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高橋璃子さんの翻訳に感動した話

当方、ビジネス書をよく読むのですが、たまたま「限りある時間の使い方」という本を読んだところ、あまりの翻訳の素晴らしさに感動したので、シェアさせてください。

海外ビジネス書籍の日本語翻訳版を読む事も多いのですが、読んでる最中につっかかる事が多く、途中同じ文章を何度も読み返して、書いてある文章の単語を自分で並べ替えして文章の意図を咀嚼する事も多かったように思います。そうして読み進めていく中で、だんだん読む気力が失せてきて、途中で読むのを諦めてしまった本も多くありました。

そういった過去の経験から、この「限りある時間の使い方」を読む前は、「読みにくかったら途中で読むのをやめればいいか。。。」、「何か1つでも心に響く内容があれば、無理して最後まで読まなくてもいいか。。。」、などと考えながら本を開いたのですが、その思いは良い方向に裏切られました。

読めば読むほど、サラサラ清流のごとく流れるように読み進めることが出来、そのおかげか心に染み入る文章ばかりで、深い気づきが得られる小説を読んでいるような感覚を覚えました。

なぜ、こんなに心に染みるのだろうと、何度も読み返していたところ、「これは翻訳の素晴らしさではないか?」という事に気が付きました。
この本で好きな箇所は無数にあるのですが、その一つが以下の文章です。

僕は思うのだけれど、大人になるということは、「誰もがすべてを手探りでやっている」という事実を徐々に理解するプロセスではないだろうか。

限りある時間の使い方

この本の原文はどういう文章なのか気になって、英語が全く読めないのに洋書のKindle本もポチってしましました。上記の箇所の原文は以下です。

But I sometimes think of my journey through adulthood to date as one of incrementally discovering the truth that there is no institution, no walk of life, in which everyone isn’t just winging it, all the time.

Burkeman, Oliver. Four Thousand Weeks

試しに、この文章をGoogle翻訳でそのまま日本語に訳してみたのが以下です。

しかし、私は時々、大人になってからこれまでの自分の旅を、誰もが常にただ生きているわけではない制度や人生の歩みなどというものは存在しないという真実を徐々に発見していったものだと考えることがあります。

Google翻訳は、素直に訳しているだけなので、これはこれで翻訳の技術としては素晴らしいのですが、正直、文章の意味を汲み取るのは難しい印象です。単純に比較するのは大変失礼ですが、Google翻訳の日本語訳を読むと、高橋璃子さんの翻訳の素晴らしさに改めて感動を覚えてしまいます。

翻訳というお仕事は、原著の文章の意図や、前後関係の流れを歪曲させないよう、かつ、日本の読者に伝わる読みやすい文章にするという、大変難易度の高いお仕事だと想像します。そんな中、高橋璃子さんのこの本の訳は、どこを読んでも、まるで日本人が著したエッセイのような文体で、よどみなく頭に入ってきます。

もちろん著者のオリバー・バークマンさんの力量も大きいと思いますが、翻訳によって、その良さが何十倍、何百倍も増幅していて、良い仕事とはこのような仕事なのだと、本の内容以外のところも得られる事が多かったです。

恥ずかしながら、これまで翻訳者という観点で、読む本を選んだ事がなかったのですが、高橋璃子さんが訳された他の本も読んでみようと思い、さっそく

を、ポチッた次第です。
「限りある時間の使い方」だけでなく、いろんな本を翻訳されているようです。気になった方はぜひご一読をお勧め致します。

感動のあまり、勢いでnote初投稿してしまい、非常につたない文章でしたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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