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映画鑑賞『市民ケーン』

映画好きな先輩に教えてもらった作品を見ました。

『市民ケーン』  1941 監督オーソン・ウェルズ

映画史に名を刻む大傑作と呼ばれている本作品ですが、今見ると正直なところ新鮮さはありませんでした。しかし、1941年に公開されたことを考慮すると、特筆すべきは脚本の秀逸さであると思います。

そのあらすじは、
富、名声、力、この世のすべてを手に入れた男、新聞王ケーン。彼が死に際に放った一言は記者の取材欲を駆り立てた。
「薔薇のつぼみ」
記者はこの言葉の真意を求め、ケーンの過去を探るのであった。
ワンピースで例えると、ゴールド・ロジャーの出自を知るような話です(笑)

ちなみに、主人公のケーンには、実在したモデルがいました。それは新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト。内容も彼を暗に非難する内容だったため、彼の怒りを買い、作品公開に対して妨害工作が行われたそうです。

さて、この作品は、過去と現在を行ったり来たりします。
ここがこの作品の革新的だった点でしょう。
ケーンについて、知人や元妻から彼の人物像に迫っていきます。すると、お金も権力も手に入れた彼ですが、知事にはなり損ね、2度の結婚生活もうまくいっていませんでした。

ケーンの過去を調べていた記者ですが、結局のところ「薔薇のつぼみ」の正体を解明できずに映画は終焉を迎えます。
結婚生活で妻とうまくいかなかったことが、「薔薇のつぼみ」じゃないのかなと僕は考えましたが、ラストカットで覆されます。

それは、ケーンの遺品を整理する際、不要なものが焼却炉に入れられるのですが、そこで燃やされたのが、幼いころに遊んでいたソリでした。ソリの裏にはなんと「薔薇のつぼみ」が描かれていたのです。

このラストは秀逸で、幼いころに両親と離れ離れになってしまった幼少期の体験が、彼の最も大事なものだったということなのかなと想起させられます。若しくは「薔薇のつぼみ」は、足りなかった親との時間を思った一言だったのではないかと感じました。

この映画を見ていて驚いたのは、当時のアメリカの発達した都市です。ビルが立ち並び、今見てもその風景は、目を見張るものがありました。この貴重な映像が見れるだけでも値千金になるのではないでしょうか。


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