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茶屋のお便り9月号《前半》~そば栽培の途中経過~

 こんにちわ、茶屋ファームです。今回も引き続き、既に書いてあるにも関わらず「note」に掲載するのをサボっていたものです。利賀村は標高500~600mほどで、夏が涼しいくらいしか住むメリットに乏しい過疎地なのですが今年の夏は信じられないくらいの暑さでした。

『「クーラー無いんやから、ほんま早く涼しくなって!」と懇願する少女』

■ そばの花

 そばの白い花がきれいに咲きました。サムネの写真を撮ったのは 9 月 6 日です。この頃は「どれほど収穫できるのだろうか」と隙あらば、ほくそ笑んでいましたね。

 今思えば、幸せな時間でした…

 と言いますのは、豆谷地区のそば畑がイノシシにほとんど踏み倒されてしまったからです。ここ数年を遡ってもイノシシがそば畑で暴れまわった記憶が正直なところ無かったので、完全に油断していました。

■ イノシシ被害と徒花

『イノシシに踏み荒らされた哀れな花々』

 被害状況は上の写真のような感じです。茶屋ファームの畑だけではなく、利賀村中の畑が被害に遭ってしまいました。ここまで徹底的にやられたことは過去には無くて、そば畑に電気柵を設置していませんでした。

 こんなことになったので調べてみるとイノシシは普通にそばを食べるそうで、親イノシシがのたうち回ってそばを倒した後に、うり坊がモリモリと食べるみたいです。美しい親子愛ではありますが、農家からすると哀しさと虚しさが心にたたずむだけです。

 ちなみに「徒花」というのは、実を結ばずに散ってしまう花のことで、見かけは華やかであっても内容や結果を伴わない物事を指す表現としても使われる言葉です。今回は散ることすら許されず志半ばに、獣に踏み倒されてしまいました。油断して獣害対策を怠ったことを悔やむばかりです。こうなると分かっていたのなら、

『どうして抱きしめることすら、してあげられなかったのか。』

■ やせ我慢と言われればやせ我慢

 ただ、精神的ダメージはそこまで受けていなくて。豆谷地区に蒔いた品種は「常陸秋そば」というものですが、今年の夏は気温が高すぎるからか降水量が無さすぎるからか実付きがものすごく悪かったのです。「元々ほとんど収穫量は望めなかったのでは」と言い聞かせて、あまり落ち込まないように自己暗示をかけています。

 豆谷地区は壊滅的な一方で、中村地区は今のところ無事です。無事どころか見たことがないくらいに実がびっしりと付いています。「信濃1号」という品種を蒔いたのですが初期成育からして違いました。

 じつは「常陸秋そば」が本命(何年か勤めながら栽培した経験則で、粒も大きく味も良かった。)で、豆谷地区では緑肥を使ったり鶏ふんを施肥したりと手間暇をかけたのに残念な結果となりました。

 その一方で「信濃1号」は平成30年産の古いがゆえに値段がめちゃくちゃ安かったのを試しに買って蒔いてみたのですが、まさか虎の子になるとは思ってもみませんでしたね。今はイノシシにやられないように、ちゃんと電気柵で囲ってあります。

 ドラフト1位の選手に敏腕コーチをつけても大成しなかったのに、ほったらかしていた育成契約の選手がMVPを獲得したような感じですかね、例えるなら。

『ドラフト指名を待つ赤と青。既に指名されて余裕の緑』

 もちろん嬉しいことは嬉しいのですが、自分の予見性の無さと活躍してから可愛がりはじめる節操の無さに何とも素直になれないです。とりあえず9月号《前半》はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました。


私ども茶屋ファームは富山県南砺市利賀村で主にソバの栽培をしている農業法人です。日頃の農作業や六次産業化の過程、そばを使った料理、蕎麦についての豆知識など色々と発信していこうと思っています。

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画像は「ぱくたそ」さんのフリー素材を使用しています。


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