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俺とBUMP OF CHICKEN

初めての出会いは一世風靡したFlash動画よりも前、CDTVで天体観測が流れた時だ。
その時からどこかに残っていたということは、やっぱりこの曲は金字塔として名高いだけはあるだろう。

Flash動画での出会いは、言わずもがな「K」である。
同世代の人なら他にも「ラフ・メイカー」などが上がるだろうか。

他にも上二つに比べると知名度は下がるが、BUMP OF CHICKENのFlash動画はたくさんあった。
初期BUMPにおけるストーリーテリングな歌詞が想像を掻き立てやすいのもあるが、2004、5年イラスト(もしくはAA)で描かれたなんちゃってMVみたいなものが同一のアーティストで見られる数としては一番多かったのではないか。
今思うと凄い創作意欲である。それだけ心を動かされたという事だろう。

その中の1曲に「Title of mine」があった。
俺はこの映像と合わせてめちゃくちゃこの曲が好きになった。
元々、底抜けに明るいことは歌っていない彼らだが、格好つけて「孤独ぶった男の正体」というか、身も蓋もない、そのままの姿を出す感じが深く刺さった。

それから程なくして、インターネットはどんどん進化を遂げていった。
俺が脳内でよくある中二ファンタジー世界を躍らせていた頃、彼らがまた一躍有名になるきっかけとなった「カルマ/Supernova」が発表された。

その頃のマジョリティ達がプレイしていたゲームを殆ど知らずに過ごしていた。
俺は圧倒的にナードでギークだった。それならゲームくらい精通しておけよと言う話かもしれないが、本当に陽の差さないオタクっていうのは悲しくなるほど惨めだ。
故にテイルズも知らなかったし、そういうオタク上層部がカルマ良いよねみたいな感じで急にバンプを語り始めたのがイヤで仕方なかった。
勿論、カルマは良い曲なのだけど、実際俺はSupernovaの方が好きだったこともあり、こっちを聴けよスタンスの面倒くさい逆張りオタクをしてしまっていた。

それから高校に入る前かそれくらいでロックに目覚めるのだが、ちょうどその頃のバンプのリリースペースが学生時代には長いくらい空いている。
その隙間を埋めるようにTHE BACK HORNや椎名林檎と出会っていくと考えると、やっぱり学生時代の吸収力と言うのは凄まじいなとも思う。

高校生になってから「orbital period」が発売された。
この頃、俺の中で音楽に対する価値観が形成され始めたことの影響があったためか、中学生の時ほど心を震わせることなく感じてしまった。
既発のシングル曲が6曲あってインストが2つ、オープニングとエンディングの曲を含めないと、実質新曲が7つ。
どことなく楽しみ半減なのもある。むしろこのアルバムの神髄は隠しトラックだが…。

強いて言えば「才悩人応援歌」「ハンマーソングと痛みの塔」あたりが好きだった。いかにもバンドが好きになったばかりの少年らしいが、しっとりしたJ-POPみたいな曲が増えたこの作品は、リアルタイムではあまりじっくり聴けなかった。
後発のpresent from youの方がカップリング網羅できることの有難さから聴いたまである。

それから幾何かの時間が経ち、離れていたBUMP OF CHICKENに惹き戻されたのは次の「COSMONAUT」というアルバムだった。

この作品が出た時「あ、アルバム出たんだ、聴こ~」という気持ちも働かないくらいというより、出たことすら知らないくらい彼らとの距離は空いていた。
何でここで引き戻されたのか具体的なことは全く覚えてない。失礼。
R.I.Pが初期っぽいと言われていて、じゃあ聴こうとも全然思ってなかった。
恐らくここは一人の友人がきっかけだと思う。ハルだ。

彼は後に一緒にバンドを組む仲間であり、親友である。
まあ、兎角その頃はお互いが少年だし、ハルに至っては毒気も無いバンプとラッドとグリーンが大好きな高校生だった。
そんな彼のオススメもあったか、いや、モーターサイクルか三ツ星カルテットをどこかで聴いたタイミングで、とにかく、「何だこれは?!」と感じたのだけ覚えている。

三ツ星カルテットと、モーターサイクルではドキッとする場所はそれぞれ違う。
先の曲は、6拍子と5拍子の複雑な曲がやってきたとき、バンプってこんなテクニカルなことやれんの!?
と、大変失礼な感想が出た。コピーもしたことないのに。

これがリリースされた2010年と言えばPITBのファミレコで、旧市街に度肝を抜かれてウッホッホとなっていた時期。
所謂、当時の残響系っぽい編曲っぷりに度肝を抜かれた。

そして後の曲では、演奏にも勿論耳が行くが、それ以上に歌詞が皮肉にまみれており、昔で言う「乗車権」と同系統のパワーがある曲だった。
俺と同世代の、ちょっと暗めな人なら「乗車権」はきっと好きな人が多いだろう。
ああいう曲がある、そして、結構テクニカルな曲…嫌いになるわけがない。むしろその当時ジャストで望んでいたものが出たくらいの衝撃だった。

勿論これ以外にも語りたい曲はあるが、ある意味で封印している「66号線」の気持ちは、特に語ることないまま仕舞っておきたい。

バンプを語る上で歌詞は切っても離せないものだと思うが、その中でも歌詞の鋭利さは指折りじゃないかと思う。
過去、彼らは宇宙を旅するように色んな景色を歌っていたが、このアルバムは俯瞰で見た景色ではなく、それを見ている自分自身の内面に切り込んでいるところが、宇宙飛行士、ということなんだろうか。

以降、また衛星の様に近づいて離れてを繰り返しているわけだが、後に「ディアマン」という快作に惹き込まれるのだけど、それはまだ、未来の話。

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