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【考察】どうした ファイヤーラード?Macho your name?

こんばんは、チェ・ブンブンです。

緊急事態宣言でSTAY HOMEが強いられた世界に爆誕した伝説のTwitter連続自主制作映画『スペース・カウボーイ』の最終回から約1ヶ月半が経った。どうやらまた、(株)おくりバント社長 高山洋平( @takayamayohei1 )さんが新作を発表しました。

その名も『ファイヤーラード』。

直訳すれば、「脂肪燃焼しなさい」なんだろうか?

どうやら、高山さんが今度はファイヤーラードという人物になりきってパーソナルジムのREAL WORKOUTさんで修行をする内容らしい。最近、観たい映画がなくなってしまいスランプに陥っている私ですが、そんな私のモチベーションを上げる動画が連日投稿されているので、またnoteで全話考察してみようと思います。※随時更新中

↑『スペース・カウボーイ』全話考察記事はコチラ

第1話:記憶喪失

まるで『ムカデ人間3』に出て来る囚人を彷彿とさせるオレンジ色のファッションに身を包んだ強烈なシルエットが眼前に飛び込んで来る。

「イーチ、ニー、サン、シー」

とまるで暗黒世界の番人のように粛々と構えるマッチョがそのオレンジ色のシルエットに喝を入れている。

「あれ?俺何やっているの?ここはどこ?私はだれ?」

と不審な言動をチラつかせるオレンジ色のシルエット。どうやら記憶喪失のようだ。

「あなたの名前はファイヤーラードさんです。」

見た目と名前の乖離が激しいその名前を明かされるオレンジ色のシルエット。そのギャップに耐えきれず、名前の変更を懇願するも否定されてしまう。そして、困惑の渦中で、彼はファイヤーラードとしてトレーニングすることとなる。

本作は、昨今社会的地位を獲得し、一つの国を形成している「異世界転生系」「なろう系」のある視点を突いたユニークな作品となっている。通常、この手のジャンルは主人公の日常を自己紹介的に描いてから異世界に飛ばす。この手のジャンルが、終身雇用から転職が当たり前の社会になった日本を反映しているからと考察することができる。

例えば、『本好きの下克上』ではなんとか図書館へ就職が決まった、地を這うようにして現代社会を生きる女性が突然異世界へ、それも幼女として転生してしまう。現代社会では大したことのない、母の手伝いで習得した技術や知恵が文化未発達の世界で大活躍し、その知識で持って異世界をサバイバルしていく。現代でも、転職したら今まで役に立たないと思っていた知識が役立つ事も少なくない。そして転職を通じて、自分の役に立たないと思っていた人生の知識が役に立つかもしれないというロマンがこの手のジャンルを成長させてきた。

閑話休題、『ファイヤーラード』の場合はそういったジャンルが歴史の上に立っているであろうクリシェを敢えて裏切ってみせる。神的視点を持つ我々ですら《ファイヤーラード》とは何か?という疑問を抱きながら世界観へ没入していくのだ。

というのも、別世界から異世界に魂が飛んでいく瞬間を捉えているのです。

別世界から異世界に飛ばされた人の第一声「あれ?俺何やっているの?ここはどこ?私はだれ?」を客観的に捉えているところに新鮮さを感じる。そしてトレーニングに参加するのだが、バーベルを持ち上げている風に魅せて拷問のようなトレーニングを回避するところにファイヤーラードの本能的危機回避能力の高さを匂わせる。

またしてもユニークなシリーズが爆誕したとワクワクしてくる作品に仕上がっているのだ。

第2話:ボディビル

趣味の世界は深い。よくインターネットでは《沼》という言葉が用いられるが、そんな《沼》の特性を捉えた作品がこちらである。

マッチョの世界は、単に筋骨隆々した肉体を魅せつけるだけのものではない。魅せ方にも様式美や、外しの技が存在し、それをファイヤーラードが吸収していく回となっている。

「ご存知ですか?こちらジャガー佐藤さんが引退前にみせた、いつもの反対側のサイドチェストを取るシーンでございます。」

と筋肉の化身が饒舌に語るのだが、分かりますでしょうか?

