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社内用ChatGPT「ねこのて」の開発と活用

みなさんこんにちは。コーポレート本部 CSE部 開発チームの吉田です。
みなさんの会社では業務でAIを活用していますか?私たち開発チームでは社内のみなさんに気軽にAIを触れられる・業務で活用できるように、社内向けAI(ChatGPT)「ねこのて」を開発しました。

ちなみにどうして「ねこのて」という名前なのか?それは業務の効率をあげられるように「猫の手を借りたい」からというのと、猫好きのマネージャーの強烈なプッシュのためです。
本日は、この社内用ChatGPT「ねこのて」について、開発に至った背景とその活用法をご紹介します。

CSE部や開発チームについて知りたい!という方は、猫好きのマネージャーによるこちらの記事をご覧ください。


開発の背景

まずは、なぜ一般公開されているOpen AIのChatGPTを利用するのではなく、社内用ChatGPTとして「ねこのて」を開発したのかご説明します。
主な理由は以下の3つです。

1.情報漏洩防止のため

一般公開されているChatGPTでは、入力データがAIの再学習に使用される可能性があり、誤って社外秘等の情報を入力してしまうと、情報が社外に漏洩してしまう恐れがあります。ユーザ側でオプトアウト(再学習を無効化)することは可能ですが、会社側で一元管理できない*ため、設定に関する責任が個々のユーザーに委ねられてしまい、リスクが大きいのです。

*当時の情報。現在はChatGPT Enterpriseという法人向けのサービスが提供されている。

その点、「ねこのて」の開発に利用したAzure OpenAI Serviceの仕組みであれば、入力されたデータは再学習されないことが保証されているので、安心して利用することができます。

2.AIの積極的な利用促進

リスクを必要以上に考えることなく利用できるChatGPTがあれば、臆することなく積極的に、そして手軽にAIを利用してもらえると考えました。
「ねこのて」を利用した業務効率化のアイディアを社員同士で共有するなど、社内の交流のきっかけになることも期待しています。

3.社内情報との連携

インターネット上の情報だけではなく、社内のマニュアルなども検索できるよう独自のカスタマイズができるという点も、「ねこのて」の開発を後押しする大きな要因の一つでした。せっかく内製するのであれば、一般公開されているChatGPTにはない独自性と利便性を持たせようと考えました。

このような背景から生まれた「ねこのて」ですが、すでに多くの社員に利用され、業務効率化に貢献しています。
では、具体的にどのような業務に役立っているのか、いくつかの活用例をご紹介します。

活用例その1:セキュリティチェック

一つ目は、セキュリティチェック業務の支援です。
これは、お客様や取引先から頂いたセキュリティチェックの質問を「ねこのて」に送信すると、「ねこのて」が回答を提示するという機能です。回答内容には参照元のURLやテキストが含まれるので、「ねこのて」が間違ったことを言っていないか確認することもできます。

実際にこの機能を利用している担当者に話を聞いてみたところ、

  • 元々4時間かかっていた作業が「ねこのて」の導入により3時間になり、慣れてくるとさらに1時間短縮して2時間程度になった

  • 「ねこのて」が回答できない=過去に同様の質問はなかった=新規で処理する必要がある、という対応方法の切り分けに役立っている

  • 「ねこのて」が壁打ち相手となってくれることで、無機質に作業をこなす心理的負担も軽減された

とのフィードバックを頂きました!

「ねこのて」のようないわゆる「生成系AI」は、既存の情報に基づいて質問に対する回答を提供することに長けているので、セキュリティチェック業務とは相性が良かったようです。また、対話式で回答がもらえるというのも、作業が単調化してしまうことを防ぎ、結果的に業務の効率化や時短に繋がっているようです。しかしまだ回答の精度には課題があるので、今後もアップデートしていきます。

活用例その2:社内マニュアル検索

二つ目にご紹介するのは、社内マニュアルの検索機能です。
これは社内のマニュアルやルール等を確認したい時に利用します。具体的な利用方法は以下の通りです。

1.確認したい内容を「ねこのて」に質問する

「ねこのて」トップページ

2.「ねこのて」が社内情報を検索し、回答を返す
※適切な情報が見つからなかった場合は「情報が見つかりません」という回答になります。

検索中の画面

3.回答内容を確認する
※回答内容には該当のマニュアルページへのリンクも含まれているので、詳細をすぐに確認することができます。

回答のイメージ(回答内容が見えないように加工しています)

この機能の大きな利点は、自分でマニュアルを検索する手間が省けることと、AI相手なので気軽に質問ができるということです。

以前は、自分でマニュアル内を検索し、必要な情報が見つからないときは担当部署に問い合わせる必要がありました。しかし、問い合わせた後で、検索方法が適切でなかっただけで、実はマニュアルに情報が記載されていたという事態もありました。マニュアルを徹底的に確認するのは時間がかかりますし、かといって既に記載されている内容を問い合わせてしまうと申し訳ない気持ちになります。これは、迅速に解決したい問題でした。

現在では、何か知りたいことがあるときはまず「ねこのて」に質問し、回答が得られない場合のみ問い合わせるという流れができています。
これにより、誤った手順や方法で何らかの申請をしてしまうことも防止しています。

活用例その3:問い合わせフォームとの連携

最後にご紹介する活用例は、問い合わせへの一次回答と内容要約です。
弊社では、特定の部署宛に問い合わせを送るための社内問い合わせフォームを設置しています。このフォームで送信された問い合わせに「ねこのて」が一次回答する機能と、問い合わせ内容を要約する機能を作りました。

まず一次回答機能ですが、これは先ほどご紹介した社内マニュアルの検索機能を流用したもので、社内マニュアルやルールに関する問い合わせに対し、「ねこのて」が一次回答をするというものです。「ねこのて」が回答できない場合は、そのまま担当部署に取り次がれます。まだ割合としては少ないですが、「ねこのて」の回答のみで問い合わせをクローズできるケースも出てきているので、こちらも機能改善を続け、精度を上げられるよう取り組んでいます。

次に問い合わせ内容の要約機能について説明します。
先述の問い合わせフォームはチケット管理システムとも連携しており、フォーム送信をトリガーに、担当者宛にチケットを自動作成する仕組みになっています。このチケット作成の時、「ねこのて」が要約した内容をチケットタイトルに設定する、というのがこの要約機能です。問い合わせしたい内容だけをフォームに入力して送信すれば良いので、送信者自身でタイトルをつける手間を省くことができました。

このように「ねこのて」の機能は他のシステムと連携させて利用することも可能です。この点も、「ねこのて」を内製したことによる大きなメリットの一つです。

「ねこのて」とCSE部のこれから

主な活用例を三つご紹介しましたが、他にも、ソースコードや記事の生成などクリエイティブな作業にも役立っています。
(実はこの記事も「ねこのて」の手を借りて作りました!)

これからも弊社のミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」を実現するため、「ねこのて」の機能をアップデートし、業務の効率化や問題解決に向けて日々取り組んで行きます。

CSE部では、これからも私たちの様々な取り組みについて情報発信していく予定です!今後の投稿もぜひお楽しみに〜!

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