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物語り

今私の中にある安らぎ、それはあなたがくれたもの。

私はあなたに出会うまで、安心感を知らなかった。

正確には、父や母がくれようとしたかもしれないけど、私はそれを安心感として受け取れなかった。

あなたは私が元気がなかったら、何か食べたいものはある?と聞いてくれた。

自分の部屋を旅行でしばらく空けるからと植物の水やりを頼まれて、あなたの部屋に行ったら、私がいつも仕事で疲れてるからって、お布団が敷いてあったこと。

あなたに抱きしめられるとすごく安心したこと。

あなたとはもう一緒にいないけれど、あなたは私の中に安心の種を残してくれた。

人からもらう安らぎや暖かさを知って初めて、私は自分の中に安心を作ることができた。

あなたと出会ったばかりの頃、それは全部あなたからもらうものだった。

でも私の中に撒かれた種は、ちゃんと成長して、私は一人でもだんだん安心していられるようになった。

あなたがいなかったら、あなたに出会わなかったら、私はどうやって今の私になっただろう。
出会いって何て不思議なんだろう。

私に物語があるように、人にはそれぞれ物語がある。
どんな物語も全部尊い。

お金持ちの人、そうじゃない人、社会的地位がある人、地位や名誉から遠くにいる人、家族がいる人、いない人。友達がたくさんいる人、全然いない人。社会や人は、それに優劣をつける。

だけどそんな社会的評価とは全く関係ないところに、個々の人生の物語がある。
誰にも、その人だけの意味がある。それはどんな評価からも自由だし、それは一人一人にとってなによりも尊い。

それぞれの胸の中には、たぶん語られることのない大切な物語があって、それを大切に抱いているから私たちは生きていけるんだと思う。

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