私には普通のポーズにしか見えません。でも、ファイヤーラードはボヤきつつもポーズを学習していきます。セルジオ・オリバさんのオリバポーズも独自の象形文字で習得していきます。しかし、段々とコツを得てきたのか、失われた記憶が戻ってきたのか、「フィルヒースのサイドチェスト」、「リーブリースト」とスラスラ専門用語が出て来る。

この、沼の外側から沼の深部へとハマっていく様子が秀逸で、これは単に筋肉世界だけの話ではなく、映画でも段々とヌーヴェルヴァーグはヌーヴェルヴァーグでもジャン=リュック・ゴダール、ジャック・リヴェット、エリック・ロメールの違いはショットを見れば分かるようになっていく様子と一致していることに気づいていきます。

つまり、本作は我々が認知していない沼の外側/内側をメタ的に捉えた秀作と言えよう。

↑ジャガー佐藤さんとセルジオ・オリバさんのことが分かる動画を貼っておきます。

第3話:ヒーローインタビュー

筋肉の化身の一人IKUMAN( @bodybuilding_ch )さんのヒーローインタビュー練習に付き合う回。これは『スペース・カウボーイ』の情熱大陸回(第12話)と蝶番の関係にある作品です。IKUMANさんは、「2位の選手とは圧倒的なバルクとしぼりで優勝できたと思います。」と抽象的な語りを始める。一応、「下半身のトレーニングを週2回行なっています。」と定量的に語っているが、あまり凄さが伝わって来ず《二枚目》通り越して《三枚目》に見えてしまう。

『スペース・カウボーイ』は他者の視点が観客に委ねられているのに対し、ここでは観客の代弁者としてファイヤーラードが配置されており、「バスキュラリティを追い求めセパレーションを心がけるライフスタイルを送りましょう」と意識高い系が言いそうな虚無なカタカナ用語に対して厳しく「誰もわからないのでもう一度やり直しましょう。」とツッコミを入れる。

そして、本作では観客が気づくことでしょう。

彼の強みは足にあることに。

チラリと魅せる、『ダンベル何キロ持てる?』の街雄鳴造も泣いて喜びそうな人智を越えた下半身に一見三枚目に見えるIKUMANさんの非凡さが滲み出るのだ。この筋肉マーケティングの失敗がある種の哀愁と、内向きな練習のイタさを強調する鋭い社会批判に満ちた作品でした。

IKUMANさん、ヒーローインタビューで足を積極的に魅せないとダメだよ!

第4話:頑張れファイヤーラード!

ところで、ここまで観た人はある疑問を抱くであろう。

これはREAL WORKOUTさんの広告なのでは?
明らかにチラつくREAL WORKOUTのTシャツやらに広告を感じつつも、それが押し付けがましくない。あまりの斬新さに、その得体の知れなさが癖となる。

通常、この手の広告は、それこそライザップのCMを例に取ると、醜態なボディが筋トレを通じて美しくなる様子を強調するスタイルを取りがちだ。昨今、youtubeで見かける塾の漫画風で描かれる美容系の広告も大抵はその手法を用いているのだが、それに歯向かっていると言える。

まるで『ベスト・キッド』において一見関係なさそうに見える雑用が伏線に繋がっていると言いたげに、あるいは北風と太陽のように美の押し付けは人を遠ざけると言わんばかりに。

さて、そんな疑問の中で爆誕した第4話は遂に筋トレに向き合った作品でありそのアプローチの秀逸さがイカしている作品だ。

筋肉の化身が、

「これから筋肉と遊ぶ時間です」

と嬉々として語る。デスゲームの主催者のように。

歓喜する筋肉の化身を余所に、苦しむファイヤーラード。

「脂肪燃焼しなさい」

と愛の鞭を打たれ続けるストレッチ拷問っぷり、その生々しいさは演技でなくホンモノの悲鳴なのだが、対位法のように配置される歓喜と悲鳴が不思議と筋トレに対する魅力を匂わせ、思わず自分も筋トレしたくなる作品となっている。

そして、毎作の定番となっているチェックシートへ地を這いながら×印を付けていく様子にカタルシスを感じる。

筋トレは、大変であるが地を這うように筋トレした先に見える美しき景色を薄ら見せてくれる粋な計らいに夢中となりました。

第5話:ヤサイニンニクオモイデマシマシ

聴覚、視覚、味覚は記憶を取り戻す役割を担っている。

プルーストは『失われた時を求めて』でプチット・マドレーヌを食べたり、ヴェネツィアの景色を見て、コンブレーでの思い出を取り戻すが、ファイヤーラードの場合は「ガシガシ」という言葉から失われた時を求めた。

