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ジョージアの世界遺産ムツヘタの歴史的建造物群に行ってみた話

こんにちは、チェ・ブンブンです。

先日、ジョージアへ旅行してきました。世界遺産検定1級取った者としては、ジョージアの世界遺産へ行きたいものです。個人的に、世界遺産の登録から抹消された「バグラティ大聖堂」へ行きたかったのですが、トビリシから遠かったので、今回は「ムツヘタの歴史的建造物群」へ行ってみました。

「ムツヘタの歴史的建造物群」は1994年、ジョージア初の世界遺産として「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」と共に登録された物件です。紀元前4世紀イベリア王国がジョージア東部に建国され、首都がトビリシへ移るまで首都として機能していた。この地ではキリスト教が伝えられ、国教となった。その後、11世紀に入るとビザンツ帝国の属国となりました。

Google Mapsよりトビリシ中心部(自由広場)とムツヘタとの位置関係

トビリシからは1時間ぐらいで行けるものの、少しハードルが高いので今回は道中含めてリポートしていく。

1.動画版

2.地下鉄でDIDUBE駅へ向かおう!

ホテルから一番近い駅LIBERTY SQUARE
メトロカード

今回の宿泊先である、トビリシ中心部・自由広場(LIBERTY SQUARE/თავისუფლების მოედანი)からムツヘタへは下記の方法で行くことができる。

  1. 地下鉄に乗ってLIBERTY SQUAREからDIDUBEへ向かう。(約15分)

  2. DIDUBE駅で乗合バス(マルシュルートカ)かタクシーに乗る。(約30分)

ジョージアの地下鉄はMETROMONEYと呼ばれるプリペイドカードを使って乗り降りする。駅の窓口でデポジット2ラリ(約100円)を支払い、その上でチャージする方式だ。面倒なので、5ラリ札を渡して、全てチャージしてくださいと伝えるが吉。ジョージアの場合、英語の訛りが軽く、日本人の話す英語も聞き取ってもらいやすいので円滑に購入することができた。

ジョージアの地下鉄は1回90分の範囲で移動が自由だ。距離に応じてお金を支払う日本と比べるとずいぶん安い。なんたって、1回あたりの料金が1ラリ、つまり約50円なのだから。

ジョージアの地下鉄は非常に深い

社会主義国の地下鉄は、プラットホームまでが長いと聞いたことがある。ジョージアもソ連に支配されていた時期があるだけに例外ではない。エスカレーターに乗り込むも到着するまで3分近くかかりました。ちなみに、この国ではエスカレーターは左側通行のようです。

英語併記で駅名が書いてあるのが嬉しい。

Google Mapsでジョージアの移動手段を調べると、ジョージア語表記のみになることが多く、いくら少し言語の勉強したとしても辛いところがある。果たして、DIDUBE駅(დიდუბე)へ辿り着けるのかと思っていたら、普通に英語が併記されていました。

仄暗いプラットホームですが、電光掲示板にて列車が到着するまでの時間が秒刻みで表示されていたり、列車内でも駅名をゆっくりアナウンスしてくれるので安心です。国によっては、駅に到着してもアナウンスがないこともあるのでホッと胸を撫で下ろしました。

DIDUBE駅

DIDUBE駅へ着く。商店が立ち並び、道路には無数のタクシー運転手が客引きをしている。マルシュルートカ乗り場は非常に混雑しており、混沌としている。そんな中、おっさんに「どこへ行くんだ?」と声をかけられた。

ムツヘタへ行きたいと言うと、観光案内のパンフを見せながら説明を始めた。目的地であるムツヘタのジュワリ聖堂やスヴェティツホヴェリ聖堂へ連れて行ってくれるようだ。しかも、帰りもDIDUBE駅まで送ってくれるとのこと。60ラリ(約3,000円)で行ってくれるそうだ。確かにマルシュルートカを使ったら、格安で行けるのだが、スヴェティツホヴェリ聖堂からジュワリ聖堂への移動が面倒なのと、午後には温泉観光をしたかったこともあり、このおじさんにお願いすることにした。方向音痴ということもあり大学時代の海外旅行では、よく死にかけた。その上、時間を無駄にしたことも多かった。そのため短い観光では、時間と安全をお金で買う。これが私の中の鉄則である。

マルシュルートカを使った方法は別の方が紹介しています。

3.ロシア人運転手との会話

これどうぞ!と果物を差し出された。

おじさんと会話をしてみる。

მე იაპონელი ვარ. 
メ イアポネリ ヴァル。
(私は日本人です。)

彼は嬉しそうにしていた。そして、ロシア語ではこういうみたいな話をしてきた。どうやらロシアから移住してきた人らしい。ジョージアではロシア語が通じるが、世界情勢的に使うタイミングを気にする必要がある。ただ、50代以上のジョージア人、またはロシアから移住してきた人はロシア語を使いたい欲があるらしい。彼は、音楽をかけ始めた。ロシア語の曲だった。「Японский(日本人)」と聴こえてきたので、恐らく私に気をつかって日本のことを歌っている曲を選んだようだ。演歌的旋律が車内に響く中、ムツヘタを目指す。

