「二つの道:AI開発者のエグジットとオピニオン」
※上記の音声を聴きながら文章を読むと、より楽しめます!
この物語は2018年にGoogleで起こった自分たちが開発したものを軍事目的で使用しないでと抗議したものを物語にしてます。登場人物などはフィクションです。
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オフィスで働くヒロシとメアリーは、ある日突然、自分たちの開発したAI技術が軍事利用に使われるという事実を知った。
「ヒロシ、これ見て。」メアリーがメールを見せた。
「これ、どう思う?」
「これは…」ヒロシは思考を整理するために深呼吸をした。
「おかしいよ。僕たちのAIが、こんな形で使われるなんて。」
彼らはその後、この問題について同僚たちに声を上げ、署名活動を始めた。その中で、サムという同僚が独自の道を選んだ。
「サムが辞めるって聞いた?」メアリーがヒロシに言った。
「え、サムが?でも、なんで突然…」
「彼はこれに対する抗議の形として、会社を離れることを決めたんだって。」メアリーはサムの決意を語った。
ヒロシは驚いた表情をしたが、すぐに理解のある顔に変わったのだ。「そう…サムのやり方も、それはそれで一つの方法だよね。」
数週間後、メアリーはヒロシに一つの記事を見せた。「見て、サムが新しい会社に入って、いきなり成果を上げたみたいよ。」
ヒロシは記事を見て驚いた。「さすがサムだな。彼は本当に自分の道を選んだんだ。」
メアリーは頷いた。「だからこそ、私たちもこれからの行動を真剣に考えないと。サムの意志を無駄にしないように。」
そして彼らの署名活動は大きな反響を呼び、4,600人以上の署名が集まった。その結果、会社はAI運用の原則を公表し、それには武器や不当な監視活動への利用を否定するという内容が含まれていた。
メアリーがヒロシに原則を見せた。
「これ、サムの決断も、私たちの行動も影響したのかな?」
ヒロシは考え込んだ。「それは分からないけど、少なくとも会社が一歩動いたのは確かだね。」
メアリーはヒロシを見つめて、ゆっくりと頷いた。「だから、これからも私たちは自分たちの思いを声に出すべきよ。そして、サム同様に、私たちの行動が社会を変える一部になることを願うわ。」
ヒロシはメアリーの言葉にゆっくりと頷きながら言う。「それはそうだね。僕たち一人一人が何かを行動に移すことで、世界は少しずつ変わるんだ。」
その後もヒロシとメアリーは改善を見せてくれた会社で働き続けた。そして、彼らの行動は会社のAI運用の原則を変え、技術がより倫理的に利用されるようになる一石となったのだ。
AI運用の原則が世間にも公表された直後、メアリーがヒロシに向かって話しかけた。「ヒロシ、サムからメールが来たわ。君たちの努力は報われたね。おめでとう、だって。」
「僕たちの行動は、サムのエグジットが支えになったから、サムからのメールは嬉しいね。」と、ヒロシはにっこりと笑った。
「そうね。」とメアリーはしみじみと言ったあとに「彼のエグジットを見て、オピニオンを持ち続けることの大切さを再確認したもんね。」
彼らの話はそこで一旦落ち着いた。だが、彼らの心の中には同じ思いが刻まれていた。それは、社会で実権を握っている権力者に対して圧力をかけるためには、「オピニオン」を持つことと、「エグジット」を選ぶこと、そのどちらも大切だということだった。
そして、ヒロシとメアリーはそれぞれの選んだ道を進み続け、社会の中でさらなる影響を与えていくことを誓ったのだった。
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