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カイエ・デュ・シネマベストテン2019を予想する

こんにちは、チェ・ブンブンです。
あっという間に2019年も残り1ヵ月半となりました。この時期になると各映画メディアが今年のベストテンを発表してきます。来月初めには、フランスの捻くれ映画雑誌カイエ・デュ・シネマがベストテンを発表すると思われます。今年は、予想が簡単そうなので、フランス映画データベースサイトAlloCinéの星評から分析して2019年ベストテンを予言しようと思います。

カイエ・デュ・シネマが星4以上つけた作品リスト

AlloCinéでは、各映画メディアの評価を星5点満点で表示しています。ここ1年の評を分析し、星4つ以上の作品を下記に羅列していきます。

※下線をクリックするとブンブンのレビューに飛べます

【星4の作品】
失くした体(ジェレミー・クラパン)
UNE COLONIE(ジュヌヴィエーヴ・ダルード・デ・セルズ)
LE TRAÎTRE(マルコ・ベロッキオ)
旅のおわり世界のはじまり(黒沢清)
L'ANGLE MORT(パトリック・マリオ・バーナード、ピア・トリヴィディク)
MATTHIAS & MAXIME(グザヴィエ・ドラン)
CHAMBRE 212(クリストフ・オノレ)
ジョーカー(トッド・フィリップス)
POUR SAMA(Waad al-Kateab, Edward Watts)
QUELLE FOLIE(Diego Governatori)
ALICE ET LE MAIRE(ニコラス・パリサー)
NE CROYEZ SURTOUT PAS QUE JE HURLE(フランク・ボヴェイ)
PORT AUTHORITY(ダニエル・レスオービッツ)
NOUS LE PEUPLE(Claudine Bories, Patrice Chagnard)
TU MÉRITES UN AMOUR(アフシア・エルジ)
ファイアー・ウィル・カム(オリヴァー・ラクセ)
UN FLIC SUR LE TOIT(ボー・ヴィーデルベリ)
PERDRIX(エルワン・ル・ドゥック)
GIVE ME LIBERTY(Kirill Mikhanovsky)
ミッドサマー(アリ・アスター)
HER SMELL(アレックス・ロス・ペリー)
SO LONG, MY SON(ワン・シャオシュアイ)
VILLE NEUVE(Félix Dufour-laperrière)
LA FEMME DE MON FRÈRE(モニカ・ショクリ)
BUÑUEL APRÈS L’ÂGE D’OR(Salvador Simó)
CONTRE TON CŒUR(テレーザ・ヴィラヴェルデ)
ディアスキン 鹿革の殺人鬼(カンタン・デュピュー)
ÊTRE VIVANT ET LE SAVOIR(アラン・カヴァリエ)
THE DEAD DON'T DIE(ジム・ジャームッシュ)
PASSION(濱口竜介)
QUAND NOUS ÉTIONS SORCIÈRES(ニーツチュカ・キーン)
LES MÉTÉORITES(ロメイン・ラグーナ)
LE CHANT DE LA FORÊT(João Salaviza, Renée Nader Messora)
L'ESPRIT DES LIEUX(Stéphane Manchematin, Serge Steyer)
JE VOIS ROUGE(Bojina Panayotova)
Mid90's(ジョナ・ヒル)
リズと青い鳥(山田尚子)
LA FLOR(マリアーノ・リナス)
LOS SILENCIOS(ベアトリス・セイナー)
J'VEUX DU SOLEIL(François Ruffin, Gilles Perret)
SIGNES PARTICULIERS : NÉANT(イエジー・スコリモフスキ)
STILL RECORDING(Saaed Al Batal, Ghiath Ayoub)
HEART OF A DOG(ローリー・アンダーソン)
CÓMPRAME UN REVÓLVER(ジュリオ・エルナンデス・コルドン)
M(Yolande Zauberman)
FUNAN(デニス・ドゥ)
アリータ:バトル・エンジェル(ロバート・ロドリゲス)
WARDI(Mats Grorud)
SANTIAGO, ITALIA(ナンニ・モレッティ)
帰れない二人(ジャ・ジャンクー)
L'ARC ET LA FLÛTE(Arne Sucksdorff)
« PEU M'IMPORTE SI L'HISTOIRE NOUS CONSIDÈRE COMME DES BARBARES »(ラドゥ・ジュデ)
LA LIBERTÉ(ギヨーム・マサール)
AMAL(モハメッド・サイアム)
バイス(アダム・マッケイ)
DANS LA TERRIBLE JUNGLE(Caroline Capelle, Ombline Ley)
ミスター・ガラス(M・ナイト・シャマラン)
SORRY TO BOTHER YOU(ブーツ・ライリー)
L'AMOUR DEBOUT(Michaël Dacheux)
グリーンブック(ピーター・ファレリー)
MALLÉ EN SON EXIL(Denis Gheerbrant)
IN MY ROOM(ウルリヒ・ケーラー)
ボーダー 二つの世界(アリ・アッバシ)
象は静かに座っている(フー・ボー)
終わらない人 宮崎駿(荒川格)
寝ても覚めても(濱口竜介)
パリの恋人たち(ルイ・ガレル)
UN VIOLENT DÉSIR DE BONHEUR(クレマン・シュナイダー)
未来のミライ(細田守)
GOOD(パトリック・マリオ・バーナード)
MAYA(ミア・ハンセン=ラヴ)