4.ジュワリ聖堂で犬に包囲される

山の上に見える聖堂が構成遺産のジュワリ聖堂
ジュワリ聖堂、低めかつ角ばったドームが特徴的。

6~7世紀に建てられたジュワリ聖堂は、損傷も激しいことから、夜に訪れたら幽霊が現れそうな趣きを醸し出している。ムツヘタにキリスト教を伝えたといわれている修道女ニーノが十字架を立てて祈りを捧げた伝説の場所として知られている。

アグラヴィ川が一望できる。

ジュワリ聖堂からは二股に分かれたアグラヴィ川が一望でき、絵画的絶景が広がっている。山、道路、街が綺麗に川によって分断されているユニークな地形が形成されていることが分かる。

聖堂前には、いくつか注意点がある。

ひとつは、入場料を取ろうとする人がいるが聖堂と関係のない物乞いだということ。トビリシとは違って、無視すると罵声を浴びせてくるので気を強く保ちましょう。

もうひとつは、野良犬が多いことだ。ジュワリ聖堂だけに限らず、ジョージアでは野良犬が多い。それも大型犬がほとんどだ。耳にタグがついているものは狂犬病の予防接種をしている。とはいっても、囲まれたらひとたまりもありません。ジュワリ聖堂前で2頭の犬に吠えられ、気がつけば4頭に囲まれる状況に追い込まれました。犬的には「ジュワリへ来たのか!俺らが連れてってやるよ。だから何か寄越せ!」みたいな感じでしょう。

クロアチア・ザグレブで大型犬に挟み撃ちにされた時はまだ、飼い主がいたものの、野良犬で包囲された時の「あっ詰んだ!」感は強烈でした。

丸山ゴンザレスも確か「世界ヤバすぎ!危険地帯の歩き方」で野良犬のヤバさについて語っていたが、これはガチです。物乞いは、別の人に声をかけている隙に背後を通過すれば影響ないものの、犬は行動が読めないことが多いからだ。

5.スヴェティツホヴェリ聖堂

スヴェティツホヴェリ聖堂
聖堂内部

次に訪れたのはジョージア最古にして最大のスヴェティツホヴェリ聖堂。1周するのに、3~5分かかるぐらい大きな聖堂です。そんなスヴェティツホヴェリ聖堂は、イベリア王ミリアン3世が建てたもの。

現存しているこの聖堂は11世紀に再建されたものだ。中へ入ると、三廊式で20mぐらいの高さがある空間が開放感と荘厳さを醸し出している。ヒジャブのようなものをつけた女性参拝者たちが、中央アプスに聳えるイコンに向かってお辞儀をしている。中にはひざまづきながら祈りを捧げる者もいる。ジュワリ聖堂とは違い、礼拝の場として機能しているようだ。

6.謎の民家でトルココーヒーを飲む

タクシー運転手に連れてこられた謎のカフェ

タクシー運転手に「カフェでコーヒー飲むか?」といわれる。

連れてかれたところは、民家のような場所であった。とりあえず、トルココーヒーを頼んでみた。待っていると、奥から菅原文太ソックリな男が入ってくる。ジョージア語だろうか?

「カタリシ?」

と語りかけてきた。自分の辞書にない言葉すぎて、推察するのに苦労した。グラサン、革ジャンを着た菅原文太似の男に声かけられる。それも、意味が全く想像もつかない。これほど怖いものはないだろう。とりあえず、魔法の言葉を使ってみよう。

მე იაპონელი ვარ. 
メ イアポネリ ヴァル。
(私は日本人です。)

彼はニッコリと笑い奥へと去っていった。ジョージア旅行をする上でこの言葉はとても便利だ。今回、30回ぐらい使った気がする。翌日に、帰りの車が来るまで散歩していた際にも土産屋の店員から同じことを言われた。どうやら「どこでその言葉を覚えた?」みたいなことを話しているらしい。持ってきたテキストブックを見せたら会話が広がった。どうやらこれが正解だったようだ。

トルココーヒー

ナリカラ砦に行った時も遭遇したが、ジョージアではトルココーヒーが飲める機会が多い。我々がよく口にするものとは違い、ちょっとドロっとした質感が特徴的。例えるならば、ミロの底に溜まった塊が表面部分にもある感じだ。

映画のセットを思わせるインテリア

カフェには、映画のセットを思わせるレトロなものがインテリアとして飾ってあって印象的であった。

7.サムタヴロ教会・修道院

サムタヴロ教会・修道院

最後に修道女ニーノが住んでいたと言い伝えられているサムタヴロ教会・修道院へ行きました。日本庭園ののような盆栽が目立つ空間があり興味深い場所でした。写真を撮っていると、豪華絢爛な赤い服を纏ったマダムたちが現れ、「ちょっと坊や、写真を撮ってくれないかしら?」といわれました。国内外問わず、「写真撮ってください!」といわれる機会が少ないだけに結構面白かった。

朝早くから行動したとはいえ、これだけのことを午前中に達成できるとは思わなかった。いつも過酷で時間のかかる行動をしがちな私にとってやりきったなと思いました。

この午後は温泉へ行きました。この話は下記のnoteにて書きましたのでよかったら是非!

参考資料

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