ガ↑シガ↑シ
ガ→シガ→シ

というイントネーションの違いからゲシュタルト崩壊を引き起こす。「ガシガシ」という音の塊が崩壊し、その崩壊の中で「マシマシ」という単語を連想する。「マシマシ」とは何だろうか?とカットが切り替わり、記憶の残像がチラつき、それはラーメン二郎へと繋がる。

ジムと対極にあるラーメン二郎。ファイヤーラードは誰かのドッペルゲンガーなのか、何なのかという好奇心を刺激する記憶を巡る回であった。

第6話:鏡の中のサイドチェスト

前作のラーメン二郎回で早くも《点》から《線》に物語が変化した『ファイヤーラード』ですが、今回はファイヤーラード版『裏窓』となっています。

ファイヤーラードが筋肉の化身である深谷( @ryo_pt_RW )さんの庭先ポージングを覗く。映画というのは覗きの娯楽であり、『裏窓』、『デカローグ 第6話 ある愛に関する物語』といった傑作が作られている。覗きは事件のきっかけになることも多いが、覗きを通じてインスピレーションや記憶の補強がなされることがあり、今回は後者に特化している。

深谷さんのポージングを通じて、佐藤ジャガーさんやオリバ・ポーズが自分のものとして紐づいていく。そして、いつしか見る立場から実践する立場へとシフトしていく。

これは、まるでステファヌ・ブリゼの『愛されるために、ここにいる』において社交ダンスのレッスンを覗いていた男が、不器用ながらも段々と社交ダンスを自分のものにしていく過程に近い面白さがあります。

第7話:人には人のサラダチキン

「みなさーん 筋肉に栄養をあげる時間ですよ」

この一言で開幕するサラダチキン品評会。

「お気に入りのサラダチキンをもってきましたか?」
と提示される「お母さん食堂のグリルチキン」、「アマタケのサラダチキン(コーンポタージュ味)」、「アマタケのサラダチキン(レモン)」

これからビブリオバトル的展開、まさしく「サラダチキンバトル」が勃発する兆しが見えるのですが、その予想を裏切るのがファイヤーラード式。

『ダンベル何キロ持てる?』が出オチギャグ漫画に見えて、毎回筋肉や栄養に関する豊富な知識を披露し勉強になるように、本作では「鳥は何でヘルシーなのか?」「ブロッコリーに秘めた栄養」についての講義が始まる。それでもって「卵の剥き方」という落としのギャグを最後に入れる抜かりないプロットにニヤニヤさせられます。

サラダチキンが食べたくなってきました。

白昼堂々なサブリミナル効果ですね。

第8話:マッチョサイエンティスト

筋肉の化身たちによる料理の鉄人回。

「コーヒーチョコチッププロテインコーヒー」

という呪文に対してダブルチョコレート味のプロテインとバナナ、低脂肪牛乳、ハチミツを混ぜた代物をぶつける。プロテインドリンクとプロテインドリンクが体内で化学反応を呼び起こしてルノアールという新たな記憶を呼び覚ます。

ラーメン二郎というベクトルに対して、今度はルノアールというベクトルが現れ、謎は深まってきます。

段々と話が線になってきましたね。

第9話:ファイヤー 怒りの八つ当たり~改心~

美しく魅せるにはどうしたらよいのだろうか?

トレーニングに嫌気が差したファイヤーラードを説得させる様式美を筋肉の化身・深谷が魅せる。

スクリーンの外側にいる我々に叩きつける絵画的構図の中で繰り広げられるベンチプレスの重厚感が素晴らしい。

深谷さんのベンチプレスは、まるで、ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』のように、深谷さんに向かって視線や奥行きが伸びていき、彼の見えるか見えないか分からない頭が消失点となる。調律の取れた空間の中で重々しく揺れ動く頭に思わず惹かれるものがあり、彼の凄まじさを感じ取れる。

