです。

ところが、この1年でずいぶん考えが変わりました。

まず、3年ほど前にアラスカのオーロラを専門に撮っているカメラマンさんとSNSで知り合い、リアルな寒さ情報が得られたことが一つ。

20年前と比べてロッジが整い快適になったようだし、この1年家で過ごす時間が長くなり、それも楽しめることに気づいたおかげで、1週間くらいただオーロラを待つ日々も良いような気がしてきたのです。

1回見れるかどうかの短期決戦思考ではなく、どれだけのパターンが見れるかにシフトチェンジ。緑や紫、真っ直ぐなのやカーテンのような形など、「今日はどんなオーロラが見れるかな」と、夜が来るのを楽しみに、昼はお部屋でぬくぬくと、大自然の中でのんびり過ごす1週間。こんな贅沢ってないんじゃないかと。

おまけに7月に旅立った彼が行ってみたかった場所が「アラスカでオーロラを見る」だったと。奇遇ですね。
同じようなことを思っていたのかと思うと、ちょっと嬉しい。代わりに私が見ても何にもならないかも知れないけれど、あなたの分も満喫してきますよ。

今季はそろそろシーズンが終わるから、来年でしょうかね。
「行きたい」を「行こう」に昇華して、飛行機が飛べる時を待ちます。

ただ、空を見上げるためだけの旅
アラスカでオーロラを見る。とても楽しみです。





こんな本を出したこともありました。まだAmazonにあるとは、嬉しいです。









この記事が参加している募集

#一度は行きたいあの場所

52,829件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?