【星5の作品】
アド・アストラ(ジェームズ・グレイ)
BACURAU(クレベール・メンドンサ・フィリオ、Juliano Dornelles)
JEANNE(ブリュノ・デュモン)
海獣の子供(渡辺歩)
パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ)
SIBYL(ジャスティーヌ・トリエ)
DOULEUR ET GLOIRE(ペドロ・アルモドバル)
イメージの本(ジャン=リュック・ゴダール)※AlloCinéには掲載なしだが、雑誌の方で満点を出した
インディアナ州モンロヴィア(フレデリック・ワイズマン)
RAY & LIZ(リチャード・ビリンガム)
シノニムズ(ナダヴ・ラピド)
運び屋(クリント・イーストウッド)

カイエ・デュ・シネマベストテン2019予想

1.イメージの本(ジャン=リュック・ゴダール)
2.パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ)
3.運び屋(クリント・イーストウッド)
4.JEANNE(ブリュノ・デュモン)
5.BACURAU(クレベール・メンドンサ・フィリオ、Juliano Dornelles)
6.アド・アストラ(ジェームズ・グレイ)
7.LES MISÉRABLES(Ladj Ly)
8.DOULEUR ET GLOIRE(ペドロ・アルモドバル)
9.RAY & LIZ(リチャード・ビリンガム)
10.SIBYL(ジャスティーヌ・トリエ)

カイエ・デュ・シネマは敬愛する監督の作品を他のメディアが何と言おうとも捩じ込む傾向が強い。今年は作家主義の傑作が多数公開されており、ポン・ジュノ、クリント・イーストウッド、ブリュノ・デュモン、ジェームズ・グレイと錚々たる顔ぶれとなることでしょう。

そして何と言っても、フランスでは劇場公開されず、テレビ放送とインスタレーション公開されたジャン=リュック・ゴダールの新作『イメージの本』は、誌面で何ページにも渡ってインタビュー、寄稿がよせられていたことから、今年のベスト1は本作に決まりと言っても過言ではありません。実際に、星評を見ると、満点が圧倒的数出ていました。

また、カイエが敬愛するホン・サンスは、『草の葉』が昨年の作品扱いで、『川沿いのホテル』は劇場未公開であることから今回のベストテンには選出されない模様です。

ニューフェイス枠では、フランスの移民問題を風刺しベルリン国際映画祭最高賞を受賞したなダヴ・ラピドの『シノニムズ』が獲ることでしょう。また、カンヌ国際映画祭で賛否が別れたジャスティーヌ・トリエ新作『SIBYL』は、彼女を発掘したカイエとしては入れたいところでしょう。

そして残された一枠をリチャード・ビリンガムとフレデリック・ワイズマンが奪い合う展開になりそうです。

カイエはアニメ映画に弱いので、基本的に星4以上をつけるのですがなかなかランキングには入らない傾向が強いので『海獣の子供』は恐らくランクインできないのではと思っています。

星4からは、黒沢清が隙間に入り込もうと枠を狙っており、今年昨年から特集上映が組まれ認知度が高まっている濱口竜介も若干ランクインのチャンスが残っています。

また批評家評が公表されていない作品だとカンヌを席巻させた『LES MISÉRABLES』なんかがダークホースとしてランクインされる可能性があります(確か、カンヌ国際映画祭の時にカイエが絶賛していた気がする)。

果たして今年の結果はどうなるのか?12月が楽しみです。

【2019/11/20更新】
『LES MISÉRABLES』評が出て、カイエが満点つけましたので、順位予想を変更しました。

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