本作は詰まる所、映画において絵画的に筋肉を収めることとはどういうことなのだろうか?という問いに真摯に向かい合った傑作と言えよう。

第10話:激闘!深谷トレーナーを励ます会の巻

これは下手なビジネス書を読むよりも為になる作品。百聞は一見にしかず。この実践的な「褒める」アクションと、それに対応する映画的「見える化」が面白い。

萎んでしまった筋肉の化身・深谷を励ます為にIKUMANとファイヤーラードが筋肉褒め合戦を繰り広げる。

IKUMANさんの「腹筋6LDK」「大胸筋が歩いている」といった擦り倒され陳腐化したパワーワードに「業務用冷蔵庫」「全身グッチ、いや筋肉ですね」と捻りを被せることで、「褒め方」による影響の差を魅せる。

褒め方は常にブラッシュアップしていかないと、陳腐で効果が失われてしまう。実際にIKUMANの掛け声ではなかなか深谷の筋肉は膨らみません。圧倒的手数でIKUMANを凌駕するファイヤーラード隠された特殊能力に感激しました。

明日使える褒め方がここにあります。

第11話:イクマンのちょっと為になる筋肉小話

画面内に直接映さず、鏡越しにIKUMANさんを魅せるショットは、間接的にアクションを伝えるラジオの特性を捉えている。昨今の映画は、何でも画面の中に収めようとする。SNSのやりとりもわざわざ凝ったテロップを用意して表示してしまう。しかし、映画というのは画面の外側にある死角を活かすことで深みが増します。鏡越しに現れるIKUMANさんはこの数回、狂言回し役になり失われつつあった筋肉の化身としての得体の知れなさをここで取り戻したようです。

また本作はサイレント映画時代の太古の手法《多重露光》を用いて、フィル・ヒースの全身筋肉塊な様を強調している。PC内のフィル・ヒースと重ね合わさるフィル・ヒースが、IKUMANさんの頭か筋肉か分からない感動を的確に捉え、彼の魂を感じるのだ。

第12話:マッチョマナー講座

今回はコントが盛り上がるまでの過程を丁寧に描いた作品だ。

まともに見えたマッチョマナー講座は、IKUMANさんの底抜けに前のめりなギャグが段々と積み重なりシュールな展開へと発展する。

吊り革を引きちぎらない、お年寄りをお年寄りごと持ち上げないといったセンスに爆笑だ。マッチョあるあるに見えて、「僕の友達は(筋肉がデカイから)切符を2枚買います」「花束は10kgまで」といったフィクションの領域にいく外しのギャグが面白い。

第13話:スイーツメモリー

サンドウィッチマンの0カロリー理論に通じる食の矛盾を扱ったギャグ回。

甘いものを食べたいと言うファイヤーラードの欲求に応える筋肉の化身。1日1個と言いつつも、別の低カロリーデザートを貪り食い、冷凍ヨーグルトをカチ割る行為に筋トレを絡める姿に笑いが溢れる。

一見、アイスをかち割るトレーニングをしながらアイスを食べるアクションや、0カロリーゼリーを食べる姿に納得しそうになるが、不敵に画面に微笑む白いモンスター缶やデザートの山にリバウンドしてしまう人の言い訳の塊を感じる。

人の振り見て我が振り直せ。

低カロリー食の暴飲暴食に気をつけましょう。

第14話:筋肉の会話を読み取るスキル それが読筋術

『2001年 宇宙の旅』においてHAL9000は読唇術で自身の危機を知り叛逆を企てた。

一方、ファイヤーラードの場合は《読筋術》で筋肉の化身の思惑を見抜く。90kgまで痩せないとどうやら地球が爆発するらしい。人類の危機を救えるのは自分だということに気づき、ようやくファイヤーラードがファイヤーラードとしてやらなくてはいけないことに目覚めた。

筋肉の化身にどう逆襲するのか?

31日に地球は爆発してしまうのか?

『2001年 宇宙の旅』の結末と照らし合わせながら、ファイヤーラードの行く末を見守りたくなる逸品だ。

(《読筋術》を身に付けたい...)

