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風 vol.7

10 ポリバケツ20210918_16365636


👆 なんすか? このポリバケツがドーンというイラスト……奥さん……。

あっ……いや、別に文句とかじゃないです……、びっくりしただけで、いや、

その……。本当、イラスト書いていただいて、感謝しております。マジで!




よく台風がくると、サーファーが海に流されるじゃないですか。
それで、海上警備員が命懸けで助けに行くニュースとか聞いて、世の中の人たちが怒るじゃないですか……、非常識だって…。
今、台風の中、自転車こいでいるんですよ……これってダメなのかなぁ…。
空を舞っているポリバケツが中身をぶちまけながら、僕の背中にモロにぶつかってきた。
漁師町だったので、色んな魚の骨が僕の身体にこびりついてる。
生臭い匂いが突然に背中からきたので、マグロとかカツオに襲われているのか思った。ジョーズみたいに。
家がない僕は、何処に避難すればいいのか……。
荷物が多いので風を浴びる面積が多く、自分と自転車が煽られ、さっきのポリバケツのように空を飛びそうに何度もなっている。
本当に空を飛んだら、魔女の宅急便のキキみたいになれるかな。


ちぃ~さいこぉろぉぉわぁぁ、かぁ~みさまがいてぇぇ。


土砂降りと強風の中で歌う、ユーミン。
辛いだけだった。
ラブホテルの横を通った。
1人で入ってもいいのかな……。
ラブをするホテル。
愛し合う公共の場なのに(公共ぉ?違うだろ!※47歳の靖生)、個人で利用しても良いのだろうか………。
自己愛が強いので、利用したいという主張は通るの?
『風がはこんだ物語』
看板に書かれてあるホテルの名前。
なんて言い訳がましい名前なんだ。
不倫やわいせつ行為の情事を、すべて風向きのせいにしている。
少しでも利用者の罪悪感を失くす配慮なのだろうか……。
深い水たまりの中に突っ込んだ。
水しぶきが立ち上がり、雨水が上からも下からも僕に降り注ぐ。
冷たいと感じていた雨粒が、痛く感じられるまでになってきた。
ラブホテルの前でお腹が痛くなってきたから休憩したいとか、急な突風に煽られて偶然を装ってラブホテルに女性を誘うコントとか、あるじゃないですかぁ…。
あれを台風のせいにして自転車で入っていいのかな……、
風がはこんだ物語。

ちなみに今日、僕は23歳になりました。
お誕生日おめでとう…………、雨と風、辛いね。

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