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【南大沢土木構造物めぐり】No.51 美しい住宅街の中の遊歩道を歩く ~せせらぎ緑道~

今回紹介するのは、多摩ニュータウンの中でも知る人ぞ知る遊歩道、「せせらぎ緑道」を紹介します。この道は、多摩ニュータウンの長池見附橋から京王堀之内駅近くまでを結ぶ、約1.5kmの距離にわたって住宅街を通る遊歩道です。住宅地の中を人工的なせせらぎが流れているのですが、その風景が秀逸で、散歩するのが楽しくなる道です。

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散策の起点は、長池公園にある、築池。かつては農業用のため池として使われていたそうです。今では鳥類の観察などが楽しめる公園の水辺空間になっています。この水の一部が、せせらぎ緑道の水源として活用されているようです。

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築池の水が流れていく先に、姿池があります。その上に架かるのが、長池、いや多摩ニュータウンのシンボル的存在の一つである、長池見附橋です。姿池は、長池見附橋の姿が鏡のように映って見えることを意識して作られているとか。橋台のレンガ、茶色いアーチの鋼鉄、レンガの目地の白色、水の色、青い空、白い雲、緑の草花、どれもが美しくて絵になる風景です。
今回は橋ではなく、このせせらぎが主役です。長池見附橋については、以前紹介した記事をご覧ください。

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今回のせせらぎ緑道、姿池の下流端から始まります。姿池のある部分の開放的な風景が一変して、大きな木々に覆われた遊歩道が現れます。姿池の端部にある柵のようなものは、長池見附橋の前身である、四谷見附橋の高欄部分を移築したか、デザインを踏襲して作られたものだと思われます。姿池の周りには、四谷見附橋にゆかりのある展示がいくつもされています。

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せせらぎ緑道は、木漏れ日が心地よい散歩道です。

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【せせらぎ緑道 八王子市 1994年3月竣工】

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遊歩道沿いにせせらぎが流れており、せせらぎに架かる橋も洒落たものが多いです。

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ここが住宅街の中であることを忘れさせられるような風景です。たまに子供たちがザリガニ釣りなどをして遊んでいるのを見かけます。

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途中の別所お月見公園。公園とせせらぎが一体になっています。美しい公園です。

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途中に飾られている石碑。
【第15回緑の都市賞 建設大臣賞 住宅・都市整備公団南多摩開発局
 財団法人都市緑化基金、読売新聞社】

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せせらぎ緑道は、1本道路を渡った先にも続いています。木漏れ日の中の緑道から変わって、マンションの裏側にある水路が流れる歩道という感じになりました。

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これらも長池見附橋の移築によって使われなかった旧・四谷見附橋の高欄などを飾っているのでしょうか。あまりにも無造作に存在しているので、そのような印象を受けないです。もう少し装飾をアピールしたほうが良い気がしました。

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ここからもう少し北側に進むと、こんな部分に。
ここ、下は地区を横切る幹線道路と立体交差しています。つまり、せせらぎの人工水路が幹線道路と交差する歩道橋です。その名も「せせらぎ橋」。

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橋の北側で、この配管、これがせせらぎを流しているものと思われます。ある意味人工物そのもののせせらぎですが、ちゃんと水を流すというこだわりが強かったことを想像させられます。

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歩道橋を越えたせせらぎは、スロープ沿いに段々と流下していきます。あまり水量は無く、正直なところあまり「せせらぎ感」は感じられないかもしれません。上流から水の流れが続いていることがこだわり、といったところでしょうか。

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要所要所に、「せせらぎ緑道」の石碑が建っています。石碑の裏の完成年度を確認すると、平成5年(1993年)~平成10年(1998年)にかけて段階的に作られたようだということがわかります。せせらぎを1本につなげたいというこだわりが実現したということなのでしょう。途中はあまりせせらぎらしさがなく、つなぎの部分なのかな?と思ってしまうところもありますが。

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再びせせらぎの住宅地の中に入ります。

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住宅地を流れるせせらぎと、橋。やはり絵になる風景です。

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人工的なせせらぎなので、普通の川とは違い、水と触れ合うことを意識した風景が広がります。普通の川なら、堤防があり、こんな流路が狭くなったりはできないと思います。この水路は、流量調節され、雨水は地下の下水道を流れていることでしょう。

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最も下流の京王堀之内駅近くに、意匠の凝った橋があります。高欄の形やレンガの色からしても、長池見附橋を意識しているのではないでしょうか。

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この橋には、「せせらぎ橋」という名前の橋名板がついています。

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遊歩道の終点(起点)に来ました。京王堀之内駅からこの緑道を通って長池見附橋や長池公園に至るルートは、地元の人たちだけでなく、本当に楽しい散策ルートとなるでしょう。

【終わりに】
多摩ニュータウン・京王堀之内駅から長池公園の間につながる、せせらぎ緑道を紹介しました。美しい遊歩道が数多くある多摩ニュータウン内でも、この遊歩道の美しさは別格ともいえるでしょう。分岐して住居とを結ぶ歩道に架かる橋や、親水性を意識した護岸などが、訪れる人を楽しませてくれます。この美しい散歩道、地元でなくても歩いて楽しむ価値があると思います。

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