第15話:燃えないブタはだだのラード

「燃えないブタはただのラード」

ロボットアニメ的タイトルで展開される本作は、人類の危機に気付き、自分の使命にも気づいたファイヤーラード炎の特訓回。

スポ根映画やハリウッド大作2/3あたりに挿入される、激しい特訓シーンを踏襲し捲し立てるようなカット割りで過酷な修行を物語る。今までゆるーく進行していた本作も地球滅亡の危機となれば、本気を出す。演技ではなく、画面に映るのはモノホンの燃ゆるラードだ。

画の説得力が90kg切りへの期待を匂わせる。

第16話:喰らいマックス ファイヤーイーツ 皆で食べれば美味チートデイ!!

筋肉の化身による陰謀を暴こうと躍起になるファイヤーラードを、彼らはチートデーで手懐ける。地球滅亡まであと数日しかないのに、ダイエットと真逆のチートデーを設けることでスリルが増幅されます。

また陰謀を中々暴けないもどかしさと、ストイックな筋トレに対するご褒美という人生賛歌を両立させたこの意欲作は、身体面と陰謀面双方においてスリルを与え続ける作品となっています。

第17話:己の道をマッスルに突き進め!

『パララックス・ビュー』のように陰謀を解き明かそうとしたら洗脳動画に襲われる回。

「真のトレーニングは やめたい もう上がらないと思った時から始まる」
「ピーナッツ以外の何者でもない」
「世界からボディビルが消えたなら」
「筋肉がNOと言ったら私はYES」と答えるといった筋肉呪文で彼を手懐ける。

「地球を救いましょう」とボロを出すIKUMANさんに彼はもう気付けない。

第18話:SAVE THE EARTH WE ARE THE LARD REVENGE THE FIRE

筋肉の化身の野望の正体が目と鼻の先にあるにもかかわらず、のらりくらりと化身のリズムに乗せられていく様子を、替え歌が自然にファイヤーラードの口へ継承されていく過程で粋に魅せる。

遂にIKUMANさんの電話を奪うことに成功したのだが...

地球滅亡まで後がない!

カイ・グリーンのお弁当箱に僧帽筋と広背筋をちょっと詰めて...

あれっ?これを観たあなたはもうカイ・グリーンの唄を唱えている??

第19話:MY NAME IS…

『恐怖の報酬』におけるニトログリセリン級に爆発しやすいラード。延々とポージングを続ける筋肉の化身をバックに衝撃の告白が!

君の名は?
What's your name?
衝撃の伏線回収に騒然だ。

なんとファイヤーラードの正体はスペース・カウボーイだったことが判明するのだ。あと1話どうなるのだろうか?

最終話:GOODBYE FIRE LARD

スペースカウボーイと異次元で繋がる展開から、リアルワークアウトのCMへと繋げる。実は全20話かけて描いてきたのはある種の広告批評であった。

昨今の広告が、「売ること」を全面に出し過ぎなのに反発して、約1ヶ月後ににCMをする斬新さは鬱陶しいCMに新風邪吹かせる。確かにyoutubeを観ると、最近では進研ゼミ漫画っぽく5分近くに渡って美容やダイエットの健康食品、ソリューションの広告が流れる。しかし、饒舌に売る気満々なこの手の広告は、動画を観たい視聴者にフラストレーションを与える。

それに対して、ファイヤーラードはそういった気概を希釈している。ダイエットとは対極にあるラーメン二郎やルノアール、さらにはチートデーを積極的に物語に組み込み、明らかにリアルワークアウトの広告だと分かっているのに妙な演出が興味を増幅させる。

そして最終話でDM下さった方に3kgのプロテインをプレゼントするとPRをします。さらにテレフォンショッピング技法を導入し、24時間以内にDMを送ることでさらに3kgのプロテインがプレゼントされるとのこと。

往年の広告の型を踏襲し、破ってみせる。

まさに型破りの名作でした。

ありがとう!
ファイヤーラード!

ありがとう!
スペース・カウボーイ!

最後に

いかがでしたでしょうか?
コロナ禍で、ゲームルールが180度変わった世界。大手アパレル企業や飲食店ですらすぐに潰れてしまう黙示録の中で企業は広告でどう社会にコミットしていくのか?そういったことが楽しく考えさせられる作品でしたね。

きっとあなたのライフスタイルやビジネスにインスピレーションを与えることでしょう。

それではまた!

おまけ

本企画は本当に高山さんがダイエットをしています。その凄まじい功績は上記のリポートにまとめられていますので併せてどうぞ!

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